東京都庭園美術館は、目黒駅から徒歩 10分ほどの場所にあります。
建てられてから半世紀以上が経った今も、アール・デコ建築のお手本として名高い佇まいです。
ここには旧朝香宮家の人々が住んでいました。
実は邸宅として使われた期間は短く、美術館になってからの歴史のほうが長いのです。
この記事では、東京都庭園美術館の魅力をわかりやすくお伝えします。
東京都庭園美術館の歴史、成り立ち
![朝香宮邸|東京都庭園美術館](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0585/4252/2566/files/Prince_Asaka_residence.jpg?v=1636254921)
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前身である旧朝香宮邸は、1922年(昭和 8年)に竣工しました。
その舞台裏には、思いがけない出来事があったのです。
アール・デコと朝香宮夫妻との出会い
![久邇宮鳩彦親王](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0585/4252/2566/files/HIH_Prince_Asaka_Yasuhiko.jpg?v=1636254525)
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朝香宮家は、1906年(明治 39年)に明治天皇から称号をたまわり設立されました。
当主は久邇宮朝彦親王の第 8王子・鳩彦(やすひこ)親王です。
1910年に明治天皇の第 8皇女・允子(のぶこ)内親王と結婚しました。
美術館のある白金台の土地を下賜されたのは 1921年、大正 10年のことです。
鳩彦親王殿下は 1922年(大正 11年)に、軍事研究のためフランスに渡ります。
当時、男性皇族は軍人になるよう義務付けられていました。
不幸にも殿下は同地で自動車事故に遭い、足に重傷を負ってしまいます。
しかしこれが大きな転機となったのですから、人生は何があるかわかりません。
夫君の看病のため、允子妃殿下もフランスの地を踏みます。
異国で 3年の療養生活を過ごすうち、両殿下はアール・デコに魅了されました。
そして当時のフランスで流行していた直線的かつ幾何学的なデザインを日本に持ち帰ったのです。
元々は高輪の邸宅に住まわれていましたが、1923年に発生した関東大震災により一部が倒壊。
そこで新たな御殿を建設する運びになり、旧朝香宮邸が誕生しました。
残念ながら、手塩にかけた住まいが竣工した半年後に允子妃殿下は亡くなっています。
1933年のことでした。
邸宅が東京都庭園美術館になるまで
![大食堂|東京都庭園美術館](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0585/4252/2566/files/Former_Residence_of_Prince_Asaka_P7310811.jpg?v=1636255098)
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戦後、皇籍離脱により朝香宮家は消滅。臣籍に降下し、邸宅は貸し物件となります。
一時期は吉田外相・首相(当時)の公邸になったこともありました。
1955年から 1974年にかけて、白金の迎賓館として外国の要人をもてなすために使われたのです。
東京都庭園美術館と名を改めたのは 1983年。
朝香鳩彦氏が亡くなってから 2年後のことです。
1993年には、東京都指定の有形文化財第1号に指定されました。
新館の増築を経て、2015年に本館・茶室・正門が国の重要文化財となります。
2018年には西洋庭園の整備とレストランの建設が完了し、現在の形に整いました。
東京都庭園美術館の特徴
![アールデコ|東京都庭園美術館](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0585/4252/2566/files/Former_Residence_of_Prince_Asaka_P7310815.jpg?v=1636254623)
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繰り返しになりますが、アール・デコ様式のデザインが随所に使われています。
アンリ・ラパンやルネ・ラリックといった素晴らしいデザイナー達のおかげで、色あせない魅力をたたえた仕上がりになりました。
また、宮内省の人々も建設に尽力しています。
瀟洒で美しいお屋敷
![ルネ・ラリック|東京都庭園美術館](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0585/4252/2566/files/A_lighting_fixture_of_Rene_Lalique_in_the_Tokyo_Metropolitan_Teien_Art_Museum2.jpg?v=1636255187)
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内装やインテリアのデザインはルネ・ラリックが手がけました。
入り口に飾られているガラスのレリーフが見どころ。
各部屋のシャンデリアにもご注目。
すべて意匠が異なります。
主要な部屋の装飾を担当したのはアンリ・ラパン。
香水塔をデザインしたことで有名です。
足を運んだ際には、ぜひ鑑賞してください。
入り口付近の次室に置かれています。
允子妃殿下がご自身でデザインしたラジエーターカバーもお見逃しなく。
妃殿下の寝室にあります。
庭園と茶室
![東京都庭園美術館の庭園と茶室](https://deco-roo.com/wp-content/uploads/2022/04/teien-art-museum02.jpg)
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開園時間は 10時~18時。最終入場は17時まで。
日本庭園と西洋庭園を楽しめます。季節ごとに異なる風景を見せ、特に春と秋は色鮮やか。
朝香宮邸時代から受け継がれている芝生が見事です。
展覧会のチケットがあれば入場できるのがうれしいですね。
庭園のみの見学も可能です。
重要文化財である茶室では、茶道家が講師を務めるワークショップが開催されます。
事前予約制で、参加費は1人 1,000円です。
薄茶とお菓子を堪能してみてはいかがでしょうか?
日本庭園は、3月から 10月にかけて、一部の通路の入場時間が制限されます。10時から16時半までなので、該当時期はお早めに見学を済ませてください。
公式アプリ
美術館の公式アプリがあります。
これまでの歴史や見どころを写真付きで解説しています。
音声ガイドとしても使えますので、スマートフォンとイヤホンを持参すると便利でしょう。
館内でも無料で端末とヘッドホンの貸し出しをしています。
利用する際に身分証明書が必要です。
併設ミュージアムショップとカフェ・レストラン
![東京都庭園美術館のレストラン](https://deco-roo.com/wp-content/uploads/2022/04/teien-art-museum01.jpg)
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レストランは正門横に、ショップとカフェは新館にあります。
定休日は美術館に準じます。
※毎週月曜日(祝日の場合は開館。翌日休館日となる)、年末年始。
ミュージアムショップ
リュミエール
新館内にあります。
オリジナルグッズや展覧会に関連するグッズを販売しています。
オススメは香水塔の一筆箋。
また、図録やマーキングクリップ、シールなどがあります。
アート関連の書籍も販売しています。
ミュージアムカフェ・レストラン
ドュ パルク TEIEN Restaurant
正門の横にあり、食事だけならチケットなしでOK。
南青山にある「メゾン・ド・ミュゼ」が経営する姉妹店です。
ガラス張りの店内で、庭を眺めながらフレンチ料理を味わえますよ。
【営業時間】
11時~18時まで。ディナーは中止になっています。
ランチタイム:11時~14時(要予約)
カフェタイム:14時~18時
カフェ TEIEN
新館の1Fにあります。ご利用の際にチケットが必要です。
【営業時間】
10時~18時まで。
食事は17時、ドリンクは17時半までです。
これまたガラス張りのおしゃれな店内で、サンドイッチやキッシュなどの軽食をいただけます。
ケーキセットはもちろん、和のスイーツを注文できるのも注目ポイント。
ほうじ茶や日本茶と一緒にどうぞ。
まとめ
今回は、東京都庭園美術館について解説しました。
朝香宮夫妻のこだわりが息づく邸宅は、それ自体が芸術品です。
非日常の空間で、アール・デコの美しさをぜひご堪能ください。
そして旧皇族の暮らしに思いを馳せてみるのもおもしろいですよ。
※休業日や営業時間、その他の掲載情報については変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、最新の情報については施設・店舗へお問い合わせください。
アクセス
美術館名 | 東京都庭園美術館 |
住所 | 東京都港区白金台5丁目21-9 |
電話番号 | 03-3443-0201 |
ホームページ | https://www.teien-art-museum.ne.jp/ |
![](https://deco-roo.com/wp-content/uploads/mot07.jpg)