日本が誇る美しい国立公園である瀬戸内海の島々。
その場所を舞台にアートを心ゆくまで楽しめるのが「ベネッセアートサイト直島」というプロジェクトです。
「ベネッセアートサイト直島」は、およそ30年前から続いているプロジェクトであり、豊かな自然や文化と共に数多くのアート作品を味わえるという壮大な取り組み。
今回は、その中でも最も長く親しまれているアート関連施設の1つ「ベネッセハウスミュージアム」を紹介します。
美術館とホテルが1つに
1992年に開館したベネッセハウスミュージアムは、ホテルと美術館が一体となったとても珍しい施設。
「自然・建築・アートの共生」をコンセプトに掲げ、建物は世界的に有名な建築家である安藤忠雄氏によって設計されました。
雄大な瀬戸内海の眺めが楽しめる高台に建設され、島の自然とホテルが溶け込んでいるような、ゆったりとした素晴らしい場所です。
宿泊施設はいくつかの種類があり、それぞれ個性的で素晴らしい特徴を持った客室ばかり。
何度足を運んでも新たな発見があります。ベネッセハウスミュージアムの作品(コレクション)は、展示スペースだけでなく、館内のあちらこちらで観ることができます。
まさしくホテルとミュージアムが1つになった贅沢な空間といえるでしょう。
随時入れ替えが行われている作品たちは、施設周辺の林の中、海岸などにも設置されています。
毎年国外から訪れる人も多く、海外のリゾート雑誌などでも取り上げられているようです。
直島のために制作された作品
ベネッセハウスミュージアムでは、絵画や彫刻といった収蔵作品以外にもアーティストが施設内外の場所で、自ら作品を設置したい場所を選び、その場所のために制作した作品も多数設置されています。
瀬戸内の自然や、安藤氏の建築にインスピレーションを受けた作品たち。
それらをいくつかご紹介したいと思います。
ベネッセハウスミュージアム2Fにあるのは、2002年に制作された須田悦弘氏の「雑草」です。
彼の作品は本物と間違える程の精密な木彫り作品が特徴。
設置された場所にすんなりと溶け込みながらも、不思議な世界観を醸し出しています。
1Fには、世界的に有名なイギリスの彫刻家、リチャード・ロング氏の作品が設置されています。
彼の作品はどれも1997年に制作されたもので、「瀬戸内海のエイヴォン川の泥の環」「瀬戸内海の流木の円」「十五夜の石の円」という3つの作品が収蔵されています。
自然と人間の関係性をテーマとするリチャード・ロング氏の作品は、直島の中でどのような存在感を放つのか見物ですね。
素晴らしい海の眺めが楽しめるベネッセハウスパークには、1万5000個にも及ぶガラスキューブを用いたテレジータ・フェルナンデス氏の「ブラインド・ブルー・ランドスケープ」という作品や、国内外で活躍する現代美術家・杉本博司氏の「光の棺」「苔の観念」という作品が展示されています。
これらは全て2009年に制作されています。アートだけでなく、歴史や日本文化に精通した杉本氏の作品は、ゆっくりアートと向き合うことのできるベネッセハウスミュージアムでぜひ鑑賞してみたいものですね。
建物周辺に点在している作品には、地中美術館の作品も手がけているウォルター・デ・マリア氏の作品や、ダン・グラハム氏による1995年に公開された「平面によって2分割された円筒」という作品があります。
ダン・グラハム氏の作品は、海外のアーティストが手掛けたものとしては、初めて直島のためにつくられたもの。
反射ガラスを用いた壁面により、風景や自身の姿が複雑に入り混じった不思議な景色を見ることができます。
これは是非体験してみたい作品の1つですね!日本のアーティストでは、小沢剛氏の作品「スラグブッダ88-豊島の産業廃棄物処理後のスラグで作られた88体の仏」が展示されています。
地蔵をモチーフにした作品を手掛ける小沢氏は、直島のもつ負の歴史を取り入れ、産業廃棄物処理の際に出るカスを素材に用いて地蔵を制作しています。
展示されている作品の中には、宿泊した方のみ鑑賞できるものもあるそうです。
他にもベネッセハウスミュージアムの宿泊者には、アート鑑賞の際にさまざまな特典があります。
その1つは、蔡國強の作品であるジャグジーバス「文化大混浴 直島のためのプロジェクト」を実際に使うことができるということ。
事前予約は必須となりますが、瀬戸内の自然を眺めながら、文字通り作品にどっぷりと浸かれそうですよね。
また、ホテルスタッフが、作品の制作時のエピソードなどをお話ししてくれる「ベネッセハウスミュージアムギャラリーツアー」も開かれています。
歴史的名作が飾られたレストラン
ベネッセハウスミュージアムでは、レストランやカフェでも瀬戸内海の自然やアートに触れることができます。
館内にある日本料理レストラン「一扇」は、屋外に向かって大きく解放されているつくりをしていて、どの席からでもアート作品や瀬戸内海を臨める空間です。
のんびり時間を忘れて食事を頂けそうですね。夕食は、瀬戸内で採れた海の幸を使った会席料理、朝食や昼食では季節感溢れるメニューを楽しめます。
なんと、こちらの店内にはアンディ・ウォーホル作の「フラワーズ」(1967年)が飾られているそう。
歴史に名だたる名品を店内で鑑賞できるというのは大変貴重ですね。
館内2Fにも、軽食やドリンクを気軽に楽しめるカフェがあります。
こちらも同じく、自然光が降り注ぎ、とても解放感のあるスペース。
雄大な瀬戸内海の眺めを堪能できます。その隣にあるのは、ベネッセハウスミュージアムショップ。
ベネッセアートサイト直島に関する書籍やグッズを取り扱っており、直島に訪れた記念の品やお土産にもぴったりなものが揃っています。
同じフロアには、ミュージアムライブラリーもあり、コレクションに関する書籍を自由に閲覧できるほか、建物の設計者である安藤忠雄氏のドローイングが飾られています。
ベネッセハウスミュージアムと地中美術館は設計者の強いこだわりや思いがあふれている場所。
建築に関する資料やドローイングも必見です。
鑑賞の合間に訪れてみるのも良いかもしれませんね。
まとめ
ベネッセハウスミュージアムは、アート・建築・自然が自由に楽しめる気持ちの良い場所です。
来館者は、肩の力を抜いてリラックスして過ごせることでしょう。
現代美術に興味のある方もそうでない方も、何度でも足を運びたくなりそうです。
さらに、ホテルに宿泊した方には、さまざまな特典もあるので、興味のある方は宿泊施設も利用してみると良いかもしれません。
※休業日や営業時間、その他の掲載情報については変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、最新の情報については施設・店舗へお問い合わせください。
アクセス
美術館名 | ベネッセハウス ミュージアム |
住所 | 香川県香川郡直島町琴弾地 |
電話番号 | 087-892-3223 |
ホームページ | https://benesse-artsite.jp/art/benessehouse-museum.html |