結婚や新築祝いなどに、お祝いの絵を贈ることがあります。
絵は形に残るだけでなく、選ぶ作品で贈る側の気持ちを伝えることができるのです。
この記事では、お祝いの席に飾りたい絵、お祝いに贈りたい絵を紹介いたします。
門出に贈りたい、お祝いの絵|「旭日鳳凰図」伊藤若冲
門出のお祝いには、力強さと華やかさがある絵がいいのではないでしょうか。
伊藤若冲の「旭日鳳凰図」は、赤い大きな旭日と華やかな鳳凰が描かれた作品です。
伊藤若冲が精力的に作品を描いた40歳に描いた作品です。
伊藤若冲の作品には、多くの鳥が登場します。
鶏や鶴などの実在する鳥がほとんどです。
とくに鶏は実際に鶏を飼って描いていただけあって、描写が細かく「みごたえ」があります。
鳳凰は架空の鳥です。
中国の伝説から鳳凰は「いいことがおこる前兆」や「チャンス到来」という意味合いがあるといわれています。
日本でも紙幣や賞状などに鳳凰はモチーフとして頻繁に使われています。
伊藤若冲が描いた鳳凰は、羽根に華やかな赤色と緑色が使われ画面に華やかさを添えています。
大きく描かれて旭日は日の出を思わせます。
新しい門出を祝っているかのような作品です。
伊藤若冲の作品は「おめでたい席」に合う絵がたくさんあります。
長寿や還暦にお祝いに贈りたい絵|「富嶽三十六景・凱風快晴」葛飾北斎
還暦のお祝いには「赤いもの」といわれています。
富嶽三十六景の「凱風快晴」は赤富士ともよばれる作品です。
堂々と描かれた富士山は赤く、晴れ渡った青い空とのコントラストがとても美しい作品です。
「凱風快晴」は、江戸時代に葛飾北斎が描いた傑作です。
江戸時代に描かれたにもかかわらず、現代でも古さを感じさせない洗練された構図ではないでしょうか。
絵を贈るときには、贈る側の趣味や好みを押しつけてしまうことがあります。
自分が好きな作品が相手も好きになってくれる作品とは限りません。
絵を贈るときには、好き嫌いがわかれるような個性的な作品よりも、多くの人が受け入れやすい作品を選ぶことが大切です。
「凱風快晴」は、絵画作品としてだけでなく、ハンカチやバッグなどの服飾品や日用品にも使われるほど人気がある作品です。
「富士山」「赤色」「快晴」とおめでたい言葉が並ぶ「凱風快晴」は多くの人たちに喜ばれる作品でしょう。
「凱風快晴」は金や装飾ある額装にも負けない迫力があります。
贈り物にするときには、額にこだわってみても楽しいでしょう。
誕生出生に贈りたい、お祝いの絵|「新蛍」上村松園
上村松園の作品は、女性のたおやかさが漂っています。
上村松園の作品に母と子を描いた「母子」や「虹を見る」という作品があります。
母親が男の子を抱いている絵で、一見誕生祝いや出生祝いに適しているように感じます。
しかし、「母子」が描かれた理由は、上村松園が自分の母親をなくしたときに「母との思い出を残すため」です。
きれいな作品ですが、描かれた背景を知ると、もの悲しさがあるのではないでしょうか。
上村松園は「新蛍」をたくさん描いています。
中でも誕生や出生祝いにおすすめの「新蛍」は女性が飛んでいる蛍をみている作品です。
画面全体が明るい色でみずみずしさがあります。
飛んでいる蛍は画面中央に明るく描かれ、小さいけれど主役であることがわかります。
新しく誕生した命を温かい目で見守る作品です。
「新蛍」は淡く繊細な色で描かれているため、額装によって作品の見え方が変わります。
額装するときには、マットを色つきの布にしてもおしゃれでしょう。
淡い色の絵には、濃い色のマットをあわせると引き締まった印象になります。
和室に飾るときには、掛け軸のようにしてもいいのではないでしょうか。
番外編:新築祝いに「緑響く」東山魁夷
新築祝いに送るものには注意が必要です。
赤いものは火を連想するため、嫌がる人がいます。
新築祝いに絵を贈るときには「赤色」が少ない作品を選ぶ方がいいでしょう。
また、贈った絵が和室の洋室のどちらに飾られるかわかりません。
どちらにも飾れる作品を選ぶことも新築祝いを選ぶ大切なポイントでしょう。
東山魁夷の作品は青色に魅力があります。
とくに「緑響く」はタイトル通り、画面全体がきれいな緑色でうめつくされているのです。
「緑響く」は、液晶テレビのコマーシャルにも登場し、国内外を問わずファンが多い作品です。
長野県にある御射鹿池がモチーフといわれています。
日本国内の風景を描いたにもかかわらず、海外の湖のような異国情緒も感じる和にも洋にもみえる作品です。
おめでたい席には祝う側の気持ちが必要です。
お祝いの気持ちを形にあらわす絵は、おめでたい席に彩を添えます。
巨匠と言われる画家たちの作品の中から、自分の気持ちに一番近い絵を探してみてはいかがでしょうか。