芸術家の卵の心に響く巨匠の言葉

芸術や美術の道を進んでいると、だれに相談したらいいのかわからない悩みや答えの出ない悩みを抱えることがあります。

今は巨匠と呼ばれる歴史上の画家や芸術家は、そんな悩みのヒントになる言葉をのこしています。

今回は、芸術家の卵の心に響く巨匠の言葉を紹介します。

推定読書時間: 7

「一人の人間の作品とはその人間を語っている」ポール・ゴーギャン

ゴーギャン

ゴーギャンといえばタヒチのイメージがありますが、実はパリで生まれています。

父はジャーナリストで、母は社会主義思想の女性作家の娘でした。

ゴーギャンは、家庭の事情で6歳までペルーで暮らします。

ゴーギャンが絵に興味を持ち始めたのは、23歳ごろになってからです。

画家では珍しく、別の仕事を持って家族を養いながら絵を描いて暮らしていました。

絵を学び始めた当初の作品は、子どもが寝ている姿や風景画がほとんどです。

そして40歳のときにゴッホと同居します。

結局、個性が強い2人の同居生活は短期間で終わります。

理由は、ゴッホの繊細さにあると思われがちです。

しかし、ゴッホと同じくらいゴーギャンも繊細な心の持ち主だったようです。

ゴーギャンは、自分で自分の性格の中に「感じやすい人間」と「野蛮人」がいると言っています。

そして、あえて文明から遠のくためにタヒチに向かうのです。

「一人の人間の作品とはその人間を語っている」という言葉は、ゴーギャンがこの世を去る1カ月前に残した言葉です。

ゴーギャンは、自分の作品の中には「自分の中の抑えようのない野蛮人」が出ていると言っています。

「自分では抑えようとしている内面さえも、作品には表れる」ということではないでしょうか。

作品は、その人の経験や思想が意識しなくてもにじみ出てくるものです。

「深みのある作品を描きたい」と思うならば、テクニックを磨くだけではなく、人生そのものに深みを与える必要があるのかもしれません。

「まともに生きることを考えたらいつでもお先まっくら」岡本太郎

岡本太郎

岡本太郎の言葉といえば「芸術は爆発だ」を思い浮かべる人がほとんどかもしれません。

「芸術は爆発だ」という言葉は、コマーシャルで広く知れ渡った言葉です。

感じ方には賛否両論ある有名な言葉になりました。

今回紹介する言葉は、岡本太郎らしい言葉でありながら、芸術家の卵ならば全員と言っていいほど抱えている不安を吹き飛ばす一言です。

芸術家は、会社員や公務員と比べれば安定とはほど遠い職業です。

例え芽が出て安定した収入を得たとしても「この状況がずっと続くわけがない」と不安になります。

しかし、その不安に押しつぶされて、安定を選んでしまえば芸術家の道は途絶えてしまうのかもしれません。

岡本太郎の「まともに生きることを考えたらいつでもお先まっくら」という言葉には、芸術家という「まともとは思えない道」は不安定ではあるけれど、その先には希望や夢というお金には変えられない魅力があるという意味がある気がします。

まともな道に鞍替えしたら安定を手に入れる代わりに「夢をあきらめてしまった」という罪悪感と夢への執着が生まれるのではないでしょうか。

「自分はあまりきらめくような才能に恵まれなくて良かった」やなせたかし

漫画家やなせたかし
『やなせ・たかしの世界 増補版』サンリオ(1996/7/25 69頁)
ISBN 4-387-96008-6 リンクによる

やなせたかしは、アンパンマンの作者です。

いつでも前向きな作品の原作者にしては意外な一言に感じます。

やなせたかしは、始めからアニメや漫画を描いていたわけではありません。

現在の千葉大学工学部(東京高等工芸学校)を卒業後、製薬会社の宣伝部に入社します。

戦争が始まると小倉野戦重包隊に入隊し、終戦後は新聞社に入社します。

しかし、戦争で途絶えていたデザイナーもしくは漫画家になる夢を叶えるために新聞社を退職して上京し、デパートの三越で働き始めるのです。

三越時代にデザインした包装紙「華ひらく」はとても有名です。

三越で働きながら作品の投稿を続け、収入が安定したタイミングでフリーの漫画家になります。

フリーになってからは、エッセイ、シナリオ、マンガ講師など、さまざまな仕事を受けながら実績を積み上げていきます。

アンパンマンを描いたのは50歳近くなってからのことでした。

やなせたかしの「自分はあまりきらめくような才能に恵まれなくて」という言葉は「芽が出るのが遅かった」ということから出てきた言葉でしょう。

自分よりも早く売れた人たちが続々と引退していく中で、長年にわたって好きな仕事を自分のペースで続けられていることに喜びを感じていたようです。

芸術家の卵のときには「早く売れたい」「早く一人前になりたい」と思います。

しかし、一番芸術家として幸せなことは「早く」よりも「長く」なのではないでしょうか。やなせたかしの言葉には、芸術家の卵の「焦り」を取り除く力を感じます。

おわりに

芸術家の卵から芸術家になれる人は、ほんの一握りです。

しかし、芸術家になれた人が幸せでなれなかった人は不幸せではありません。

むしろ、芸術家の卵としてさまざまな人生経験を積み重ね、明るい不安定な道を長く歩んだ人生が一番幸せなのかもしれません。

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