真似ることは、自分の技術を向上させてテクニックのひとつです。
絵画の模写などは、典型的な「真似る」作業なります。
「学ぶ」(まなぶ)は、「まねぶ」(学ぶ)であり、「真似ぶ」(まねぶ)の意味です。
学びたければ、真似ることから始めましょう。
私たちは写真を撮る時に、被写体を前にして、いかに美しく訴えかけられるか、アートフォトとして活用できるか、などを考えるかもしれません。
そしてその方法は、真似ることから始めるとスムーズだということが少しづつわかってくることでしょう。
真似る技術|重要ポイント
真似ることの注目すべき重要なポイントは、「構図」「光」「色や明るさなどのトーン」などがあります。
構図
アングルやポジション、被写体との距離や高さを注目する。
光
光の質や、天気、陽の当たり方を注目する。
色や明るさなどのトーン
明るさ、鮮やかさ、そのものの色味や全体のコントラストについて注目する。
このように1枚の写真を撮る作業においても、様々な要素を確認し推測しながら対応することが望ましいです。
これらのポイントを「真似る」ことから、どのようにして同じように撮影ができるかを考慮していくのです。
中でも焦点距離が最も難しい箇所になるかもしれません。
近寄って広角レンズで撮るのか、離れたところから望遠レンズで撮る方がいいのか、被写体をしっかり見極めていかないと判断が難しい部分です。
何度もトライしていくうちに観察眼が養われて、うまく「真似る」ことができるようになっていくでしょう。
どんな媒体にも真似る要素は多々ある
お気に入りの写真集はありませんか?
つい見入ってしまうような趣味の合う写真集などがあれば、それがお手本になります。
写真集は、撮り手の世界観や写真への思い入れ、向き合い方などに触れることができる点で、学びがとても多くあります。
例えば、Irving Penn(アーヴィング・ペン)の写真集は、そういった意味でとても重宝するでしょう。
静物であれば、写真集で作品と実際に用意した小物を見比べながら、微調整をしていきます。
小物の準備などはある程度必要になりますが、模写をするにあたって最初の取り組み方として推奨できます。
ビジネスの世界でも芸事の世界でも、秀でた人から学ぶ、つまり「真似る」ことがいかに重要か、「技を盗む」それを徹底して行うことです。
そしてその後は自分なりのアレンジを加えていく。
そうすることで、技量は確実に上がっていくことになるでしょう。
アーヴィング・ペンの世界を真似る
アーヴィング・ペンは、アメリカ合衆国の写真家です。
1917年にニュージャージー州に生まれた彼は、絵画の世界に魅力を感じるも、アートディレクターだったA・リーバーマンに写真の才能を発掘され、『ヴォーグ』で1947年から活躍します。
ファッション写真家として社会的な意味や時代性を美術的に打ち出すことで評判を得て有名になりました。
テント式の移動スタジオをかかえた旅の中で、世界中の民族を撮影します。
1974年『小さな部屋のなかの世界』という写真集を出し、その後の多くの写真家たちに多大な影響を与えました。
1987年の『FLOWERS』は、傑作です。
独自の個性、生死を超えた存在をクリアに打ち出してみせる彼独自の才能に圧倒されます。
また、1991年に彼が出した『PASSAGE』という写真集の表紙は秀逸です。
普通に存在するイチョウの葉がなんとも美学を持って撮影されていて美しいのです。
2001年『Still Life』という写真集は、絶妙なバランスの中の構図を学ぶのにとても参考になることでしょう。
すべてが素晴らしい写真集として絶賛されていますので、参考にする価値は十二分にあるといっていいでしょう。
雑誌の表紙を真似てアートフォトの参考に
写真集だけではなく、雑誌の表紙は真似る要素が満載です!
ファッション誌はポートレートを作成時のヒントが盛りだくさんですし、自分が撮影したいイメージに合わせて選択することで、かなり面白いものが出来上がることでしょう。
撮っている場所や構図、屋外なのか室内なのか、案外その辺のよくある場所で撮影されているかもしれません。
しかし、なぜ魅力的に撮られているのか?
背景の活用や雰囲気、その秘訣を細かくチェックしてみましょう。
インテリアの活用法や明暗、ポイントを押さえてみることで、様々な発見ができます。
もし物を被写体とする場合は、インテリア雑誌や料理雑誌を参考にするといいでしょう。
メインとする被写体はどのように目立たせているのか、どのようにバランスを高めているのか、細部まで確認してみましょう。
写真をアートフォトとして活用
写真をアートフォトとして活用したい場合は、独自の発想や思い入れで取り組んでみましょう。
自分で撮った作品はこの上なく「最高の世界観」の表現の展示物となるでしょう。
スタイリングボードや背景ボードも実に多くあるので、アートフォトを自宅に飾って思う存分、楽しみましょう。
ところで、誰もが知るピカソですが、彼は真似ることの天才であり、それを自分のものにするという天才でもあったようです。
つまり、最初は真似ることで希望する写真を撮り、感激を味わうことからスタートし、その後は自分のオリジナリティを加えていって満足できるものへとアレンジしていったのです。
あくまでも、真似ることは通過点ということです。
おわりに
構図や光のテクニック、魅力的な作品には様々な捉え方が隠されていて、全く同じように模倣することは困難です。
ですが、真似ることを追求していくことで、その結果、自分の本来の実力がレベルアップして大きな変化があったことを体験できるに違いありません。
真似ることに満足せず、新しい表現方法を深究し続けた先には、きっと求めていた新しい何かが見つかります。
自分自身の表現、オリジナルの良さの生かし方も、ぜひ見つけていってください。