子どもたちの世界をカラフルに彩るアート教育は、単にクリエイティビティを育むだけではありません。
批判的思考、問題解決能力、そして自立心のような重要なスキルを伸ばすことにも、大きな役割を果たしています。
本記事では、家庭で簡単に始められる、創造性と総合的な知能を同時に高める3つの革新的教育法――『STEAM教育』、『モンテッソーリ方式』、そして『シュタイナー教育』を深堀りします。
これらのアプローチが、どのように子どもたちの芸術性を刺激し、さまざまな学習領域に対する理解を深めるかを解説し、実践的な導入法も紹介いたします。
STEAM教育でアートはどう違う?科学と芸術の融合で広がる子どもの世界
STEAM教育とは、Science(科学)・Technology(技術)・Engineering(工学)・Art(アート)・Mathematics(数学)の 5つの頭文字から名付けられた教育方法で、『AIが台頭するこれからの時代を生き抜くために必要な力をつける』ことを目的に、2020年度から文部科学省の推進により既に日本の教育現場でも導入が始まっています。
STEAM教育といえばプログラミングなど理数系教育のイメージがありますが、元々はSTEM教育として理数重視で始まった教育に、後からArtが加えられたという経緯があります。
その理由はSTEM教育によって『技術力』や『知識』を身に付けた子供たちが実際により良い結果を出すためには、それらに加えて『創造性』が必要だと考えられるようになったから。
既存のSTEM教育にArtが加わることによって、創造性や表現力、コミュニケーション能力が高まり、これからの時代をより強く生き抜いていける子供に育つと言われています。
STEAM教育のArtとは、演劇や音楽といった『舞台芸術』、写真や絵画といった『視覚的芸術』、更には人文科学や自然科学といった『リベラルアーツ』など、多岐にわたるアート全般を指します。
これらの能力を高める=感性を磨くためには、家庭や場合によっては教室などを利用して、実際に絵を描いたり音楽を表現したり、自分から体感するということが一番でしょう。
そのためには子供の興味関心を育てられるよう、出来るだけ幼児のうちから絵画や演劇などの芸術に触れさせてあげることが大切です。
モンテッソーリで育む自主性:家庭で取り入れるアート活動
モンテッソーリ教育とは、イタリア出身の医師マリア・モンテッソーリにより生み出された
簡単にひと言で表すと『自立した人間を育てる』ための教育方法です。
モンテッソーリ教育を受けて育った人は高い集中力を持ちやすく、自己の持つ才能や能力を充分に発揮できる傾向にあると言われています。
近年では棋士の藤井聡太さんやAmazon CEOのジェフ・ベゾスさんなど、多くの有名人がこの教育法を受けたと話題になりましたね。
モンテッソーリ教育では 0〜6歳にかけての教育が何よりも重要とされていて、その間に伸ばしてあげたい能力が『言語』や『算数』など大きく 5つの分野に分けられていますが、その 1つとして芸術を含む『文化教育』があります。
モンテッソーリ教育において特に大切なのが『子供だからと侮らず、本物に触れさせる』という考え方、そのためモンテッソーリ教具では常にサイズだけ子供用にした『本物』が使用されますが、これは芸術の分野についても勿論同様です。
幼い頃から本物の美術・アートが家にあるという環境や、時には美術館などに赴いて多くの本物に触れるということは非常に教育として効果的でしょう。
シュタイナー教育で開く感性の扉:アートを通じた子どもの成長支援
シュタイナー教育とは、オーストリア出身の哲学者ルドルフ・シュタイナーにより始められた『自由な人間を育てる』ための教育方法です。
その特徴の1つとして特に『芸術』が重要視されているということがあり、学校などの教育現場においても美術や音楽が多く取り入れられています。
その理由はそもそも本教育法において、『教育とは感情や意思に働きかける総合芸術である』という前提があり、例えば『知識』や『学力』といったものは教育の一部分に過ぎないと考えられているからです。
俳優の斎藤工さんや児童文学作家のミヒャエル・エンデさんらが幼児期にこのシュタイナー教育を受けていますが、いずれも『高い芸術性』や『とらわれない個性』を持った人物であると言えますね。
シュタイナー教育での芸術は、『感情』や『意思』とセットで考えられます。
子供が過ごす場所は常に『穏やかで安心できる環境』であるべきという思想から、家の環境作りが特に重視される教育法ですね。
1つの特徴として『淡いピンク色』がインテリアに使われることが多いですが、これは体内の色に似ていて子供が安心すると考えられているため。
そのためシュタイナー教育をベースにしたインテリアではピンクやそれ以外でも出来るだけ優しい色味を選び、静かで落ち着く環境を目指すと良いでしょう。
あたたかくて柔らかな『自然素材』にこだわったり、『季節感』を重視することも大切です。
今日から始める家庭でのアート教育:子どもの創造性と感性を育むために
今回は近年特に注目されている教育法の考え方に沿って、芸術が子供の成長に与える影響や、インテリアにアートを取り入れるメリットについて紹介しました。
幼い頃から日常的にアートに触れることは、芸術性を高めるだけでなく、子供が本来持つ能力を高めたり、これからの時代を生き抜く力を獲得することにも繋がります。
特に小さなお子様のいるご家庭は是非、生活空間にアートを取り入れたり、積極的に美術館に足を運んでみてはいかがでしょうか。