美術が好きな人には、美術が好きになったきっかけがあります。
美術は、美術館に飾ってある絵画や彫刻だけではなく、お菓子のパッケージやアニメ、家電や日用品のあらゆるものに関係しています。
遠い存在のようで、実は身近にあり、私たちの生活を豊かにしているものが美術です。
今回は、美大生だけではなく美術が好きな人たちが美術を好きになったきっかけについて紹介いたします。
学生時代に自分の作品が褒められたから
美術が好きで自分で作品を作る人の多くは、学生時代にきかっけがあるようです。
美術の授業で作った作品が褒められたり、コンクールに出品されて受賞したりすることは、自信につながります。
また、文化祭でポスター制作をしたり、イラストを描いたりしたことがきっかけで描くたのしさを知った人も多いようです。
美術は、数学や英語のように点数がつけづらいため、自分のスキルの程度を知ることは難しいかもしれません。
そのため「美術が好きだけど、美術の道に進むべきか悩んでいる」という学生がとてもたくさんいます。
そんなときに先生から褒められた一言、家族が認めてくれた一言が背中を押してくれるきっかけとなることがあるのです。
人は、褒められると好きになるものではないでしょうか。
一枚の絵に大きな衝撃を受けたから
「美術は好きじゃない」と思っている人の中には、美術で表現されるものは「きれいなものだけ」と思っている人がいます。
例えば、モネの作品はきれいな花、東山魁夷は美しい風景です。
「きれいなものしか描かれない世界は好きじゃない」という理由から美術を避けている人がいるかも知れません。
しかし、ゴヤの絵をみると衝撃を受けるかと思います。
きれいな世界どころか、人間の内に秘めるドロドロとした世界を描いた絵だからです。
一枚の絵が持つ深い意味を探ることも楽しみのひとつです。
描かれた時代背景や画家の性格や人生を知ることで、より深く作品を理解できます。
また、和菓子の老舗の羊羹のパッケージに衝撃を受けてパッケージデザインに興味を持った人もいます。
「美術が好き」というと「絵を描いたり作品を作ったりすることが好き」と思いますが、絵や作品を鑑賞することも美術です。
衝撃を受ける作品は人それぞれです。
ふと入った画廊や百貨店の展示即売会でみつけた無名の画家の作品に衝撃を受けることもあります。
その人が歩んできた人生や経験によって衝撃を受ける作品は変わってくるのではないでしょうか。
多くの作品に触れることで、衝撃の一枚に出会えるチャンスは広がります。
幼い頃から美術が身近にあったから
美大では、親がデザイナーや画家という人も多くいます。
幼いときから絵の具や粘土が家にあり、なにかを制作することは日常生活の一部だったようです。
美術館は遊園地や映画館と同じ感覚で頻繁に訪れていたそうです。
スポーツ選手にも、親の趣味がサーフィンだったり卓球だったりすると、子どもも幼い頃から挑戦する機会に恵まれている傾向があります。
接する機会が多ければ、始めるハードルが低くなることは当然のことなのかもしれません。
幼い頃から幼児教室や絵画教室に通わせれば美術が好きになるとは限りません。
なぜならば、美術を好きになるためには、本人が美術の魅力に気がつく必要があるからです。
魅力は、教えられて理解するものではありません。
知識や技術を習うよりも、百貨店で一流の食器をみたり、カーテンの絵柄にこだわったりすることで美術を身近に感じられるのではないでしょうか。
美術は身近なところにあふれています。
おわりに
とある美術家は、駅に貼ってあるポスターが大好きで、貼り替わるたびに「素敵だな」と思ったことがきっかけのようです。
「ポスターを作る仕事」が美術に関係すると知ったことも美術の道へ進んだきっかけですね。
好きな作品や駅のポスター、家で使っていた古い磁器など小さなきっかけの積み重ねで美術好きになることもあります。
美術を好きになるきっかけは日常にたくさんあるのかも知れません。