2010年代に始まった万年筆ブームの流れから、カラーインクの魅力にハマる人が増えています。
SNSでは「インク沼」というハッシュタグまで生まれました。
デジタル化が進む現代において、なぜアナログな万年筆やカラーインクが注目されるようになったのでしょうか。
今回はその魅力について説明します。
万年筆ブームのきっかけは?
2013年にパイロットから発売された子ども・初心者向けの万年筆「カクノ」が、最近の万年筆ブームの火付け役と言われています。
税抜1,000円という低価格ながら、持ちやすく書きやすい構造であること、カートリッジ(あらかじめインクが充填されている)とコンバーター(空のボトルに自分でインクを吸引する)の両方に対応していることなど、機能面も充実している点がブームとなった大きな理由であると言われています。
万年筆は扱いが難しそうな印象を受けますが、最近は初心者向けに工夫された万年筆がたくさん出ています。
興味のある方は、これから始めてみる良いチャンスかもしれません。
万年筆の良さは人それぞれ感じるポイントが異なりますが、手が疲れにくい・表現の幅が広い・気分が上がる・仕事への気持ちのスイッチが入りやすい、などの声が特に多いようです。
万年筆とカラーインク|自分らしさを表現できる世界
従来の万年筆用のインクは、実用性を重視した黒や青などの暗い色が主流でした。
しかし万年筆を趣味としても楽しむ人が増えてきたことから、今までにない色合いのインクも作られ始め、最近では地域限定の「ご当地インク」まで販売されるようになりました。
カラーインクの最大の魅力は、その「美しさ」にあります。
カラーインクを使うと自然な色の濃淡が生まれ、ただ文字を書くだけでも美しいグラデーションが完成します。
最近ではラメ入りや紙によって出る色が変わるインクもあり、その楽しみ方は無限大。
さらに、ボトルのデザインや色のネーミングも美しいものが多く、集めてコレクションすることが楽しいと感じる人も多いようです。
万年筆とカラーインク|種類
万年筆用のインクは大きく「染料インク」「顔料インク」「古典インク」の三種類に分けられます。
それぞれの特徴について見ていきましょう。
染料インク
万年筆用としては最も一般的、使いやすい。
水に溶ける性質があり、水に濡れると文字が読めなくなる。
光によって色あせる可能性あり。
顔料インク
耐光性、耐水性に優れている。
一度固まると溶けにくいため、定期的なお手入れが必要。
古典インク(没食子インク)
紙に書くと酸化して、文字が黒に近づいていく。
耐光性、耐水性に優れている。
長期保存に向いている。
気軽に文字を書きたいときは染料インク、日記のように長く保存したいものは古典インクなど、用途によって種類を使い分けるのがベターです。
万年筆とカラーインク|インクの基本的な使い方
保管について
インクの消費期限は、メーカーにもよりますが約2〜3年です。期限を過ぎると色あせたり、インク詰まりなどのトラブルの原因になりやすいため、使用は控えてください。
直射日光や高温多湿な場所を避けて保管し、なるべく早めに使い切ることが鉄則です。
また混色可能なインクを除き、複数のインクを混ぜることも劣化の原因になるためNGです。
同じインクを古いボトルから新しいボトルに詰め替えるなども避けてください。
補充の仕方
万年筆へのインクの補充には「カートリッジ」と「コンバーター」の方式があります。
手軽に使えるのはカートリッジ。
すでにインクが補充されているため、万年筆にセットするだけですぐに使い始められます。
コンバーターはボトルインクから自分でインクを注入して使います。
カートリッジは手軽な分、やや割高となり、色の種類もボトルインクより少なめです。
最初はカートリッジを使い、万年筆に慣れてきたらコンバーターに置き換えるのが良いかもしれません。
万年筆とカラーインク|おすすめのボトルインク3選
失敗しないインク選びのポイントは、実用性とデザインの両方を考えること。
用途によって種類を選びつつ、ボトルの使いやすさなどにも注目してみてください。
特に海外ブランドのインクは実用性を重視したものが多い傾向にあります。
パイロット「色彩雫(いろしずく)」
インクブームの火付け役とも言われている人気ブランド「色彩雫(いろしずく)」
朝顔・山葡萄・秋桜など日本の風景の名前が付けられており、自然に多い青系や緑系のカラーバリエーションが豊富です。
秋は「紅葉」、冬は「冬将軍」のように、季節によって色を使い分けてみるのも良いですね。
セーラー「SHIKIORI(四季織)」
こちらも日本の四季をイメージしたカラーインク「SHIKIORI(四季織)」
最近リニューアルされたボトルは、コンパクトで可愛らしい印象です。
モンブラン インクボトル
高級万年筆メーカーであるモンブランのインクボトルは、靴のオブジェのような個性的なデザイン。
モンブランのロイヤルブルーは「最も美しいブルーインク」と評価されています。
まとめ
自分らしさを表現できる万年筆とカラーインクの世界。
ボールペンのような手軽さはないけれども、毎回違う表情を見せたり、自分で自由に表現ができたり、アナログならではの面白さがあります。
きっと書くこと自体が楽しくなるはず。
書店や文具店でインクコーナーを見かけたら、ぜひ手にとってその美しさを感じてみてください。