この記事では、長野県立美術館の魅力と、東山魁夷とのつながりについて徹底解説いたします。
東山魁夷といえば、風景画の巨匠として知られています。
彼が生前に作品を寄贈したのが長野県立美術館でした。
信州は画家にとって原点といえる場所。
少年時代の経験から画家はかの地を「作品の故郷」と呼び、長く愛し続けたのでした。
長野県立美術館の歴史、成り立ち
始まりは長野県民から寄せられた声でした。
県立美術館がなかったため、設立を望む意見があったのです。
ここでは、長野県立美術館が歩んできた道のりをひも解きましょう。
長野県立美術館の略歴
美術館の年表を参考に抜粋しました。
長野県立美術館の歩み
1966年 | 財団法人信濃美術館として誕生 |
1969年 | 県に移管 |
1990年 | 東山魁夷館が開館 |
2017年 | 本館・東山魁夷館が長期休業に入る |
2019年 | 東山魁夷館がリニューアルオープン |
2021年 | 本館の新築が完了し「長野県立美術館」としてリニューアルオープン |
およそ上記の流れに集約されます。
次の項では、長野県立美術館のシンボルともいえる東山魁夷について説明しましょう。
東山魁夷と長野県立美術館のつながり
冒頭で登場した画家は、山国の雄大な自然を愛し、生涯にわたって描き続けました。
いかにして日本画の権威が信州と縁を持ったのでしょうか。
全ての始まりは、彼の少年時代にさかのぼります。
日本画ファンを魅了してやまない東山魁夷。
生まれたのは1908年、意外なことに横浜出身です。
東京藝術大学の前身であった東京美術学校1年生のときに、旅行で長野県を訪れました。
温かく素朴な人々と厳しい自然に魅入られた画家は、足しげく同地に通うように。
画家はこんな趣旨の言葉を残しています。
東山夫妻には子どもがいませんでした。
年齢を重ねるにつれ、自分がいなくなった後の作品の処遇に悩みます。
そこで作品を育ててくれた長野県に寄贈しようと思い立ちました。
こうして1990年に東山魁夷館が竣工したのです。
改築工事を経て生まれ変わった今も、多くのファンを動員しています。
長野県立美術館の特徴
所蔵作品はもちろんのこと、その他にも魅力が満載です。
ここでは3つ紹介しましょう。
ちなみに見どころは菱田春草の《羅浮仙》、池上秀畝の《四季花鳥》など。
その他、村山槐多や関根正二といった長野ゆかりの画家たちの絵画を所有しています。
ランドスケープミュージアム
これは長野県立美術館のコンセプトです。
「自然と一体にある美術館」を目指し、屋根のある公園のような空間でありたい。
美術館と自然の境界線を明確に引かず、緩やかにつながっているイメージですね。
善行寺や城山公園に隣接しているだけあり、周囲は緑に囲まれています。
館長の松本透氏は、長野県立美術館を和風建築になぞらえ、インタビューにて下記のようなメッセージを発信しました。
アートではなく“人”が中心という特徴は、何気ない言葉の端々から読み取れますね。
アートコミュニケーターを育成
アートコミュニケーターとは、学芸員と鑑賞者を結ぶ「架け橋」のような存在。
一般のボランティアと異なり、より広範な役割をこなします。
書類選考を経て選ばれた、さまざまな年代・職業の人たちが活動中。
美術の専門家ではないからこそ、より鑑賞者に近い目線でアートを楽しむ手助けをしてくれます。
障がいのある方でも安心して美術鑑賞できる環境が整っていますよ。
建築家×アーティスト
前身の信濃美術館は、林昌二氏によるユニークなデザインで人気がありました。
長い年月を経て老朽化し、2017年に改築のため休業。
新たな本館の設計を担当したのは宮崎浩氏。
東山魁夷館は谷口吉生氏が手がけました。
余談ですが、谷口氏の父である吉郎氏もまた建築家、画家と親交がありました。
親子ともども画伯と面識があった縁から設計を任されることに。
芸術家と建築家は表裏一体。建物は作品の「額縁」なのです。
ぜひ鑑賞してほしいのが、水辺テラスにある「霧の彫刻」。
中谷芙二子氏が生み出した水の芸術です。
併設ミュージアムショップ・カフェ
ショップはチケットなしで利用が可能です。
ここでしか手に入らないグッズがたくさんあり、目移りしてしまいそう。
カフェ・レストランでは、長野の豊かな自然を眺めながらくつろぎの時間を堪能できますよ。
長野県立美術館に足を運んだ際には、ぜひお立ち寄りください。
ミュージアムショップ
白を基調とした空間で、心行くまでお土産を選べます。
オススメの商品をピックアップして紹介しましょう。
クリスタルコースター
天然石のメノウを使って作られた、一点物のコースター。
自然の産物が材料なので、色や形がすべて異なるのが魅力。
カラーは4色。加工する過程で着色が施されています。
カレンダー
アートディレクターの葛西薫氏がデザインしました。
罫線ありとなし、お好みでどちらかを選んでくださいね。
シンプルでありながら、機能性とおしゃれを実現。
お部屋に飾ればインテリアの一部になりますよ。
東山魁夷 折りたたみ傘
ブルーの「白馬の森」とグリーンの「緑響く」の2種類があります。
晴雨兼用なので、晴れの日にも雨の日のお供にもどうぞ。
お出かけを楽しく演出してくれるでしょう。
長野県立美術館のロゴ入りマグカップ
クリエイティブディレクターの宮崎桂氏が意匠を手がけました。
長野県立美術館らしいお土産です。
プレゼントにも、ご自宅用にもピッタリ。
ミュージアムカフェ・レストラン
カフェは3Fに、レストランは2Fに位置しています。
カフェ「ShinanoArtCafé」
長野県で生産された食材を使っています。
少し休憩したい時や小腹が空いた時にどうぞ。
【ドリンク】
定番のコーヒーや紅茶もよし、信州りんごジュース・ぶどうジュースもオススメですよ。
お酒好きの方には志賀高原ビールを。
【軽食】
長野名産のりんごのミニタルトは味わう価値あり。
お腹を満たしたければ、ボルシチ&パンセットやたまごサンドセットがオススメ。
レストラン「ミュゼレストラン善」
株式会社田園プラザ川場が初出店しました。
シェフを務める小熊剛氏は東京から長野へ移住。
卸売市場の近くに居を構えたという逸話が、レストラン経営への情熱を物語っています。
【お食事】
本日のパスタと川場チーズ盛り合わせを一緒にご堪能あれ。
生ハムやサラミなどを一皿にまとめたシャルキュトリーの盛り合わせも。
ちなみに「シャルキュトリー」とは、フランス語で肉屋や食肉加工業を意味します。
【ドリンク】
スパークリングワインやグラスワインなどの他、ノンアルコールビールも提供しています。
信州特産のジュースは、りんご・桃・ぶどうの3種類からお選びいただけますよ。
まとめ
今回は、長野県立美術館について解説しました。
自然とアートが一体となった空間は、訪れる人を癒してくれます。
東山魁夷も愛した長野の景色を、ぜひご自分の目で切り取ってみてください。
※休業日や営業時間、その他の掲載情報については変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、最新の情報については施設・店舗へお問い合わせください。
アクセス
公共交通機関を利用する場合は、長野電鉄の「善行寺下駅」かJRの「長野駅」で下車してください。
長野電鉄だと美術館が近いですね。
自家用車で訪れる方は、駐車場情報をお確かめください。
美術館名 | 長野県立美術館 |
住所 | 長野県長野市箱清水1丁目4-4 |
電話番号 | 026-232-0052 |
ホームページ | https://nagano.art.museum/ |