みなさんは、ピーテル・ブリューゲルという画家を知っていますか?
一家で画家を多く輩出しているため、ブリューゲル一家について、混同している人もいるかもしれません。
ピーテル・ブリューゲルについての情報はほとんど残っていないものの、優れた画家だったと言われています。
彼はどんな作品を残したのか、ご紹介していきたいと思います。
ピーテル・ブリューゲルとは?
謎多き画家
ピーテル・ブリューゲルについては、謎が多い画家として知られています。
というのも、どこが出身地になるのか、絵について学んだ経緯などの記録も残されていません。
とある記述によると、出身地は「ブリューゲル村」とあります。
しかし、そもそもどの国なのか、名前に入っているからそう思われているだけなのかもわかりません。
おそらく1525年~1530年に生まれたと予測されています。
ピーテル・ブリューゲルについて記述が残されているのは、1551年に自由親方として聖ルカ組合に登録する際の手続きによるものです。
聖ルカ組合は、ピーテル・ブリューゲルの息子2人も加盟しています。
アントウェルペンでは、画家の多くが版画を用いた芸術品で生計を立てていたそうです。
そのため、ピーテル・ブリューゲル自身も他の画家同様、油彩画を仕上げるよりも、版画の下絵を仕上げることに注力していたと言われています。
当時のアントウェルペンは、学問と芸術に長けている国でした。
その後、絵画旅行に出かけたこともあり、フランスやイタリアなどを見て回ったとされています。
実際に、イタリアでは約2年間の月日を過ごしたそうです。
同名の息子
ピーテル・ブリューゲルは、同棲している女性との縁を切る目的で、引っ越しをしたなどのエピソードも残っています。
ピーテル・ブリューゲルについての情報が少ないなか、希少な情報です。
また、ピーテル・ブリューゲルは早くして亡くなった画家でもあり、40歳前後でこの世を去っています。
子どもにも恵まれ、息子にも自分と同じピーテルの名前をつけています。
息子自身も画家として活躍しましたが、父親と過ごした時間が短いことからそこまでの影響は受けていないといいます。
ただ、名前が一緒なのもあり混同している人もいるかも。
同じ画家としての仕事を選んでいるのは、父親に思うところもあったのかもしれませんね。
ピーテル・ブリューゲルの作品の特徴は
ピーテル・ブリューゲルの作品は、描くものによっても違いがあります。
作品の多くは、独自性のあるユーモラスさを感じられるものになり、重くなってしまいそうなテーマをピーテル・ブリューゲルらしくアレンジしているのも特徴です。
細かな描写が多く作品の一つ一つを丁寧に描いた作品ばかりです。
息子も画家として知られていますが、ピーテル・ブリューゲルは日々の生活などの「世俗的」な絵を数多く残していることです。
例えば農民の日々の暮らしはもちろん、労働をテーマにしたものもあります。
もちろん宗教画などの作品も手掛けています。
しかし、何気ない景色のなかを描いたものもたくさんあります。
その証拠に、ピーテル・ブリューゲルの作品にはバベルの塔などの、聖書をモチーフにした作品もあります。
ピーテル・ブリューゲルの作品は?
ピーテル・ブリューゲルは、人間性の深さや自然、ユーモアなどのさまざまな分野に強く興味を持っていました。
そのため当時、多くの芸術が誕生しましたが、どの作品とも当てはまらない、個性的な作風だったと言われています。
イタリアに滞在していた時期もあったものの、その土地の影響を受けることなく、独自性を追求していきました。
バベルの塔
1563年に制作され、現在はウィーン美術史美術館に収蔵されています。
ピーテル・ブリューゲルの代表作としても知られており、ノアの洪水の後に人間が築いたバベルの塔を築いた姿を見て、神の怒りをかうことになります。
人間を混乱に導き、建設を中断させたなどの逸話が残っています。
ちなみにバベルの塔は何度か描かれており、建設中はもちろん、塔の完成が進んだ塔も描いています。
内部まで詳細に描かれたとても質の高い作品です。
イカロスの墜落ある風景
1556年から1558年に描かれた作品です。
ピーテル・ブリューゲルの数ある作品のなかでも最も有名な作品。
イカロス墜落の場面を鮮明に描いたものだといいます。
イタリアに旅行に行ったあとに描いたものとして知られています。
この絵の特徴はメインであるはずのイカロスがとても小さく描かれていることです。
農業に従事している姿が描かれていること、転身物語を忠実に再現しています。
子供の遊戯
1560年頃に制作された作品です。
ネーデルランドの美術ならではの特徴がよく描かれている、当時の姿を再現している作品です。
一度オーストリアのエルンスト大公に譲渡されています。
現在はウィーン美術史美術に収蔵されている作品です。
男・女関係なくたくさんの子どもたちが遊んでいる姿を描いたものになります。
近頃の研究結果として、人間の人生を4分割として考えたときに、幼年期・青年期・中世期・老年期になるとして、幼年期を描いた作品です。
一つの作品のなかに260人もの子供が描かれています。
悪女フリート
1562年に制作された作品になり、風刺画として有名なものになります。
どんな経緯で描いたのかなどの記述は残されていません。
当時は男性を支配するような強い女性をテーマにした作品も流行っていたと言われています。
男性の手には到底追えないような、性格に難のある女性のことをフリートとしていました。
そんなフリートから、地獄の入り口で略奪に成功し、無傷で生還した姿を描いたそうです。
女性が強く活躍していた時代を描いた、とても貴重な作品です。
干し草の収穫
1565年に描かれた作品になり、現在はプラハ国立美術館にて収蔵されている作品です。
ピーテル・ブリューゲルは、農家の姿を数多く描いている画家でもあります。
季節ごとに変わる農民の生活を描いたものでもあります。
裕福の金融商品のニコラースの邸宅に飾るために描かれた作品としても知られています。
全部で6作品にて完成しており、干し草を描いたのは夏前の6月・7月になります。
干し草以外にも、人間ならではの活動の様子を描くなど需要な資料としても保管されています。
怠け者の天国
1567年に描いた作品になり、ネーデルランドの絵画の最後に制作されました。
この作品のなかに描かれているものは、傲慢と暴飲暴食を描いた架空の世界です。
その世界に生きている人間の様子になり、何もせずに美味しい食事にありつける人間のことをすべて「怠け者」と表現しています。
兵士や農民など立場に関係なく、寝そべって仕事をしていない姿を描いたものです。
人間の滑稽な姿を描いた作品です。
ピーテル・ブリューゲルは人間の精神世界を描いた作品も数多く残されているなかの一つです。
まとめ
ピーテル・ブリューゲルの作品を見ると、とても細かく人々の生活を細部まで描いたものがたくさんあります。
たくさん描かれた人のなかでも、それぞれが生き生きとしているため、いかに人間観察に優れた人物だったのかもわかります。
ユーモアのある作品なのもあり、遊び心も感じさせてくれます。
ピーテル・ブリューゲルは、そこまで知られている画家ではないものの、技術力の高さには定評があります。
他の絵画とは違った特徴があるのもピーテル・ブリューゲルの面白いところです。
ピーテル・ブリューゲルの作品をよく見ることで発見できることもたくさんあるはずです。