日本画という名前は聞いたことがあるものの、具体的にどんな絵のことをいうのか知らない人もいるのではないでしょうか。
なかには日本画の作品をあげてくださいと言われれば、有名所は出てくるものの、そもそもの日本画について理解できていない人もいるはずです。
日本画とはどのようなものなのか、またその特徴や選び方はもちろん、部屋に飾る時のポイントについても、解説していきたいと思います。
日本画とは?
日本で無家事から伝えられてきた、伝統的な絵画の総称でもあります。
特に明治時代に入り西洋から油絵の技術が日本に入ってきて、同じ絵画としての見分けがつきにくいことから、あえて“日本画”と呼ぶようになったとも考えられています。
日本画の元になる絵画様式は、数千年以上続いている技術でもあります。
実際に用いる道具には、紙や絹などがあり墨や岩絵の具などの天然の塗料(絵の具)を用いて描く方法がとられています。
若干の色などを混ぜて使い、毛筆で描いていきます。
日本画のなかには高級感のある仕上がりにするための、金箔などが使われることもあり、同じ日本画のジャンルでも印象の違いを感じるはずです。
ちなみに、日本画の定義でいうと明治維新以降のものが対象になります。
この定義からいうと、江戸時代に描かれた作品は日本画には分類されないことになります。でもこれ以前の作品もたくさん残されています。
日本画との区別として「大和絵(やまとえ)」と呼ばれることもあります。
日本画も大和絵も絵画の文化が日本に入ってきたときに、昔から伝えられてきた技術をより明確にするために、伝統を守るための区分でもあるのです。
現代の日本画はどう変わったのか?
今の日本画は昔のように明確な定義を持たないものもたくさんあります。
油絵を使ったものでも日本画のジャンルに分類されるなど、技法にこだわりすぎない新しいカタチを次々に生み出しています。
日本画と呼ぶためには、日本画材を使用したものと考える人も多いようですが、現代アートに近い作品も数多く見かけるようになっています。
大きな違いでいえば画材になりますので、この辺りで見分けてみてもいいかもしれません。
日本画の技法は誰でも扱いやすいものではなく、かんたんに取得できるものではないのです。
日本画の画材について正しく学び、経験を積んでいる人にこそ生み出せる作品といっても過言ではありません。
必ずしも決まった形があるわけではないので、幅広さも日本画の楽しみ方と考えてみるといいかも」しれません。
日本画の特徴
日本画は、他の絵にはない特徴があります。
例えば、「陰影」が日本画には存在しません。
一般的な絵画というと、陰影を上手に描いたものも多い印象があります。
日本画は写真的な表現を使わずに、平面的な表現で描く特徴があります。
色彩においても濃厚なものを使わないことも日本画らしい作風を作ることに繋がります。
濃厚な色の違いを表現せずに、絵の具の本来持っている色の深みを使って表現します。
そのため見た目でわかりやすく、簡素的な絵に仕上がっているのも特徴です。
写実的な表現を用いるのではなく、端的に描くのも日本がだからこそです。
日本画をよく見ると細い輪郭を描き、その後、内側を彩る方法を使うなど、日本画ならではの色の使い方もあります。
日本画は和紙や絹布などに直接描いていきます。
この点も、一般的な絵画とは違います。
特に和紙は耐久性の高いものとしても知られています。
そのため、状態を保ったまま多くの作品がそのままの姿で残っています。
この点も日本画の良さだと思います。
日本画で有名な画家や作品とは
日本画の作品にはさまざまな種類があります。
そのなかでも一度は目にしたことのある有名な作品を紹介したいと思います。
日本画とは具体的にどのようなものなのか、また画家によっても印象が違うのも面白い奥深さと言えるのではないでしょうか。
川合玉堂(かわいぎょくどう)
日本の四季を描いた作品が多く残されている人物になり、1873年から1957年に活躍しました。
四条派・円山派・狩野派などの画家に師事していた経験を持ち、それぞれの良さをかけ合わせて四季折々の美しい風景を描いたといいます。
その技術力の高さは世界的にも評価されており、文才に優れた人物としても知られています。
1916年に作られた「行く春」は、国の重要文化財に指定された大型作品の一つです。
埼玉県にある秩父の川下りを経験し、着想したとも言われており、豪華絢爛に咲き誇る花々が美しいのが特徴です。
繊細でいつまでも観ていたくなるような、上品さもある迫力のある作品です。
日本の風景を数多く残している人物として、高く評価されています。
下村観山(しもむらかんざん)
明治から昭和にかけて活躍した日本画家になり、和歌山県で生まれました。
東京美術学校の1期生として在籍し、卒業してすぐに助教授として後輩の指導を行うまでになります。
当時、一緒に学んでいた人のなかには横山大観もいるなど、いかにすごい学校だったのかわかると思います。
ストーリー性を感じさせる作品が特徴でもあり、さまざまなものを残しています。
例えば大正期の日本画を描いたものに「弱法師」があります。
能の演目の一つになり、目の見えない弱法師が梅の花びらを感じ、仏を信仰していた姿を描いています。
重要文化財にも指定された、とても味わい深い日本画です。
竹内栖鳳(たけうちせいほう)
近代的な日本画の始祖と呼ばれている有名な人物です。
もともとは京都の小料理屋さんで生まれ、伝統的な日本画だけに限らず、四季の景色や風物、舶来動物などのとても身近な動物も描いたことで知られています。
本当に目の前にいるかのようなリアルな姿に描く高い技術力を持ち、生々しい絵をたくさん残しています。
日本画家として世界的にも高く評価されており、繊細な作風も特徴の一つです。
日本画の良さはもちろん、西洋絵画の分野にも声優しておち、写実的な部分を取り入れるなど芸術的な才能に優れた人物です。
西の竹内栖鳳とも言われるほどに有名な人物として残されています。
代表作のなかに「班猫」があり、最も知名度の高い作品だと思います。
日本人にとっても身近な動物である猫を題材にしたもので、当時は猫を描くのはとてもめずらしいものとして考えられていました。
この作品を描くために、八百屋さんに頼みこみ猫を譲ってもらうほどに情熱を注いでいたこと、重要文化財にも指定されています。
日本画を部屋に飾る時のポイントは
日本画は世界的にも高く評価されており、飾るだけでも格を高めてくれます。
絵の雰囲気によっても違いがありますが、知性的な雰囲気の部屋に見せてくれるのも、日本画ならではの良さだと思います。
日本画は落ち着いた雰囲気になりますので、見ているだけでもほっと和む気持ちを実感できます。
座ったときの目線の高さに日本画を飾るのも、おしゃれでおすすめです。
せっかく素敵な日本画なので、全体のバランスを考えつつ、家具の中心や絵の真ん中を合わせることで、統一感が出てきます。
まとめ
日本画ならではの味わいを実感しつつ、部屋に飾ってみてはいかがでしょうか。
和室でないと合わないのでは?と思う人もいるかもしれません。
日本画は洋室でもおしゃれに飾れるはずです。
お部屋の雰囲気がガラッと変わりますので日本画を日々の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。