この記事では、ジークレー印刷(版画)の概要とデジタルアートにしたい絵画をご紹介します。
アート好きならお気に入りの絵画を自宅に飾りたいと思った経験があるかもしれません。
そんな願いを叶えてくれるのがジークレー印刷(版画)です。
通常の絵画よりもお手頃な価格で購入でき、なおかつ長持ちするという優れもの。
ご興味があればぜひ参考にしてください。
ジークレー印刷(版画)とは?
ジークレー印刷(版画)とは、高精細なインクジェットプリンターを用いた技術。
フランス語で「吹き付けて色を塗る」という意味です。
従来の絵画は一点もので、画家が買い手に引き渡すと手元に残りませんでした。
デジタルデータがあれば簡単に原画の複製を作れるジークレー印刷(版画)は、その点で非常に画期的なアートといえるでしょう。

デジタルアートにしたい作品10選
ここからは視点を切り替えて、デジタルアートにして飾りたい作品をご紹介します。
西洋絵画と日本画からそれぞれ有名な5つの絵画を厳選しました。
あなたが好きな画家や作品が入っているかもしれません。
デジタルアート|西洋絵画編
印象派やアールヌーヴォー、アカデミック絵画などが勢ぞろいしました。
①フェルメール《デルフトの眺望》

デルフトはオランダにあった町で、フェルメールが生涯にわたり住み続けた場所です。
画面の半分以上を空が占めるという大胆な構図で、非常に印象に残るのではないでしょうか。
雲の陰影や街並みの精緻な描写が見事で、見れば見るほど引き込まれます。
フェルメールがいかにデルフトに対する愛着を持っていたのかうかがい知れる一枚ですね。

②ラファエロ《ベルヴェデーレの聖母》

別名を「牧場の聖母」といいます。ラファエロは数々の聖母子像を残しました。
この他には《小椅子の聖母》といった作品も有名ですね。
本作は牧場を思わせる場所に聖母マリアと幼いキリスト、そしてヨハネが描かれています。
遠景の山並みや建物にいたるまで丁寧に描きこまれている点にご注目ください。
③ブグロー《アモルとプシュケ》

天使や子どもを描かせたらブグローの右に出る画家はいません。
彼の代表作として知られるのが《アモルとプシュケ》です。
見事な表現力で愛らしくも妖艶な画風に仕上げました。
天使の羽が付いているアモルはフランス語で「愛」という意味。
蝶の羽をまとうプシュケは古代ギリシア語に由来しており、「心・魂」のような概念に相当します。
④ルノワール《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》

世界でもっとも著名な美少女と言っても過言ではないでしょう。
肖像画の名手であったルノワールの作品。
肌の透明感や柔らかそうな髪の質感の描き分けがお見事です。
実はこのイレーヌ嬢の肖像画、注文主であるカーン・ダンヴェール家のお気に召しませんでした。
アカデミックな画風を好んだ彼らは、印象派のタッチをよしとしなかったようです。
⑤ミュシャ《夢想》

アールヌーヴォーの旗手であったミュシャの代表作です。
ミュシャはチェコ出身で、現地語風に発音すると「ムハ」。
円形装飾とうねるような曲線が最大の特徴であり、優雅さを醸し出しています。
《夢想》は印刷会社から依頼されたポスターのイラストでした。
決して珍しいことではありませんが、実は後からタイトルがついた作品です。
デジタルアート|日本画編
ここからは日本画家の紹介に移ります。
いずれも名が通った人物の作品ばかりゆえ、すぐに思い浮かぶかもしれません。
①速水御舟《炎舞》

重要文化財に指定されている作品。山種美術館に所蔵されています。
暗闇に渦を巻く炎とそれに群がる蛾たちが実に鮮やか。
速水御舟の最高傑作にして代表作といえるでしょう。
実際の焚き火を徹底的に観察し、迫真の筆さばきで画布に写し取りました。
卓越した観察眼の賜物ですね。
②上村松園《序の舞》

上村松園は誰もが認める日本画の大家です。
《序の舞》も重要文化財であり、彼女の代表作でもあります。
モデルは息子の嫁・たね子。
この作品のために京都で腕利きの髪結いのところに連れていき、文金高島田に結い上げてもらったとのこと。
婚礼衣装の大振袖を着せています。
③竹内栖鳳《斑猫》

竹内栖鳳の代表作に数えられる一枚です。
作中で描かれた猫は静岡県の沼津市にあった八百屋の愛猫でした。
旅先で見初め、どうしても譲ってほしいと頼み込んだそうです。
毛並みの質感すら伝わってきそうな筆さばきには恐れ入りますね。
④菱田春草《黒き猫》

続いては菱田春草が描いた黒猫です。第4回文展に出品して注目されました。
驚いたことに《黒き猫》はわずか5日で仕上げたそうです。
当初出品するつもりだったものがうまく描けず、急きょ予定を変更したのだとか。
ぼかし技法で表現された猫の毛並みを見る限り、突貫工事で描き上げたとは思えません。
⑤東山魁夷《道》

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最後に紹介するのは風景画の巨匠・東山魁夷。
主役は真っ直ぐに伸びている1本の道です。
描かれた場所は青森県の種差海岸。
ふとした思いつきで柵や灯台などを取り去ってみたところ、一枚の絵として成立したのでした。
実際の眺めとは少々違っていますが、今もこの道は存在しています。
人生に迷いが生じた時にみると気持ちが整うかもしれません。

まとめ
ジークレー印刷(版画)は世界の名だたる美術館でも採用されています。
どのショップでも注文は1枚から可能なところが多いので、「欲しいときに欲しいだけの印刷」を頼むことができます。
プロのアーティストだけでなく、個人でデジタルアートを楽しみたい人にもぜひおすすめです!

