アクリル絵の具でよく耳にする「メディウム」について、聞いたことはあるでしょうか?
世界大百科事典では「絵の具の成分のうち顔料と練り合わせて、その均質な分散や接着を助けるために働くものとあります。
絵の具の使用者が好みによって,透明感や光沢の変更,絵の具の増量,乾燥速度の調整などのために絵の具に添加して用いる液体またはペースト状のもの」とされています。
使いやすいようにツヤ、硬さ、乾燥の速さなどが変えられるので、とても便利です。
アクリル絵の具を用いる時には、知っておいた方がいいのが「メディウム」です。
今回は、メディウムでできる基本的な部分について紹介いたします。
メディウムでできる5つのこと
アクリルのメディウムは、アクリル絵の具に混ぜて使用することで用途やイメージごとに、絵の具をカスタマイズすることができます。
そしてたくさんの種類があります。
初心者さんには、やや小ぶりのメディウムセットが売られていますから、それを用いることで質感や表現効果なども実感しやすくなるでしょう。
アクリル絵の具の性質がメディウムを用いることで変化しますから、多彩な表現が可能になります。
絵の具のテクスチャーを変えることができるので面白そうですが、それはどういう時、どのように用いられるのでしょうか。
5つほど、挙げてみます。
①下地づくりとして
キャンパスに色を塗る前の段階で、下地として用いることもできます。
白や黒の下地を塗った後は、キャンパスの上で筆が滑らかに動き、綺麗に発色します。
また、凹凸ある質感を出すことができたりなど、工夫次第ではとても楽しい感慨深い作品に変化したりします。
②質感の変更に
質感や性質、透明感やツヤ感、マットな質感などなど、ひび割れ感含めてアクリルメディウムを混ぜることで、全く違うものに変化させることができます。
つまり、混ぜる分量次第では無限大の楽しみ方ができるということです。
③硬度変更に
筆の運びをスムーズにするには、絵の具が柔らかいほうがいいのですが、アクリルメディウムは、硬度の変更ができます。
もちろん、固まりかけた絵の具を柔らかくしたい、そんなときもぜひどうぞ。
④乾燥速度の変更に
「時間もないし、早く乾かしたい!」そのような場合にとても重宝します。
逆に乾燥速度を遅くするものもありますので、色々使い分けてみましょう。
⑤接着剤として
紙、あるいは布などをキャンパスに貼り付けたいときがありませんか?
コラージュするときは、アクリルメディウムを薄く伸ばして接着剤として使ってみましょう。
※ガラスやプラスチックなど、一部の材料は使用不可のものもあります
アクリルメディウムは、下地づくり、質感、硬度、乾燥速度の変更だけでなく、コラージュの接着剤としてなど、幅広い用途がありますね。
メディウムの種類
「ジェルメディウム」で透明に
この「ジェルメディウム」は、一番メジャーなものであり、よく利用されているようです。
このメディウムをアクリル絵の具に混ぜることで透明感を強く出すことができ、綺麗なツヤ感も表現することができます。
もしかしたら、あなたは「最近のアクリル絵の具って優秀だから、わざわざ透明にするためにジェルメディウムはいらないでしょ?」と、思うかもしれません。
ですが、このジェルメディウムを用いることで、絵の具の硬さを保った状態を保ちながらも透明にもすることができるのです。
素晴らしい効果を発揮できます。
使い方は多々ありますが、例えば絵の具を厚塗りしながら、下の層の絵の具を透かすといった楽しい工夫にも使えたりします。
ツヤを出し、透明感もアップさせる場合は、ジェルメディウムが良いかも知れません。
「マットメディウム」でツヤ消し効果
「ツヤはいらないから、マット感を出したい!」そんな場合には、こちらの「マットメディウム」です。
透明度は高いままで、ツヤ消しのマットな質感を出すことができます。
また、接着力に優れているので、接着剤としても重宝するでしょう。
通常のマットメディウムは画面保護を目的としていないので、その場合は、画面保護に適した「マットバーニッシュ」でツヤ消しをしながら画面保護をしてはいかがでしょうか。
ツヤ消しとマットな質感を演出したいなら、きっと満足してもらえます。
「リターダーメディウム」でグラデーションを!
こちらはよく、「リターダー」や「リターディング」などと呼ばれているようです。
少量を絵の具に混ぜることで、乾燥を遅らせることができます。
このメディウムは、絵の具のグラデーションを割合容易に作ることができます。
「アクリル絵の具の乾燥が速すぎるから、ぼかしがうまくできない」、そんな時にはこのメディウムを使ってみましょう。
ぼかしやグラデーションには、リターダーメディウムを選択するのもありだと思います。
おわりに
使用頻度の高いメディウムをいくつか、紹介してみました。
「媒体」という意味の「メディウム」ですが、種類も豊富なことからアクリル画で表現するときの醍醐味のひとつになることでしょう。
絵の具のテクスチャーを変えることができ、面白いので、様々なバージョンを楽しんでみてください。
作品に接したときに、「あーこれは、〇〇のメディウムを使ってる!」というのはつまらないという人もいて、様々な工夫がなされていることも確かです。
メディウムはメーカーや種類によって特徴が異なりますから、いろいろチャレンジしてその時々で自分に合ったものを選択してみてくださいね。