みなさんは、一年草と多年草の違いがわかりますか?
この記事では、一年草と多年草の違いと特徴、またそれぞれの組み合わせを活かしたレイアウトの方法などをご紹介いたします。
それぞれの特徴と組み合わせ方
一年草とは?
一年草とは、毎年花を咲かせるのではなく、種を残して、一年で枯れてしまう性質の花のことです。
一年草には多く園芸品種がある傾向があります。
豊富な花の色や形の中から、好みのものを選ぶことができるのがメリットです。
また、原産地では毎年花を咲かせる多年草でありながら、日本の気候では一年しかもたないために一年草に分類されている花もあります。
その代表例がサルビアです。
サルビアは、冬でも平均気温が23℃を超えるブラジルが原産地で、日本の冬を越すことが難しく、一年草に分類されます。
しかし、サルビアも切り戻しをして無駄なエネルギーを使わないようにしたり、鉢植えで管理し屋内に置くことで、冬越しができることがあります。
冬越ししている例がある草花であれば、挑戦してみるとよいでしょう。
一方、日本の気候に合うかどうかではなく、生来の性質が一年草の花もあります。
アサガオ、ヒマワリ、コスモス、パンジー、ビオラなどがその例です。
どんなに工夫をしても、同じ株で毎年花を咲かせることは難しいため、翌年も楽しみたい場合には種まきで育てます。
花の後に種を収穫して、翌年の適切な時期に種を蒔くとまた花を楽しむことができるのです。
多年草とは?
多年草は、今年花を咲かせた同じ株で翌年もまた花を咲かせてくれる性質の花のことです。
さらに多年草の中でも葉が残るかどうかでタイプ分けされています。
落葉タイプのことを根が残る(土に宿る)ことから「宿根草(しゅっこんそう)」と呼ぶこともあります。
時には常緑タイプも含め、多年草全体を宿根草と呼ぶこともあります。
多年草は開花するには数年かかる種類もあり、市販の苗から育てるのが一般的です。
一度植えるとそのままの株で何年にもわたり花を咲かせてくれるところがメリットです。
また、チューリップやアネモネなどのような球根植物も同じ球根から芽が出ますから、多年草の仲間です。
自然界では、そのまま土の中で時を待ち発芽するのですが、土にそのまま埋めていると高温多湿や霜が降りるといった気候の変動で傷むことがあります。
そこでガーデニングでは、花が終わると球根は掘り出します。
掘り出した球根は風通しの良いところで保存し、適切な時期に再び植えつけるのです。
球根植物は多年草とはいっても、育てるときの手間は一年草に近いかもしれません。
- 地上部が枯れない→常緑タイプ
- 地上部が枯れる→落葉タイプ=宿根草
一年草と多年草、花の咲き方の特徴は?
一年草と多年草の違いは、一年だけか、何年も花を咲かせるか、という違いだけではありません。
両者は「花を咲かせる期間」にもちがった傾向があります。
一年草は、そのときに花を楽しみたいという人が購入する傾向があるため、花を長く咲かせる品種が開発されてきたようです。
一方、多年草は長期的な庭づくりを楽しむ人が、毎年同じ時期に花を咲かせてくれることを見据えて購入することが多いようです。
多年草があまりにも長く咲いたら、季節感がなくなってしまうかもしれません。
- 一年草は長く咲く
- 多年草は花の時期が短い
一年草と多年草は組み合わせましょう!
ガーデニングを始めるときには、一年草からスタートさせる方が多いかもしれません。
一年草、多年草の分類を気にしないで花の苗を選ぶと、フラワーショップの店頭に鮮やかに咲いている花はたいてい一年草だからです。
少しガーデニングに慣れてくると、一年草は花が終わると枯れてしまうことや、毎年新しい花を植えなくてはいけないことに気がつき、多年草に興味が出てくるでしょう。
多年草が毎年、季節を知らせるように芽を出してくれるのは、嬉しいものです。
しかし、多年草ばかりにしていると、花が咲いていない時期には殺風景な状態になってしまいます。
花のラインナップがずっと同じため飽きも出てくるかもしれません。
とはいえ、一年草ばかりにすれば、しょっちゅう植え替えに追われることになるでしょう。
殺風景になるのを避け、手間はかからない庭づくりをするには、一年草と多年草を上手に組み合わせることがポイントです。
一年草と多年草の組み合わせ方
次から次へと花を植えるだけでは、せっかくの庭や花壇が、まとまりのないスペースになってしまいます。
ほんの少し考えてレイアウトをすることで、見ちがえるほど雰囲気が良くなります。
ここでは、一年草と多年草の性質も踏まえながら、基本的な組み合わせの仕方をご紹介します。
ベースは多年草、ポイントは一年草を選ぶ
広い面積をおおうベースの花を一年草にしてしまうと、一年草が枯れると一気に寂しくなってしまいます。
ベースは多年草にしておけば、花がない時期も葉が残ります。
冬に地上部が枯れるタイプではなく、葉が残る常緑タイプのものを選ぶのがおすすめです。
多年草があることで、一年草が咲かない時期もグリーンの葉の色が目を楽しませてくれます。
植え替えが大変な場合には、年に一回だけ好きな一年草を植えるスタイルでも充分にガーデニングを楽しむことができるでしょう。
また、多年草と一年草で、花の時期が異なる種類を選んでおくと、花がまったくなくなる時期が少なくなります。
少しがんばって年に2回の植え替えをすれば、一年中、途切れることなく花を見ることができます。
春から秋に咲く一年草、秋から冬に咲く一年草、ベースの多年草を組み合わせれば、いつも花が咲いている花壇をつくることができるはずです。
高低差を作り、立体感を出す
花を構成するときには、花の高さにも注目すると、ガーデニング上級者の雰囲気が出せます。
低く咲く花しかなければ、高さのある花を導入するだけで、単調さがなくなり洗練された感じになります。
反対に、チューリップだけが咲いているような花壇であれば、デイジーなど、チューリップよりも低い花を入れるとよいでしょう。
あらかじめ土を高めに盛って高低差をつけて、見映えだけでなく、地面からの熱を避けたり腰を曲げて作業をする負担を減らす方法もあります。
花の色は同系色でまとめるのが基本
ファッションとも共通しますが、花の色に迷ったときには同系色が一番です。
特に、植えっぱなしになる多年草は同系色でまとめておくのが安心です。
例えば、多年草いくつかを紫系でそろえたら、そこに加える一年草はブルーや白にすれば、まとまりのある空間がつくれます。
もし、変化をつけたいときには、一年草でトライしましょう。
たとえば、紫系の多年草に暖色系の花を植えても意外と合うこともあります。
ベランダガーデニングの場合
花壇を想定したポイントを挙げましたが、ベランダガーデニングも同じ考え方でレイアウトができます。
むしろベランダのコンテナガーデニングの方が、鉢の位置を変えるだけで簡単にレイアウトを変更できて、自由度が高いのです。
ベランダでも、花壇のような寄せ植えの雰囲気を出したいときには、大きめのコンテナを一つ導入すると、同じように楽しむことができるでしょう。
コンテナが大きければ大きいほど、移動が大変になるため、持てる範囲の大きさにとどめておき、鉢底石は発泡スチロールで代用したり、軽量化する工夫をすると後々楽になります。
場所をとるコンテナは、衝動買いせず、じっくりサイズやデザインを検討するのがおすすめです。
おわりに
今回は、一年草と多年草の違い、またそれぞれの組み合わせ方法などをご紹介しました。
一年草と多年草の違いを意識して選ぶことで、手間はかからないのに花は長く咲いてくれるガーデニングが実現できます。
それぞれの特徴をとらえた構成がうまくいくと、花を咲かせる喜びとはまたちがったプロデュースする楽しみも味わえるのです。
次に花を増やすときには、花の性質も考えて選んでみてはいかがでしょうか?