この記事では、有名な絵画の中で、印象派の作品と画家についてご紹介していきます。
絵画にはたくさんのジャンルがありますが、そのなかでも日本人にとって最も馴染み深いといえば「印象派」ではないでしょうか。
学校の授業でも学ぶ内容ですし、印象派の絵画には誰もが知っているような有名なものがたくさんあります。
印象派とは?
印象派とは、そもそも19世紀後半にフランスのパリで起こった芸術運動のことをいいます。
フランス市民の社会において革命的な時代でもあり、発展・成熟がもたらされました。
今までの美術界にとっても大きな変容になり、近代絵画への橋渡しを行ったとも言われています。
当時のフランスの美術といえば、フランス王立美術アカデミーが絶対的な権力を持っていたことでも知られています。
アカデミーの美術は、古典・宗教などの歴史が最も評価するべき高貴なテーマであり、風景や風俗の絵画は低いテーマとして考えていました。
そんな時代に、風景や風俗の絵画を描いていたのが、後に有名となる印象派の画家たちです。
アカデミーにとって認められない存在でもあり、フランスの伝統的な美術とは違う技法も用いていました。
アカデミーが支配している公的展覧会=サロンには出展できず、印象派にとっても厳しい時代が続きます。
印象派の画家たちは、1874年に自分たちで個展を開きます。
1886年までに合計8回開催され、ここに参加した画家を印象派と呼んでいます。
印象派の作品は当初は評価されることがなかったものの、時代の変化とともに富裕層を中心にファンを増やしていきました。
今では画家のなかでも印象派の人気も高く、日本でもたくさんの絵画展が行われています。
印象派の絵画が今までと違ったこと
印象派は、西洋絵画を大きく変え発展させたことでも知られています。
アカデミーにとっても、そもそもの題材が違ったこと、パリの風俗や風景を描くためには、今までの方法ではできませんでした。
例えば、屋外で絵を描くときに素早く作業をしなくてはいけません。
印象派が生まれるまでは、屋内のアトリエなどで絵画を描くのが当たり前とされていたことを考えると、この点も大きな違いだと思います。
風景画などはそのときの一瞬一瞬を残すため、屋外でないと描けませんし、自分の目で直接見るからこその発見もあります。
外の世界は明るい色を使ったものが多く、絵の具そのものの色を使ったものが一般的です。
複数の色を混ぜ合わせて色を作り表現したものもありますが、色彩の違いも印象派の特徴です。
印象派の絵画で有名な画家は?
印象派の絵画で有名な画家はたくさんいます。
今では誰もが知っている画家の多くが印象派として誕生したものです。
印象派の中でも特に人気の高い画家と有名な絵画作品をご紹介します。
クロード・モネ(1840年~1926年)
印象派の画家としても絶対的な人気を誇るのがクロード・モネです。
絵の具を混ぜずに描く“色彩分割法”を生み出した人物でもあり、クロード・モネの作品のなかで「ラ・グルヌイエール」で用いたのが始まりとなりました。
モネは10代の頃から絵の才能を見せ始め、15歳の頃には街で評判になり風景画を描くようになります。
印象派としてはなかなか認めてもらえず、79年に妻を亡くした翌年に「ラ・ヴィ・モデルヌ」の画廊にて描かれた古典で、作品が再度売れるようになり生活が安定していきました。
モネの晩年は一つに絞ったテーマで、天候や季節などによって異なる姿を描く「連作」が中心となり、亡くなるまで絵を描き続けたと言われています。
日傘をさす女
モネの代表作でもある作品になり、モネにしては珍しく人物を中心に描いたことでも話題になりました。
夏の暑い中、絵の具と一緒に大きな日傘を持って移動していたモネ。
風が強く吹き、雲が流れていく光景が美しく描かれている作品です。
印象、日の出
モネが1872年に描いた油絵の作品です。アーブルの港の風景を描いたものになり、レビューは酷評ばかりでした。
ただ、この作品をきっかけに“印象主義”と呼ばれる名前が世界的にも広がりを見せたのは事実です。とても味わい深い作品です。
ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841年~1919年)
印象派として有名なルノワールは、肖像画に力を入れていた人物です。
印象派の画家の多くはブルジョワ階級の出身だったのに対して、ルノワールは労働者階級の出身でした。
市民社会の幸福を描いた作品が多く、華やかな色彩からも人気があります。
以前は細く入り込んだ街路沿いに建物が密集した作りのパリでしたが、1852年にナポレオン3世がパリ大改造を命じて現代の都市の形に大改造されました。
新しく生まれたばかりの近代都市パリを描いたこと、78歳で亡くなるまで絵を描き続けました。
生涯を通じて3,000点以上もの絵画を残している人物でもあります。
イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢
ルノワールの作品のなかでも、特に人気も高く有名な絵画です。
可憐な少女像を描いていたルノワールは、私的に描かれた肖像画なども数多く残しています。
この作品はユダヤ系の銀行家のカーン・ダンヴェールの長女で8歳でした。
ルノワールならではの補正効果がいきている絵です。
ピアノに寄る少女たち
こちらもルノワールが描いた少女の絵ですが、晩年の作品として知られています。
細部にまで描かれている作品になり、ブルジョワ社会を描いています。
日常生活ならではの温かさや、穏やかさが伝わってくる作品とも言えるのではないでしょうか。
ポール・セザンヌ(1839年~1906年)
近代美術に大きな影響を与えた印象派の一人です。
当初はモネと同じように活動していたものの、1880年に印象派から離れ独自の理想的な絵画様式を求め活躍しました。
20世紀以降は、キュビズムを生み出すなど、近代美術にも大きな影響を与えた人物です。
セザンヌは「りんごの画家」とも呼ばれる人物になり、人生で残した作品のなかで60点以上にりんごを描き続けたとも言われています。
リンゴとオレンジのある静物
セザンヌの作品のなかでも、りんごを代表として描いた作品です。
現実を描写として描いたものだけでなく、複数の視点からモチーフを集めて組み合わせることで、一つの作品として仕上げる作風をしています。
セザンヌらしい絵だと思います。
サント=ヴィクトール山
セザンヌの代表作でもある作品です。
絵の中心の山を囲うように松の木と幹が包み込んでいます。
古典主義ともいえる安定的な画面構成を実現しています。
色に微妙な変化を加えさせることで、風景の広がりを壮大に見せる表現が使われています。
西洋絵画の考えからは大きく外れているのも面白さのポイントです。
フィンセント・ファン・ゴッホ(1853年~1890年)
オランダで生まれたゴッホは、1886年にパリに行き印象派の影響を強く受けました。
1888年にはゴーギャンとともに共同生活を送りましたが、2ヶ月も持ちませんでした。
1889年に耳切事件をおこし、アルル市立病院に収容されます。
ゴッホは事件の記憶を持っておらず、入所している間に有名な作品を数多く残しました。
星月夜
ゴッホの作品のなかでも最も優れたものとして知られています。
月と星がいっぱい描かれた夜空に、大きな渦巻が描かれた個性的な作品です。
これは入所中に部屋の東向きに見える日の出前の村の風景を描いたものです。
ひまわり
こちらも有名な作品になり、ゴーギャンとの繋がりの深い作品です。
ひまわりシリーズは2つあり、ゴッホの主義が控えめに表現されています。
まとめ
今回は、有名な絵画の中で、印象派の作品と画家についてご紹介しました。
印象派の画家や作品にもそれぞれに個性があり、なかなかおもしろいものです。
作品の時代背景なども考えると、より深みが実感できるのではないでしょうか。