絵画と一体になり作品の印象を決める重要な役割といえば「額縁」です。
絵の雰囲気に合わせた額縁を選ぶのは、簡単なことではありません。
センスが問われる場所といっても過言ではありません。
どんな種類にしたらいいのか、迷っている人も少なくないと思います。
額縁を選ぶポイント、そもそもの役割を紹介します。
絵を飾る時の額縁の意味
額縁と絵画は“一心同体”と言っても過言ではありません。
額縁にはいくつか役割があります。
絵画を保護
まず一つ目が「絵画を保護」するための役割にあります。
絵画は額縁に入れて保管しておかないと、日光や湿気などのさまざまな要因によってすぐに傷んでしまいます。
なかでも油絵は傷みやすい代表でもあるため、額縁を使ってしっかりと守ってあげる必要があります。
絵の価値を高める
今まで絵画だけにしか目がいかなった人も、一度額縁に目を向けてみてください。
額縁も実は芸術作品になり、高価なものであればあるほど額縁にもこだわっています。
額縁を見ればその価値がわかるといっても過言ではないのです。
両方が揃って価値を決めているというのが正しい表現かもしれません。
額縁も丁寧に作られた職人の腕が生きているものがたくさんあります。
有名な作品などが美術館に飾られるとき、額縁との相性を考えて用意します。
いかに絵画の魅力を引き出せるのかによっても考え、最適な額縁を考えていきます。
あくまでも主役は絵画であることは変わりませんが、額縁と両方がマッチしていることで、より魅力を高めることにもなります。
絵を飾るうえで額縁がいかに重要なものか、一度ついているもの・ついていないもので比較してみてください。
そもそも絵画は変えがきかないものですが、額縁を変えるだけでもイメージが変わるのも面白いところです。
絵を飾る時の額縁の意味について、今一度考えてみると自ずと答えが出てくるはずです。
絵画の額縁を選ぶ時のポイント
額縁が大切なのはわかっても、初心者にとって少しハードルが高いと感じるかもしれません。
絵画にぴったりの額縁を選ぶことで重要なポイントにはこんなものがあります。
大きさを正確に認識する大切さ
額縁を選ぶうえでサイズを測るのは出発点でもあるものです。
既製品はもちろんオーダーメイドの額縁を注文するにしても、必ず必要な情報になります。
正確にサイズを測っておくことが求められます。
違う大きさの額縁を選んでしまうと、意味のない額縁になります。
特に購入な額縁を購入するときは、額縁のサイズを複数回に分けて測るようにしてください。
ポイントはミリ単位で測ること、内寸法で調べるのもポイントです。
額縁は作品によって異なる
額縁を使うのは芸術作品の多くに見られることです。
例えば写真や書、色紙やはがきなどの薄いものから、日本画はもちろんパネル仕立ての作品など、それぞれに厚みが異なります。
平面作品である油絵や水彩画などは、厚め2cm程度のものを選ぶのをおすすめします。
比較的厚みがあるので、薄めの額縁は合いません。
もともとあるものでも対応できますが、特殊なものはサイズに合わせたオーダーメイドです。
場所に合わせた額縁のデザイン
絵画と額縁は一体として考えます。
例えば「この額縁素敵だな」と思って選んでも、絵画と合わない、部屋の雰囲気を合わずに浮いて見えるなんてことも少なくありません。
これは、額縁をかける場所を考えずに選んでしまっていることが関係しています。
額縁にも素敵なデザインはたくさんありますが、選ぶことに夢中になってしまうと、部屋との相性をつい後回しになってしまいます。
額縁を選ぶときは、絵画との印象、部屋との相性なども含め総体的に決められるようにしてください。
できるだけ部屋のテイストと合わせたデザインの額縁を選ぶのもポイントです。
用途に合わせたマットを選ぶ
額縁の絵の裏に使うマットには重要な役割があります。
マットには余白を調整し、サイズが合わなくても使えるようにしてくれます。
また、額縁と絵画が直接触れてしまうと傷つけてしまうこともあるので、間に入るクッションのような役割もあります。
マット自体は必要に応じてトリミングでき、装飾品としての役割もあります。
マットを単体で考えてしまう人もいるのですが、あくまでも作品の一部分です。
そのためマットも踏まえて決めるようにすると、失敗がなくなります。
マットを単体でも、Wで重ねても使えます。
額縁の表面の素材にもこだわろう
額縁の表面のカバーにも種類があり、それぞれに特徴があります。
現在最も多いのが「アクリル」のカバーを用いたものになります。
ガラスの上位相互品になるのですが、経年劣化による変色や変形が起こりにくく、耐候性にも優れています。
たるみやゆがみが気になりにくく、軽量で割れにくくて安全です。
アクリルはガラスよりも透明度が高く、室内に入り込む紫外線を90%カットしてくれるものもあります。
日差しから絵画を守ってくれます。
その反面、ガラスよりも少し価格が高くなり、傷がつきやすいのもアクリルの特徴です。
静電気が発生しやすいので、ホコリがつきやすく、定期的なメンテナンスが必要です。
アクリルのなかでも紫外線のカット率をより高めた、「UVカット強化アクリル」などもあります。
ほんのりと黄色のアクリルになり、98%の紫外線をカットします。
アクリルの中でも高価なものになりますが、絵画を守るうえでもとても重要です。
他にも価格重視の人は「透明シート」を選ぶ人もおり、薄くて軽く気軽に購入しやすい反面、透明度は低く紫外線に弱く変形しやすい問題などもあります。
もともとよく使われていたガラスも、平面性に優れた素材です。
傷がつきにくいものですが、割れた時の危険性や重量感、紫外線のカット効果がないなどの問題も出てきます。
特に希望がないときはアクリルの表面を選んでおくのをおすすめします。
ちなみに表面のカバーはつけたほうがいいものの、必ずつけなくてはいけないものではありません。
例えば油絵やアクリル画などはもともとの耐久性が高く紫外線の影響を受けにくいものです。
絵画ならではの特徴を直に感じたいなどの理由で、あえてカバーを付けない人もいます。
水彩画は大きめの額縁を選ぶのがおすすめ
水彩画は油絵に比べて薄い紙に描いて仕上げたものが一般的です。
紙や写真などを含め薄い媒体の場合は、作品と同一サイズを選ぶのもいいのですが、スタンダードの大きめのものを選ぶのをおすすめします。
絵画でも使える額縁は違います。
水彩画の場合はぷったりの外寸を選んでいるほうが少なく1.5倍ぐらい大きめのものを選ぶほうが、全体のバランスもきれいになります。
絵の印象を引き立たせることにもなり、水彩画の魅力が伝わりやすくなります。
実際に美術館で飾られているときも水彩画は大きめの額縁が多いハズです。
技法による額縁の選び方の違いも覚えておきましょう。
まとめ
絵を飾る時の額縁についても、作品との相性や部屋との相性も含め考えたうえで決めます。
装飾性の高い額縁のほうが合うときもありますが、シンプルなほうが合うときもあります。
作品の特徴を捉えることも必要なことですし、最適だと思える額縁を探すようにします。
絵にとって額縁は一心同体でもあり、長くその魅力を楽しむためにも必要なものです。
額縁によっても絵の印象が変わるからこそ、しっかり選んでくださいね。