美大受験には、学科試験だけではなく実技試験もあります。
受験する学科によって試験内容は異なり、専門的な勉強や教育を受けなければ合格は難しいでしょう。
美大に入学するほぼすべての人は、美大受験予備校で美大受験に必要なことを学んでいます。
美大受験予備校では、すべての基礎となるデッサンを始め、科ごとの実技対策を行っています。
この記事では、美大受験を考えたときに知っておきたいことをまとめました。
美大受験をするなら美大受験予備校に「とりあえず」行く
美大受験を考えたら、実際に受けるか受けないかが決まっていなくても、とりあえず美大受験予備校に行ってみるといいでしょう。
説明会に参加して美大受験の実情を知ります。
美大に憧れている人はとてもたくさんいます。
しかし、説明会で就職率や合格率を聞いただけで考え直す人もたくさんいるのです。
説明会に参加しても迷っているならば、夏期講習などの短期講習に参加します。
短期講習は、決められた期間に集中して課題をこなします。
主要な美大(東京芸大・武蔵野美術大・多摩美術大・東京造形大・女子美術大)は首都圏に集中しています。
そのため、短期講習には日本全国から美大受験を考えている人たちがやってくるのです。
地方の高校で「絵がうまい人」と思われていた人でも、美大受験予備校に足を踏み入れてみたら強力なライバルの多さに驚くでしょう。
逆に自分の絵に自信がなかった人が、いきなり注目されて自信につながることもあります。
美大受験予備校は、短期講習だろうと初めての受講生だろうと容赦はありません。
いきなり作品を1位から順に並べて講評をします。
短期講習で初めて美大受験予備校を訪れた人の三分の一は、短期講習で自分の実力を知り、美大受験をあきらめていきます。
残った人も徐々に現実を受け入れて、半分が最後まで残る程度です。
最後まで残った人でも必ず合格するわけではありません。
現役で合格できる人はラッキーであり、美大受験は浪人も当たり前の話です。
美大受験をしようと思ったら「とりあえず」美大受験予備校に行くという意味は、頭で考えているよりも、自分の目でライバルの力をみて、自分の実力を客観的にみることで「受けられるか」の判断がつくということです。
あきらめる理由が「お金」ならば、あきらめたらもったいない
美大受験を「お金」で迷う人がとてもたくさんいます。
「美大はお金がかかる」というイメージがとても強く、美大受験をあきらめる理由の一位二位を争う理由が「お金がないから」なのです。
しかし美大はすべての学科、すべての人にお金がかかるわけではありません。
たしかに武蔵野美術大学を例にすると、授業料は初年度総額が約190万円です。
しかし、日本大学の初年度総額も経済学部が約125万円、理工学部が約180万円です。
美大の学費は、ここ十数年たいして変動していません。
「美大は高い」というイメージがありますが、美大は値上げ幅が小さいため今では理系学部との差が小さくなっているのです。
また、学科によっても費用は変わります。
作品を作るたびに高価な材料を使う学科や人ならばお金はかかります。
しかし、一度道具を揃えればあとはたいしてお金がかからない学科もあるのです。
最近は奨学金も充実しています。
美大はお金持ちが多いと思われがちですが、実際に入ってみると「お金がある」と言っている学生の方が少ないでしょう。
入学式が終われば、会場はそのまま奨学金説明会に変わり学生もそのまま説明を聞いて申込書を受け取っています。
美大では、有名な奨学金以外にも大学独自の奨学金制度もたくさん用意されています。
「お金がない」という理由で美大受験を迷っているならば、ぜひ受けらえる制度を探してみてください。
きっと想像以上に味方はいるものです。
美大は専攻する科目によって学生のキャラが違う
美大のキャンバスを歩いていると、見た目と雰囲気で専攻している科目がわかります。
美大はファイン系とデザイン系にわかれています。
ファイン系とは、油絵科や日本画科や彫刻科でデザイン系はグラフィックデザインや空間演出デザインなどデザイン全般です。
ファイン系の学生は、いわゆる美大生キャラです。
服装は「つなぎ」という上下がつながった服を着ていて、絵の具があちこちについています。
髪型も個性的で強めのパーマや作業がしやすいように後ろにひとつに結んでいる人が多いでしょう。
一方、デザイン系は個性的でオシャレな服装です。
さらにデザイン系の学生はカメラをぶらさげて歩いている人が多く、カメラがファッションの一部のようになっています。
美大生に共通していることは、いわゆる有名ブランドのバッグや服を着ているひとはほぼいません。
個性を尊重する美大では「みんなが持っているブランド」は人気がないどころか「ださい」と思われる可能性が高いでしょう。
持っているバッグは、どこかの民族が作ったような民芸品だったり、自分で加工したオリジナルバッグだったりが多く、ファイン系の学生はバッグを手に持っていない人もたくさんいます。
美大生は荷物が多いため、いつでも大きなリュックを背負っている人も多いです。
まとめ
美大は、お金がかかるイメージが強く、就職先に恵まれているわけでもありません。
入学するまでにも美大受験予備校に通い続け、厳しい指導に耐える必要があります。
それでも美大の人気が高い理由は「自分の”あるがまま”を受け入れてくれる大学であり、自己を確立できる場」だからではないでしょうか。
「美大生は個性が強い」と言われますが、お互いの個性をつぶしたり、けなしたりすることはしません。
相当変わったことをしたり話したりしても「なるほど」と受け入れてくれる仲間がいるのです。
美大で確立した個性と自信は、卒業してからも生きる糧になります。
それは就職以上に人生を安定させるものなのではないでしょうか。