ガーデニングといえば、毎日水をやり、寒い時期にはずっと家の中に置いて、肥料もあげてとマメに植物をお世話するイメージがありませんか?
実は、今回例にあげたことは、植物の種類によってはやってはいけないNG行動なのです!
この記事では、肥料や水やりによって植物が枯れてしまったり、しなびてしまう例を紹介します。
毎日水やりはダメ|乾燥気味で元気になる植物は?
ローズマリー
乾燥した地中海沿岸部が原産地のローズマリー。乾燥に強く丈夫ですが、湿り気には弱いのです。
もし、ローズマリーに毎日水やりを続けたら、それが原因で枯れてしまうかもしれません。ローズマリーに限らず、過湿が苦手な植物は多いようです。
その理由の一つは、土に水分がありすぎると酸素不足になってしまうから。
酸素不足の土、といってもピンとこないかもしれませんが、水気で土の粒がすきまなくくっついていると、空気の入り込む余地がなくなってしまうのです。水分と同時に空気の通り道もある状態が、植物の育ちやすい土なのです。過湿がよくないもう一つの理由は、根腐れを引き起こしやすいことです。
余計な水分があると腐りやすいのは、植物の根も同じです。乾燥が心配だからといって過度な水やりは避けましょう。多くの植物に共通する基本的なやり方は、土の表面が乾いたらたっぷり水をやるというものです。真夏以外は毎日水やりをしなくて大丈夫な植物は案外多いものです。
季節に関係なく毎日必ず水やりをする習慣のある方は、水をひかえめにした方がいい場合もあるかもしれません。
肥料のあげすぎも注意|多少寒くても屋外に出した方がよい植物は?
シンビジウム
シンビジウムは、暑さにも寒さにも強く、枯らすのが難しい植物とも言われますが、その一方で花を毎年咲かせるのも難しい品種。緑の葉だけになったシンビジウムがリビングで観葉植物のようになってしまっている例もあるようで、一年中大事に室内に置いておいたり肥料をあげすぎたりすると、なかなか花を咲かせてくれません。
高級感のある洋ランだからと大事にするとかえってよくないのです。外に出すタイミングは、霜の心配がなくなる4月の初旬です。4月から10月の終わりまでは、基本的には屋外に出します。
一年の半分以上は外に置く方が良いのです。4月から7月までは月に一回、発酵油かすの玉肥を与えます。夏場は強い日ざしを避けるためレースのカーテン程度の遮光をし(置き場所を変えてもよい)、肥料は与えません。
9月の中旬からは再び日によく当て、水やりを徐々に減らします。ここでも肥料は与えません。8月以降、肥料を与えないのは根が大きくなる時期に根と肥料が触れることによる肥料やけ注1を防ぐためです。
これまで、室内に置くものと思っていた場合には外に出すことに違和感があるかもしれません。でも、シンビジウムの先祖は熱帯の高地の植物で日光を多く必要としている、と考えてみてください。
あくまで日本の一番寒い時期が苦手なだけで、本来はたくさんの日光を欲している植物なのです。
注1、肥料やけ:植物を見て分かる症状としては葉が黄色っぽくなったり、黒っぽくなったりします。
栄養はあげないで|肥料で弱ってしまう植物は?
アサガオ、ヒマワリ、エダマメなど
他の植物にも当てはまりますが、特にアサガオは、肥料のあげすぎによるトラブルが多いようです。
子どもの夏休みの宿題で持ち帰ったものが枯れてきてしまい、肥料をあげたら完全に枯れてしまったという例が多く見られます。
もともと肥料がなくても育つアサガオなのに、小さな学校の鉢に肥料を与えると肥料の濃度が濃くなる、肥料やけの状態になってしまいます。逆に、肥料が必要な植物の代表格としては、品種改良され野生とは異なる園芸種になっているバラが挙げられます。
バラの多くは肥料食いと呼ばれるぐらい肥料が必要になります。アサガオのように、野性味の強い草花や野菜は肥料を好みません。ヒマワリ、エダマメも肥料が苦手な植物と言われます。
目安としては、田舎の庭や畑に放っておいても育っているような植物には肥料はなくても大丈夫でしょう。多肉植物も肥料は必要ないと言われています。そもそもどんな植物も、肥料のやりすぎや誤った肥料のあげ方には弱いのです。
ここで、肥料の与え方のよくない例とその理由を紹介しておきます。
肥料の量が多すぎる
肥料を過剰に与えてしまうと、土の中の肥料の濃さを一定にしようとする浸透圧のはたらきで、植物の根にある水分まで土に流出し根がしなびてしまいます。
植物に元気になくなってくると肥料を多めにあげたくなりますが、そこは我慢しましょう。農家の方の書かれた文章で、参考になる例え方がありました。
- 植物=人
- 土=人にとっての水
- 肥料=人にとっての塩
このように考えると、肥料の与えすぎがよくないことがわかりやすいかもしれません。
塩は人間にとって欠かせないものですが、摂りすぎれば有害です。植物にとっては、肥料よりも土のほうが大切なのです。
必要以上の肥料は、その土を根の水分を奪う土に変質させてしまうのです。
決められた量以上の肥料を与えることは、効果がないどころか有害になってしまいますのでやめましょう。
肥料を置く場所がまちがっている
肥料の与え方で大切なことは量を守ることです。でも、量さえ守れば大丈夫というわけではありません。
量以外に、置き場所も大切です。園芸の世界では常識のようになっていて、わざわざ書いていないこともあるのですが、肥料を置く場所は実は決まっています。それは、鉢のふちです。
ガーデニング界では鉢のふちという言葉は、肥料の置き場所としてよく目にします。野菜など地植えの場合には、鉢のふちに相当するぐらいの場所に置くといいようです。
どうしてそんなに離れたところに?と思ってしまうかもしれませんが、植物にとって大切な根のためなのです。植物の根元や根元近くに肥料を置いてしまうと、根が密集して土が少ないことから肥料の濃度が高くなりすぎてしまって、肥料をあげすぎたときと同じ肥料やけが起こってしまうのです。
なぜ、鉢のふちが良いかといえば、肥料の効果は得られて悪影響は受けにくい場所だからのようです。鉢ではない畑の野菜の場合には、根の先端に当たるぐらいの場所という解説がされていることもあります。
地面の中の根の先端がどのあたりかを想像するのは難しいのですが、ナスの場合には地上に広げた葉の一番外側と根の先端がだいたい同じぐらいの位置とも言われています。
おわりに
今回は、肥料や水やりによって植物が枯れてたり、しなびてしまう例を紹介しました。
良かれと思ってやっていたことがダメだったなんて、残念てすよね。でも、試行錯誤をしながら、その植物に合った世話をすることこそガーデニングの醍醐味とも言えます。
植物の特性をよく知り、変化を見逃さないようにしていれば、世話のしすぎで弱らせてしまうことはなくなってるでしょう。何でもしてあげるよりも、目を配ることの方が大切なのかもしれません。