国立西洋美術館は、新たに2022年4月より、リニューアルオープンされました。
上野の山には、東京都美術館、東京藝術大学大学美術館、上野の森美術館、東京国立博物館、国立科学博物館など、たくさんの文化施設が建設され、観光地としても人気があります。
なかでも使用美術の全般に携わる人気施設として知られているのが国立西洋美術館です。
この記事では、国立西洋美術館の魅力を紹介いたします。
国立西洋美術館の成り立ち、歴史
国立西洋美術館は、その名の通り西洋美術をメインに展示しています。
運営元は独立行政法人国立美術館になり、世界文化遺産にも登録された大変貴重なものです。
1959年(昭和34年)に設立されましたが、当時実業家としても知られる「松方幸次郎」の差し押さえられた美術品を寄贈変換するために造られました。
松方幸次郎さんは、美術品をたくさん保有している資産家になり、第二次世界大戦の後に、フランスの政府より敵国の資産として没収されてしまいます。
日本に戻すときの条件として、国立西洋美術館が建設される流れになります。
ちなみに松方幸次郎さんは、川崎造船所の社長を務めた人物になります。
仕事でロンドンに行ったときに美術品の収集を行っていました。
たくさんの西洋美術のうち、日本国内で売買されたものだけでも数千点以上になります。
他にもロンドンの倉庫に保管していたもの、火災によって消失しましたが、ロダン美術館(パリ)にも400点以上が預けられていました。
フランスは一度所有したものだと主張し、日本は返還を希望したものの「寄贈」の形で戻されることになりました。
実際に国立西洋美術館のパンフレットを見ると、フランスより寄贈と記載されているのが確認できると思います。
一部を除いて日本に寄贈されたものが、国立西洋美術館で展示されているのです。
これらのやりとりについて、本人の松方幸次郎さんは途中で亡くなってしまい、知らないと言われています。
ただ、国立西洋美術館を建てる際、当時の日本は財政難だったこともあり希望した予算はもらえませんでした。
そこで1億円の寄付金集めを行い、大口寄付者に対しては著名美術家の作品のなかから贈り物をするという提案がなされました。
当初はいい顔をしなかった美術家たちも、恩恵を受けられると進んで協力したと言います。
国立西洋美術館のデザインを担当したのは、ル・コンビュジュと呼ばれる人物になり、1998年には「公共建築百選」にも選ばれています。
2007年には国立西洋美術館の本館が国の重要文化財に指定されました。
国立西洋美術館の園地は2009年に名勝地関係の国の登録記念物に指定されるなど、高く評価されています。
国立西洋美術館の特徴
国立西洋美術館には何度でも訪れたくなる魅力が溢れたポイントがたくさんあります。
西洋美術をより身近に感じられるのはもちろん、重要文化財に指定されている本館など、見どころがたくさんあるのも、国立西洋美術館の良さです。
ル・コルビュジエが建設した本館
国立西洋美術館の魅力の一つにル・コルビュジエが建設した本館があります。
フランスの建築家であるル・コルビュジエは、日仏間の国交や関係の改善の象徴を作る役割を任されていました。
国立西洋美術館の本館は地上3階建て、地下1階建て、塔1階で構成された大きなもので、鉄筋コンクリートで造られています。
ル・コルビュジエは、スイスで生まれ美術学校で学んだあと、パリのキュビズムの影響を受けました。
代表的な建設物といえば、丸セーヌにある、ユニテ・ダビタシヨンやロンシャン聖堂なども有名です。
彼の建築の特徴を見ると、骨組みと壁をあえて分離していること、平面図の自由さや屋上庭園などがあげられます。
国立西洋美術館にもこれらの意思が受け継がれ、渦巻状に登っていくかわった導線を取り入れました。
細部にまでこだわりぬいたからこそ生まれた建築物でもあるのです。
常設展が充実している
国立西洋美術館は国内の美術館のなかでも常設展が特に充実していることで知られています。
主に中世の末期から20世紀初頭を対象にした作品が多く、フランスの近代彫刻や西洋絵画を中心に展示しています。
開館して作品の購入をやめたわけではなくその後も続けていた経緯があるため、時代によって移り変わる美術の歴史も一緒に体験できます。
常設展の作りは部屋のなかに区切りを設けていません。
回遊して見ていく形をとっていること、天井に高さがあるため、開放的な造りになっています。
もちろん、企画展においても充実しており、世界的に有名な名作の展示が行われています。
美術に詳しくない人でも一度は名前を聞いたことのある人物の作品ばかりです。
日本初上陸となったアルチンボルド展などが行われたのも、国立西洋美術館がはじめてです。
ギャラリートークが楽しめる
国立西洋美術館では、ボランティアのスタッフが絵画の説明をしてくれます。
土曜日(第1・3・5週)と日曜日に行われているものになり、常設展のなかにあり作品から数点ピックアップしたものの説明を聞けます。
美術について詳しくない人にとっても、丁寧にわかり易く解説してくれるので無駄がありません。
一緒に鑑賞できるのでお一人様での参加でも寂しくないのです。
また国立西洋美術館は、常設展は写真撮影ができるので、美しい作品や記念に残しておきたい作品があれば、撮影して楽しむようにしてくださいね。
併設レストラン、カフェ、グッズについて
国立西洋美術館は上野の山にあるので利便性の良さにも定評があります。
鑑賞するうえで事前に確認しておきたい、レストラン(カフェ)やグッズについて紹介します。
レストラン(カフェ)
国立西洋美術館の1階にある「カフェすいれん」は、西欧料理を中心に楽しめるレストランです。
中庭に面していることもあり、開放的な空間のなかで美味しい料理や飲物を楽しめます。
西洋料理はお手頃価格で楽しめること、ランチやディナー利用などもできます。
お酒も用意されているので、コース料理を楽しみながら至福のひとときを過ごすことも。
カフェとついているように、コーヒーや紅茶はもちろんケーキセットなども用意されています。
時間を忘れてのんびりと過ごしたいあなたにもおすすめです。
おみやげ
国立西洋美術館にはオリジナルグッズが購入できる「ミュージアムショップ」があります。
誰もが知っているような有名な作品をモチーフにしたものも多く、ロダンの考える人や、モネの睡蓮などをモチーフに造られています。
企画展限定のグッズなども販売されているので、気になる画家の作品が展示されているときは、必ず確認するのをおすすめします。
また、美術関連の書籍の販売にも力を入れており、3,000点にもなります。
他では売っていないものがたくさん揃っているので、こちらも覗いてみてください。
国立西洋美術館のまとめ
国立西洋美術館は周囲にたくさんの文化施設が揃う、おすすめのスポットです。
常設展の充実はもちろん、企画展なども行っています。
広々とした空間で絵画や彫刻が楽しめる人気のスポットです。
また、美術品ばかりではなく本館などの建物にも注目してみると新しい発見が出てくるのではないでしょうか。
国立西洋美術館にはたくさんの魅力がありますし、ゆっくりと回ってその良さを実感してみてはいかがでしょうか。
併設しているカフェすいれんも、おしゃれスポットとして人気です。
※休業日や営業時間、その他の掲載情報については変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、最新の情報については施設・店舗へお問い合わせください。
展覧会・催し物
真理はよみがえるだろうか:ゴヤ〈戦争の惨禍〉全場面
会期 | 2024年2月27日(火)〜2024年5月26日(日) |
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開館時間 | 9:30~17:30(金・土曜日、4月28日(日)、4月29日(月・祝)、5月5日(日・祝)、5月6日(月・休)は9:30~20:00) ※入館は閉館の30分前まで |
休館日 | 月曜日、5月7日(火)(ただし、3月25日(月)、4月29日(月・祝) 、4月30日(火)、5月6日(月・休)は開館) |
会場 | 版画素描展示室(常設展示室内) |
観覧料金 | 一般500円(400円)、大学生250円(200円) 本展は常設展の観覧券または企画展「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?――国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」(3月12日(火)~5月12日(日))観覧当日に限り、同展観覧券でご覧いただけます。 ※( )内は20名以上の団体料金(要予約) ※高校生以下及び18歳未満、65歳以上は無料(入館の際に学生証または年齢の確認できるものをご提示ください) ※心身に障害のある方及び付添者1名は無料(入館の際に障害者手帳をご提示ください) ※Kawasaki Free Sunday(3月10日(日)、4月14日(日)、5月12日(日))、国際博物館の日(5月18日(土))は本展及び常設展は観覧無料 |
アクセス
美術館名 | 国立西洋美術館 |
住所 | 東京都台東区上野公園7-7 |
電話番号 | 03-3828-5131 |
ホームページ | https://www.nmwa.go.jp/jp/ |