抽象画を皆さんは知っていますか?
芸術にはさまざまな特徴があります。
画家の数だけ表現方法がありますし、見ている人によって解釈が変わるものも存在しています。
絵には正解が一つではないからこその、面白さのようなものも存在します。
さて、そんな絵画の世界のなかでも「ちょっと難しい?」と言われているのが抽象画だと思います。
何を描いているのか、一見判断しづらい絵のテイストも多く見かけます。
今の時代でも抽象画は常に注目を集め、たくさんの画家も存在します。
抽象画の知られざる魅力や、歴史、種類や有名な作品について、わかりやすくご紹介していきたいと思います。
抽象画とは
抽象画とは、作品のモチーフを持たない絵画のことです。
もともとなにか絵画を製作しようとしたときに、どの作品にも人物を描く、動物、風景などのなにか具体的に存在するものが描かれていて、それを題材にしています。
それに対して抽象画は、存在しないものを描き、対象物の点や色彩などの造形的な視点から、一つの作品に仕上げていく、到来の芸術の考え方とは全く異なったものだと言われています。
そもそも抽象画が生まれたのは、世界一次大戦のあとにモスクワなどで誕生した絵画の表現方法があったと言われています。
もともとの絵画の枠組みを否定したあとに、シュルレアリスムが登場し、その後抽象画が広がっていきました。
モチーフを持たない抽象画は一見、何を描いているのかわかりにくいと感じる人もいると思います。
抽象画といっても、とても幅広くキュビズムからその文化が始まったそうです。
視点を変えてさまざまな角度から見るキュビズムは、近代美術のなかでもとても知られている方法です。
その後1910年に入り純枠抽象画というのも出てきます。
人間の内面を基本として描いた作品になり、感情を持ち合わせる人間だからこその葛藤なども見て取れます。
その後、幾何学模様を使った新造形主義が生まれ、1950年にはアクション・ペインティングも誕生しました。
絵を描くから飛び散らかす方法を用いたもので、画家の動きを重視した作品としても注目されています。
今までの絵の手法とは全く違う視点なのも抽象画の面白さです。
最も近代になって登場したのが「カラーフィールド」になり、色彩によって描く割合を使った表現方法です。
絵には中心も焦点なども存在することなく、色や模様によって意味を持っているともいいます。
どれも説明がついていないとちょっとわかりにくいのですが、抽象画の歴史でもあり、進化として考えられています。
抽象画の楽しみ方とは
抽象画は、モチーフがない分、芸術的な良さがわかりにくい作品も多く存在しています。
そのため、どんな視点で鑑賞したらいいのか戸惑う人も多いのではないでしょうか。
抽象画ならではの楽しみ方のポイントについて紹介します。
見た目の印象や美しさをそのまま楽しむ
抽象画について楽しみ方がわからない人は、とにかく見たままの印象を楽しむのも一つの鑑賞方法になります。
例えば抽象派の作品のなかには、色使いが素敵なものもありますし、構図がダイナミックで元気をもらえるようなものもあります。
絵の具の使い方が個性的で面白いものもあるなど、他の技法には見られない方法を取り入れているものもあります。
難しく考えすぎず、見たままの印象からどんな物語があるのだろう?と考えてみるのも面白いかもしれません。
モチーフが決まっている作品とは違い、あなたが見た印象をそのまま楽しめること、想像を膨らませられるのも抽象画の良さだと思います。
抽象画は画家によってもそれぞれ特徴があるので、その違いを楽しんで見る方法もあります。
今までとは違った絵を見ることで得られることもたくさんあるのではないでしょうか。
抽象画の時代背景を知る
抽象画を楽しむためには、描かれた時代背景などの背景にも目を向けると自然と答えが出てきます。
どんな時代に描かれたものなのか、そもそも抽象画が生まれた意味など、事前に知っているだけでも見え方が変わってくるのではないでしょうか。
あなたの気持ちそのままに絵を鑑賞するのも楽しいのですが、作品の背景が見えてくると鑑賞する深みのようなものが出てくるのでもっと楽しめるのではないかなと感じます。
美術家の背景はもちろん、芸術運動はどんなものが行われたか知っていますか。
抽象画を描いた画家にも興味を持つことで、表現の意味のようなものも見えてくるはずです。
抽象画ならではの時代背景から学べることで、もっと興味深く鑑賞できるはずです。
抽象画の魅力を知るためには、考えすぎないことも大切です。
あなたの持っている感性そのままを使い、色や線が持っているバランスやリズムなどを感じることも、抽象画ならではの味わい方ではないかなと思います。
あなたの日常のなかで、青空や水面がキラキラと煌く姿を見て美しいなと感じるのではないでしょうか。
こういった気持ちが抽象画には必要です。
抽象画で有名な画家を紹介
抽象画を描いた画家はたくさんいます。
もちろん見る人による好みなどもありますが、抽象画のなかでも、特に有名な画家について紹介していきたいと思います。
セネシオ(パウル・クレー)
大きな瞳が描かれたなんとも不思議な絵を一度は見たことがあるのではないでしょうか。
これはパウル・クレーによって1922年に描かれたものです。
スイスの画家になり、子供の頃から音楽を身近に感じる生活をしていました。
11歳のときにオーケストラに在籍するほどの腕前を持っています。
その後絵に興味を持ち、抽象画を描くようになります。
パウル・クレーの作品はどれも美しく豊かな色彩が特徴になり、画家であることを色彩から認識しています。
たくさんの作品を残しましたが、最も人気の高い作品がセルシオです。
収斂(ジャクソン・ポロック)
1952年に描かれた抽象画になり、アクション・ペインティングの騎手とも称されるアメリカの画家です。
これは一般的なキャンパスに絵の具をおいて描くなどの手法を使わないものになります。
実際にジャクソンの作品を見ても、描き方が全く違うのがわかると思います。
彼がこの作品を描いた当時は、冷戦下にあったと言われています。
社会的な抑圧を強く受け自由が少ない時代ではありますが、抽象画については世界各地で個展が開かれていたそうです。
たった44歳のときに事故で亡くなりましたが、たくさんの作品を残しています。
Delta Theta(モーリス・ルイス)
1961年に描いたこの作品はとにかく色彩とバランスの美しさに定評があります。
アメリカ出身の画家であり、講師業も行いながら生計を立てていたと言われています。
自宅のダイニングをアトリエとして使用しており、奥さんが外出中に製作を行っていました。
ステニングを使った製作を行い、その製造工程は誰にも見せなかったと言われています。
実の奥さんですら見たことがないというのですから徹底していますね。
まとめ
抽象画の魅力を知ると、もっとどんな作品があるのか見てみたいと興味を持つ人が多いのではないでしょうか。
画家によっても印象が変わるように、見る人によっても物語があります。
抽象画の作品は、まずは深く考えすぎずにあなたの感性のままに見てみてください。
時代背景を知っているだけでも、何を目的に描かれた作品なのかが見えてくるはずです。
抽象画ならではの素晴らしさを、見つけてみませんか。