現代アートとはいったい何なのでしょうか?
摩訶不思議な現代アートたち、これってアート?「わからない!」、そんな声が聞こえてきそうな様々な作品たち。
ここでは、人気の作品や面白い作品、「わからない!」ものも含めて、また賛同してしまったり、引き込まれてしまう作品、注目を浴びている作品などを交えて紹介していきます。
現代アートって何?そのインスピレーションが個性的
それは、まるで世界の様々な秩序や当たり前に対する挑戦のよう。
一般的な写真や絵画、彫刻などとは違い、アーティストたちの表現方法はあらゆる方向へのインスピレーションが「何か」を訴えています。
現代社会への風刺や、治安の悪さ、格差社会への反発などを表現しようとしたものに見えますね。
そして、自分の自身の心境を表していたり・・・、それぞれのアーティストたちはカタチに拘らずに自分の世界観を描いています。
つまり、現代社会が抱える問題を紐解きながら、社会に対して何らかの批判を表現している作品と言えるのではないでしょうか。
バンクシー
まず、真っ先に出てくる名前はバンクシー。
「芸術テロリスト」と呼ばれるストリートアーティストで、世の人々から絶大な評価を得る彼の作品は、風刺画。
非常に共感を呼ぶものが多々ありますね。
テーマだけではなく、彼の作品にある心、私たちへ訴えかける内容が半端なく心に染みます!
『落ちるまで買い物をする:Shop ‘til You Drop』
描かれた場所は、ロンドンの高級ショッピング街のビル。
落下している女性は、そんな状態にもかかわらず、ショッピングカートを持つ手を離さない。
この風刺画は、消費社会への風刺画でありつつ、現代社会が格差社会であることを批判しています。
『花束を投げる男:flower bomber』
テロへの抗議が読み取れる作品で、よくぞ描いてくれたと感じて見入ってしまう傍観者も多数いるはずですね。
少年だけ見ると覆面姿です。
武器を手にしているはずとおもいきや、手には花束。涙が出そうになるのは、私だけではないでしょう。
『赤い風船に手を伸ばす少女:Girl with Balloon』
赤い風船を希望の象徴として描き、それを掴もうとしている少女の姿。
約1億5,000万円で落札された直後に、その絵は額縁に仕掛けられたシュレッダーが作動、作品は切り刻まれた・・・有名な話です。
バンクシーは、こういった行動でも世の中に何かを訴えているのです。
この作品は、シリアやパレスチナ紛争の被害者を支援し続けたり、悪名高い分離壁を取り払うことも表現しようとしていたのでは?と想像されることもあり、特別なものだったことでしょう。
ロン・ミュエク
『スタンディング・ウーマン』
十和田市現代美術館にあるこの作品、実に4メートルもあり、巨大な女性が室内で圧倒する佇まいで、そこに立っています。
その横に立ってみましょう。
自分はちっぽけ。
そして「何やってんの?このままでいいの?」と、そのウーマンは語り掛けているかのよう。
彼女は何かを伝えたそうに見下ろしてきます。
視覚的な違和感を感じさせるサイズで作る彼の作品たちは多くあり、本物?と見違えてしまうほど精緻ですよね!
草間彌生(くさまやよい)
『かぼちゃ』
水玉模様が黄色と黒のカラーコントラストは、見たら鮮明に記憶に残ります。
2016年、米TIME誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出されたことでも、とても有名になりましたね。
『赤かぼちゃ』 『黄かぼちゃ』など、シリーズ化されています。
挑発的かつ挑戦的であり、独特の世界観と雰囲気が圧倒的個性を演出しています。
想像、破壊、ジェンダーなどについて描く前衛芸術作品です。
第2次世界大戦時の日本での生活や、単身渡米してからも自身の病や人種差別、性差別など、多々ある困難の先で彼女が創り出した作品たちが訴えるものは、インパクトある表現へ!
奈良美智(ならよしとも)
『Knife Behind Back』
アジア人で最も世界的な評価を得ている現代アーティストと言えます。
大衆文化であるアニメ、マンガ、パンクロックなどに影響を受けた子供に見えるキャラクターは、単なる可愛さではなく、不安や怒りのイメージも。
当時のオークションで、約27億7,200万円で落札され、これは自身の作品の最高額となりましたね。凄い!
富裕層は絵画やワインに巨額投資をしているかたわら、見渡すと近隣ではデモ隊が衝突!催涙弾が飛び交う香港での落札でしたが、それこそ『Knife Behind Back』の絵がその実態を表現しているかのよう。
ザオ・ウーキー
『トリプティク(三面鏡)型の作品(作品名不明)』
長さ10メートルにも及ぶ三面鏡型のこの作品は、1985年のオークションで約74億円で落札され、これは、アジア人アーティストとして過去最高額更新中でもあります。
第二次大戦後の欧米における前衛芸術も鑑みながら、圧倒的な大きさと絵画の本来の姿を追求した作品。
中国で生まれパリで活動した彼は、書や水墨画などの東洋美術や造形、さらには伝統美術を感じさせるとして新境地を開きます。
東洋と西洋の融合、そこから見出した美意識を独自の世界観で表現。
彼の抽象絵画はなんとも叙情的イメージで、見入ってしまいませんか?
アンディウォーホル
『The shot marilyns』
彼の作品に出逢ったことのある人は多いに違いありませんね。
カラフルな色彩の代表作「狙撃されたマリリン」は、人気女優マリリン・モンローの死後、作成されました。
マリリンモンローのセクシーさを作品に投影。ですが、彼は大衆が思い描く個人に対する誇張された憶測のイメージを、作品内で表現しようとしています。
インパクトがありますね!
「ポップアートの巨匠」と呼ばれる彼の作品は多岐な分野で挑戦を続け、絵画の留まらず彫刻、版画、映像や音楽の世界でその作品たちを世に知らしめました。
彼の初個展は32点のキャンベルスープ缶を描いたもので、ポップアートとして、そこから誕生。
精神疾患「シデナム舞踏病」を幼少時から患い、引きこもっていた経緯もありつつ才能を開花し、最終的に健康管理の面で息を引き取りました。(87年亡)
トレイシー・エミン
『私のベッド:My Bed』
イギリス人のトレイシー・エミンの作品は、当初悪評だらけでした。
幼少期の性的な虐待(レイプ)を受けた過去が、ずっと残った作品の数々は制限された自らの感覚を、現代アートにより表現し開放しています。
創造と自伝、辛い過去、自分史を主観的に表現した作品として、テート・ブリテンで、2005年その表象は評価されました。
王立アカデミーの教授に任命され、現在は、王立芸術アカデミーの会員でもある彼女は現代アートの第一人者と言えるでしょう。
この作品は44,309万円で落札されています。
彼女のベッドは、深刻な不眠症、飲酒、喫煙、食事、睡眠、性的な表象にまで実にあからさまで、思考停止してしまいますね。
まとめ
現代アートは、とにかく自ら訴えたいことを表現し、感覚世界の表現なのがわかります。
自己の内面と向き合い、第三者からの批判や批評も恐れず向き合う姿勢が見て取れ、時には自分たちの気持の奥底にあるモヤモヤした気持ちの代弁者であったりもします。
ですから、そんな世界観に私たちは魅了されるのです。
私たちは、平和を望むのに満たされない気持ちを表現してくれる現代アートに「私の気持ちはココにある!」と、ホッとしてみたり、賛美を送りたくなるのかもしれませんね。