学芸員として美術館で働くには美大を卒業しないとダメですか?と聞かれることがあります。
美術館の展示や企画、美術品に携わる仕事をするには学芸員という資格が必要です。
この記事では、美術館や博物館で働いている学芸員の仕事内容や、資格の取得方法などについて詳しく解説いたします。
美術館で働くとは?
美術品の保存と管理
美術館や博物館は、歴史的な発見や地球の財産ともいえる美術品を保管しています。
学芸員はキュレーターとも呼ばれています。
キュレーターは、ラテン語のキュラトールが語源で「世話をする人」という意味です。
さらにフランスでは学芸員はコンセルヴァトウールといい「保持する人」という意味が含まれています。
フランスでは、コンセルヴァトウールの試験は高難易度です。
年に2人程度しか合格しない試験で資格取得者はステイタスがとても高くなっています。
つまり、学芸員の仕事の中でも「美術館の作品を守り保持すること」はとても大切で重要なポイントです。
広報、教育
美術館や博物館の中には、一般企業に所属しているところもたくさんあります。
その際は、学芸員は所属している企業に企画の説明をし、許可をもらう必要があります。
許可を出す人が美術に精通しているとは限りません。
どのような相手に対しても企画をわかりやすく説明することも学芸員の仕事です。
さらに有名ではない画家の展示は来客数が伸びずに赤字にな可能性があります。
いかに利益と教育や美術的価値のバランスをとるかも学芸員の腕にかかっています。
少しでも利益を出すためには、広報や宣伝も必要です。
新聞社と共催の企画をして大々的に広告を出してもらい集客する方法もあります。
しかし、新聞や雑誌などに記事を掲載して集客するときには学芸員が記事を執筆します。
大きな美術館や博物館で広報専門の部署をもっているところも増えつつあります。
美術館や博物館は教育の場でもあります。
学生や子どもたちに解説をして美術の普及に努めます。
学芸員は出張して講演をしたり、児童、生徒の夏休みなどにイベントを企画したりすることもあります。
美術展の企画と展示
美術館で働く学芸員の仕事で一番華やかな仕事が企画と展示でしょう。
どのような展示をするのか企画したり作品を借りてきたりすることは学芸員の仕事です。
例えば、浮世絵の展示を企画したら期間は約1カ月間になります。
なぜならば、浮世絵のような紙の作品は、光や酸素に触れることで劣化するからです。
学芸員は、美術品に関する知識を使って、企画にあった展示期間や展示方法を考えます。
展示は学芸員の頭を悩ませる大きな仕事です。
とくに作品の背景の色は作品に大きな影響を与えるため、慎重に検討します。
作品をみた人が背景の色を覚えていないような存在感のない色こそ成功の背景です。
学芸員は、カタログ制作もします。
学芸員の資格を取得するには?
学芸員とは、美術館や博物館で働いている人で作品や資料に携わる仕事をしています。
美術館の学芸員として働くためには資格が必要です。
学芸員の資格を取得する方法はいくつかあります。
一番一般的な方法は大学で学芸員課程を履修する方法でしょう。
美術大学では、美術大学のすべての学科で学芸員課程があるわけではありません。
一般大学にも学芸員課程はあります。
学芸員課程がある学科に入学し、学芸員課程を希望した人が履修することになります。
美術大学では、博物館の展示や教育だけでなく経営や資料の保存について学びます。
学芸員資格は人気のある資格ですが、就職は狭き門です。
少しでも就職を有利にするためには、デジタルアーカイブ化に対応できるようにパソコンのスキルを高めるたり、広く浅い知識だけでなく特定の作家や芸術家に詳しくなっておいたりするといいのではないでしょうか。
美術館は、公立のような大きな美術館だけではありません。
特定の芸術家に特化した小さな美術館もあります。
そのような美術館では、その作家が好きで「この美術館で働きたい」と思っている学芸員を求めているはずです。
美術館で求められる学芸員とは?
学芸員の仕事の種類は多く、さまざまな知識やスキルが求められます。
美術館で働く人というと事務室にこもって企画をしたり事務をしていたりするイメージがあります。
しかし、実は社交性や営業スキルが求められます。
さらに学芸員は海外とのやり取りも多く、コミュニケーション能力や運営する力も必要です。
また、美術の世界は日々変化しています。
ゴッホやモネのような大御所の作品とバスキアのような現代アートは展示の方法も違えば、来客層も違うでしょう。
新しい情報や流行をいち早く察知して受け止める柔軟な思考がこれからの学芸員には求められるのではないでしょうか。
まとめ:美術館の仕事は日々勉強の積み重ね
美術館での学芸員の仕事は日々勉強です。
展示する内容を決めるためには、画家や内容についての調査や研究をしなければなりません。
「新しいことが好き」という探求心を持っていることが学芸員にとって一番大切なことなのかもしれません。