美術の疑問!なぜここにこれがある?なぜこの形なの? 不思議なシュルレアリスム作品を徹底解説

「シュルレアリスムの作品は理解できない」と感じる人がとても多いです。

シュルレアリスムは、風景画や美人画のように常識的に「美しい」と感じるものは少なく、どちらかといえば不気味で不安を感じる作品が多くあります。

今回は、そんなシュルレアリスムの作品をご紹介いたします。

推定読書時間: 7

なぜここに機関車? 「刺し貫かれた時間」ルネ・マグリット

ルネ・マグリット
ローター・ヴァレーhttp://www.lothar-wolleh.de, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

マグリットの作品は「なぜここにこれがある? 」と考えることものがほとんどです。

「刺し貫かれた時間」は暖炉の中から機関車が出てくるところが描かれています。

みた人は「!?」と思うでしょう。

マグリットの狙いは、まさにそこにあるのです。

作品をみた人に「なぜここにこれがあるの? 」と驚きと不思議を感じさせることがこの作品の目的のひとつです。

このテクニックをデペイズマンといいます。デペイズマンとは「つながりのない場所におくこと」「異なった環境におくこと」「違和感」を意味するフランス語です。

「刺し貫かれた時間」は、暖炉から機関車が出ています。

このふたつのモチーフは、あるべき場所が異なります。

しかし「あるべき場所」とは常識であり、作品の中では常識にとらわれる必要はありません。

デペイズマンの効果は、みる人に衝撃を与えるだけではなく、常識という壁で囲まれた想像力を壁の外へ広げることではないでしょうか。

常識という壁を取り払って、あらためて「刺し貫かれた時間」を鑑賞してみると自分なりの解釈ができるようになります。

「暖炉がある空間は現代で、機関車は過去からやってきたもの」と考えることもできるでしょう。

暖炉はあるけれど使っている形跡はありません。

鏡には部屋の家具が一切うつっていません。この部屋には人の気配もありません。

過去に実在していた人間が時間の経過によっていなくなったことを表現しているのかもしれません。

部屋の時間は止まっているけれど、機関車からは煙が噴き出し時間が進行しています。

デペイズマンで描かれた作品は、みる人が常識を取っ払って自分なりの解釈をする楽しみがあるのです。

やわらかい時計は何を示している? 「記憶の持続」サルバドール・ダリ

サルバドール・ダリ

ダリの作品の中でも「記憶の持続」はとても有名です。

やわらかくなった時計はダリの作品を見抜く目印にもなっています。

作品の中央に描かれている白い物体はダリの顔といわれています。

金色のまつ毛の下には、ダリの特徴である髭があります。

背景には、ダリの故郷が描かれています。

この作品はダリ自身の記憶を絵にしたものではないでしょうか。

故郷の記憶はハッキリと残り、時間と共にゆがみが出てきている記憶もあります。

ゆがみをやわらかい時計で表現しているのでしょうか。

左下の時計にはアリが群がっています。

ダリはアリを「腐っているものの象徴」としていました。

すでに腐った記憶、そしてハエが1匹ついている記憶も描かれています。

ダリは「記憶の持続」を描いた後に「記憶の固執の崩壊」を描いています。

やわらかい時計と故郷は再び登場しますが、描かれ方がガラッと変わります。

時計は故郷の海に沈み、木や地面は分断されています。

ふたつの作品を続けてみることでダリの頭の中で記憶の形が変化していったことがわかるのではないでしょうか。

描かれているのは1人?2人?「赤いひじ掛け椅子にすわる裸婦」パブロ・ピカソ

パブロ・ピカソ

「赤いひじ掛け椅子にすわる裸婦」は、タイトル通りみれば一人の女性が裸で座っています。

しかし女性の顔は白色と水色の二色で塗り分けられているのです。

水色だけに注目してみると、エメラルドグリーンの髪をもった男性の横顔にみえます。

男性が椅子にすわっている女性とくちづけをしているようにみえるのです。

「この作品には男女が描かれている」と思いながら再び鑑賞してみると、とてもエロティックな作品にみえるのではないでしょうか。

この作品は、ピカソが46歳のときに出会った17歳の少女マリ・テレーズがモデルです。若い恋人に感じていた官能的な思いがあふれ出ている作品です。

シュルレアリスムとは「目に見えない部分」をみせること

シュルレアリスムの出版社「オ・サン・パレイユ」で開催されたマックス・エルンスト展

紹介した画家たちはシュルレアリスムを代表する人たちです。

学校ではシュルレアリスムは「幻覚など非現実の世界に着目した美術運動」と説明を受けました。

しかし非現実的な世界は実際に目に見えるのではなく、画家の頭の中にある世界であり考え方です。

言葉では説明ができなくても絵に表すことで「人に自分の世界観を伝える作品」がシュルレアリスムなのではないでしょうか。

ピカソの「赤いひじ掛け椅子にすわる裸婦」は、曲線で構成されています。

画面全体に曲線を多用し、見方によっては他のものにも見える描き方は写真よりもエロティックであり官能的です。

ピカソの頭の中で考えている「目に見えない部分」がハッキリとみえる作品です。

おわりに

シュルレアリスムの作品と風景画を同じ見方でみていては理解することが難しいでしょう。

シュルレアリスムは「画家の頭の中をのぞいている見方」で鑑賞するのです。

「常識」という壁を乗り越えて、他人の頭の中をのぞいているつもりで鑑賞してみるとシュルレアリスムの魅力に気がつくのではないでしょうか。

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