好みの違いもあると思いますが、部屋に飾るのは水彩画と油絵のどちらがいいのでしょうか?
家に絵を飾るとき、どんな絵にしたらいいのか迷いますよね。
モチーフや色によっても印象が変わりますが、「油絵」と「水彩画」による違いもあります。
この記事では、水彩画と油絵の特徴、またそれぞれで有名な画家を紹介いたします。
油絵と水彩画の違い
絵画の種類には大きく分けて、水彩画と油絵の2種類があります。
絵の違いは、まずどんな画材を使用して色付けしたのかによって変わります。
絵がそれぞれ持っている個性がありますが、違いについてわかりやすくお伝えします。
水彩画とは
水彩画は、水溶性の絵の具を使って描いたものになります。
顔料にアラビアゴムなどを混ぜて作ったものになり、水に溶ける性質を持っています。
日本人にとっては水彩画が最も馴染み深いものでもあり、学校の授業などで使われているものです。
水彩画用の絵の具には主に「透明」のものと、「不透明」のものがあります。
多くの画家がが使用しているものは、主に透明タイプのものになり、絵に透明感があり輝くような美しさが演出できます。
小さく細かい場所を描くのも向いていますが、水彩画はあとから補正する、塗り直しはできません。
水彩画は臭いが強くないので描く場所を選ばないこと、翌日になったときは水を追加して使い続けられるなどの手軽さも人気があります。
また水彩画は乾ききったあとも保管方法を間違えると溶けてしまいます。
油絵とは
油絵は独特な光沢感と力強さが特徴です。
画材ならではの奥行き感やグラデーションの美しさは油絵ならではです。
油絵は、乾いてしまえば何度でも重ね塗りができ、別の作品として仕上げることもできます。
ただし色の種類や塗り方によっては、1週間以上の時間を必要にすることもあり、しっかりと乾かしていないとひび割れてしまいきれいに仕上がらなくなってしまうことも。油絵特有の強い臭いもあります。
この技法が発展したのは16世紀頃になります。
ルネサンス時代以降は、油絵の技法の主役だったと言われています。画材として使用しているのは、顔料に亜麻の植物から採取できるリンシード油やけし油を練って作ります。
油絵には水は一切使いません。そのため薄めたいときは油を追加して薄め調整していきます。
水彩画で有名な画家は?
水彩画ならではの特徴が好きな人もいると思います。
数ある水彩画のなかでも、覚えておきたい画家を紹介していきます。
同じ水彩画でも印象が変わるのが味わい深いですね。
ウィリアム・ターナー(1775年~1851年)
ロマン主義の画家としても知名度が高く、油絵で名前を知っているかもしれません。
水彩画の技法の元を作り上げたのは、ウィリアム・ターナーだと考えられています。
水彩画のなかでも、細部まで描いた繊細な技法が特徴です。
光の描き方の美しさからも“光の画家”として伝えられています。テクノロジーの分野に強く興味を持ち、当時のイギリスの現実の風景を描いています。
ウィリアム・ターナーは幼少期より絵がうまく、大学で個展を開き、その後ギャラリーを開廊、教師として授業を持つようになります。
災害や自然災害を主題とした作品も多く、イギリス近代美術の先駆者でもあります。
生涯に2000点以上の絵画を残しています。
アルブレヒト・デューラー(1471年~1528年)
水彩画の中でも特に人気の画家です。
ニュルンベルクに生まれ20代で名声や影響力を築きました。
自分の姿を多く描いた最古の画家としても知られ、正面を描く特徴があります。
水彩画だけに限らず、版画や彫刻などにも挑戦しており、ゴシック様式の作品が多くなります。
ドイツのルネサンス時代において最も重要な画家になり、近代に続く自画像の元祖です。
水彩画のなかには、草原や動物を描いたものもあり静止画なども多く残されています。
数ある有名なものは、「若うさぎ」や「芝の大片」です。
ジョン・メアリン(1870年~1953年)
アメリカの水彩画を描いたことでも有名な人物です。
セザンヌなどのヨーロッパ絵画の流れを吸収して20世紀に活躍した人物です。
メアリンならではの独自のタッチで、アメリカの姿を力強く描き続けました。
米国をメインに人気のある画家になり、印象的な作品をたくさん残しています。
メアリンが描いた作品のなかには、ブルックリン橋があります。
同一の題材を繰り返し描くのが好きだったこともあり、出世作として伝えられています。
トーマス・ガーディン(1775年~1802年)
イギリス水彩画の基礎を築いた画家です。
ターナーとは友人関係にあり、英国スケッチ協会を立ち上げます。
イギリス各地を旅しながら風景スケッチを描きあげています。26歳になるとロンドンの街を360度展開した油絵も完成させています。
当時生活に困っていたガーディンが描いたものになり、生涯は水彩画を描いて過ごしています。
ガーディンの水彩画は独特で、水平線を強調するようなコントラストを置いています。
油絵で有名な画家は?
油絵で有名な画家についても説明します。
水彩画と比較すると、力強い作品が多いのも特徴です。
油絵は有名な人が多いかもしれません。
ヤン・ファン・エイク(1395年~1441年)
15世紀に活躍した、特に最高の画家と呼ばれている人物です。
今までの油絵の技法に革新を齎した人物とも知られており「油絵の具の発明者」とも言われています。
宮廷画家としての活躍はもちろん、外交官としても活躍しています。
油絵の乾燥に時間がかかるのを利用し、半透明で通夜のある薄い顔料を塗り重ねています。
実際にそこにものが存在するかのような表現を作ることに成功しました。
今までの油絵にはない高い技術力が特徴です。
兄弟とも優秀な画家だったこともあり、ファン・エイク兄弟と呼ばれています。
ヨハネス・フェルメール(1632年~1675年)
17世紀に活躍したオランダの画家のなかでも“真珠”と評価されることの多い人物です。
この時代は黄金時代とも呼ばれ、絵画が大きく発展したことでも知られています。
フェルメールの作品はとても貴重なものになり、現存しているのはたったの36作品しかありません。
1675年にフェルメールが死去すると、その後数人しか購入せず1世紀以上も忘れ去られる画家になりました。
フェルメールの代表作といえば「真珠の耳飾りの少女」ですが、フェルメールの作品であることを知らない人も多いのではないでしょうか。
光の捉え方がとても美しく「牛乳を注ぐ女」なども有名です。
部屋に飾るのは水彩画?油絵?
部屋に絵を飾りたいと考えている人のなかには、水彩画と油絵のどちらのしようか悩んでいる人もいると思います。
絵画の選び方は人それぞれなのもあり、決められた方法があるわけではありません。
水彩画の柔らかいタッチが好きな人もいれば、油絵の力強さが好きな人もいます。部屋の雰囲気など飾る場所に合わせて選ぶのをおすすめします。
絵の技法によっても保存方法が違うので、この点は注意してほしい点です。
油絵は直射日光を避けること、水彩画は日光だけでなく、湿気やタバコなどが届かない場所に保管するようにしてください。
まとめ
絵画でも水彩画と油絵によって絵の印象が変わります。
それぞれの特徴を踏まえつつ部屋に飾る時の絵を探しましょう。
同じ技法だったとしても印象が変わるのも、絵画の奥深さといえるのではないでしょうか。
ぜひ、あなた好みのものを探してみてください。