この記事では、モナリザの絵の魅力や不思議について解説していきます。
世界の絵画のなかで、最も有名なものといえば何を思い浮かべますか?
それぞれ好みもあると思いますが、必ずといっていいほど出てくるのがレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」ではないでしょうか。
美しい女性が微笑んでいる絵でもあるのですが、実はもともと誰を描いていたのかわかっていなかったとも言われています。
レオナルド・ダ・ヴィンチのモナリザとは
モナリザは、世界でいちばん有名な美女としても知られている絵画です。
ルネサンス期を代表する画家として有名なレオナルド・ダ・ヴィンチが、描いた作品になります。
1503年頃に、小さな木の板に油彩として描きました。
作品の名前があまりに有名になりすぎて、女性の名前が“モナリザ”だと勘違いしている人もいるかもしれません。
実は、レオナルド・ダ・ヴィンチがつけた名前ではなく、後から付けられた名前です。
イタリア語でモナ=婦人を示す言葉として付けられた通称のようなものです。
一部では、描かれた女性の旦那さんの名前をとって「ジョコンダ婦人」と呼ぶこともあります。
ジョコンダは、フィレンツェの名もなき商人の妻だったと言われています。
レオナルド・ダ・ヴィンチがどうして商人の妻を描いたのか、その理由については現在も謎のままです。
ただし、これが確かなわけではなく、別の専門家は、レオナルド・ダ・ヴィンチの弟子である愛人のサライから大きなインスピレーションを受けたとする説もあります。
誰をモデルにしたのか、確証には至っていないのです。
レオナルド・ダ・ヴィンチは、亡くなる直前までモナリザに手直しを入れているほど、思い入れのあった作品のようです。
亡くなる直前にフランスに移住しますが、その際にもモナリザを持っていきます。
その後、フランソワ一世がモナリザを買い取り、永久的にフランスに置かれるようになりました。
モナリザが有名になったわけ
モナリザはレオナルド・ダ・ヴィンチの代表作としても知られていますが、有名になったきっかけが16世紀を代表する画家として活躍した「ジョルジョ・ヴァサーリ」と呼ばれる人物になります。
美術史家の走り的な人物になり、書籍のなかで、レオナルド・ダ・ヴィンチを最高の画家として紹介しています。
その彼が描いたモナリザを最高傑作として高く称賛したのです。
もちろん、モナリザ自体が高い技術を用いて描かれているのは言うまでもありませんが、評価されたことでより注目を集めるようになりました。
他の人が称賛しているものは、素晴らしいものだと認識するのは、いつの時代もあることだと思います。
1911年にはペルージャ(イタリア人)がモナリザはイタリアの所有物だと主張しました。
所蔵されていたルーブル美術館から、モナリザを盗んだことで世界的に注目されるようになります。
一度盗難にあうほどに高い価値のある絵として、神秘的な作品だとも言われました。
その後も、数々の有名人がモナリザを褒め称えたことで、より認知度が高くなりました。
モナリザは描かれた当初はそこまで有名な作品ではありませんでした。
レオナルド・ダ・ヴィンチといえば、サイズの大きさやテーマなどから「最後の晩餐」のほうが断然知名度がありました。
晩年になってから、モナリザを称賛する人が増えたことでより知名度を高めていった作品なのです。
むしろこれだけ完成度の高い作品が、今まで評価されなかったことにびっくりです。
モナリザがすごいと言われる理由
モナリザがこれだけ高く評価されたのは、専門家によっても一目置かれるような素晴らしい点がたくさんあったことにあります。
女性を描いた肖像画は数多く存在しますし、モナリザだけではありません。
どうして高く評価されるようになったのか理由を紹介します。
スフマートなどの完成度の高さ
レオナルド・ダ・ヴィンチのモナリザは、とてもシンプルに描いているように見えて綿密に描かれた高い技術を持って完成しているものです。
レオナルド・ダ・ヴィンチが用いたのはスフマートと呼ばれる技法になり、煙をかけたようなぼやかせる技法を使って、あえて境界線を薄く目立ちにくく仕上げました。
1〜2ミクロンの単位で何度も塗り重ねたことでより立体感を演出しています。
今までの絵画ははっきりとした色で区別したものが多かったのに対して、ぼやけさせる技法はとても新鮮なものでした。
レオナルド・ダ・ヴィンチはこのスフマートの技法に長けていたこともあり、丁寧に色を重ねることで跡も感じさせない仕上がりレベルの高い作品を作り出したのです。
モナリザの作品をよく見ると、目や鼻、口など全体的にぼかしているからこその謎めいた雰囲気を感じます。
誰でもできるものではなく、高い技術があってはじめて実現するものなのです。
ちなみにモナリザに使われているのが、鉛白99%、赤色硫化水銀1%を混ぜたものになり、発色の美しさを引き出しています。
ルネサンス時代ならではの遠近法
モナリザは、ルネサンス時代ならではの遠近法を取り入れた作品としても知られています。
なかでも大気そのものが持っている性質を使っている特殊な技法なのもあり、高い技術なくして完成することはありません。
色彩などをコントロールしながら丁寧に遠近感を出していきます。
近くなると濃くはっきりとした輪郭になりますが、遠くになると霞んで見えます。
レオナルド・ダ・ヴィンチがモナリザを描くうえで取り入れた遠近法になり、あえてぼかしを入れながら、一つの作品として描いています。
絵に奥深さがあるのもこの遠近法が影響しているのではないでしょうか。
よりモナリザに視点が集まるように工夫されたのも、レオナルド・ダ・ヴィンチだからこそできたことです。
モナリザの表情から読み取れるもの
モナリザの表情は柔らかく、少し微笑んでいるように見えるのではないでしょうか。
スフマートによって画かれているからこそ実現できたものになります。
モナリザの顔を見てみると、頭には薄い半透明の黒のベールをまとっています。
実はこれがグアルネロと呼ばれるもので、妊娠している女性や出産したばかりのときにつけるものです。
このことからも、母になったことに対しての喜びを表現した絵ではないかと言われています。
習慣としての考え方は人それぞれになるため実は違うのでは?という説もあるため真相は定かにはなっていません。
左右の顔の違いにも気づいているでしょうか。
左側は優しげに見えるものの、右側は複雑な表情をしているように見えます。
目の動きや口角などの違いがありますが、どんな意味があるのかは、現在もわかっていません。
モナリザはどこで観られるの?
レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたモナリザの本物が観たいと思っているあなたには、フランスパリの「ルーブル美術館」に行くのをおすすめします。
世界最大級の美術館になり、モナリザが展示されています。
38万点以上もの作品が所蔵されており、見ごたえのある美術館としてもおすすめです。
まとめ
モナリザは誰もが知っている名画でありながら、とても奥深く知れば知るほど、その魅力が伝わってくるのではないでしょうか。
モナリザは一体誰を描いたものなのか、またどんな意味を持っているのかなど、まだまだ謎が多いからこそもっと知りたくなるのではないでしょうか。
モナリザは時代を超えて愛され続けている絵画です。