この記事では、東京藝術大学大学美術館(藝大美術館)の歴史や魅力について解説します。
上野恩賜公園を抜けた先に、その美術館はあります。
JR上野駅の公園口を出て「上野動物園」が正面に見える方向へ進みましょう。
すると右手に「国立西洋美術館」と「東京都美術館」がお出迎え。
さらにその先へ進み、公園を出て道路を渡れば、そこへたどり着きます。
アート好きの方、ぜひ最後までお付き合いください。
東京藝術大学大学美術館(藝大美術館)|歴史と成り立ち
東京藝術大学大学美術館(藝大美術館)がどんな歴史を歩み、どんな経緯で今の姿になったのかを解説します。
1889年(明治22年)に「東京美術学校」として開校し、数多くの芸術家の母校となりました。
東京藝術大学美術学部の前身です。
現在も芸術の分野における日本最高峰の学び舎として、数多くの卒業生を輩出しています。
設立者は岡倉天心とアーネスト・フェノロサらを中心とする人々です。
フェノロサは「お雇い外国人」でした。岡倉天心は、彼の通訳として行動を共にしていたのです。
なぜ彼らが東京美術学校を設立したのかというと、「日本美術復興運動」を推進したかったからです。
日本美術復興運動とは、日本の伝統美術の価値を再び高めることを目的とする活動です。
明治時代に突入した日本では、文明開化の流れが一気に進みました。
一言でいえば、「西洋に追いつけ、追い越せ」という意識が世の中全体に漂っていたのです。
すると何が起きたか?
「神仏分離令」に派生する「廃仏毀釈運動」が巻き起こり、いにしえからある日本文化の破壊活動が正当化されました。
国家神道が優位になり、仏教に対する風当たりが強くなったのです。
その結果、数々の貴重な仏像や仏具、寺院が破壊されてしまいました。
岡倉天心らは、日本文化の価値が低下していることを危ぶんでいました。
そこで近代日本国家にふさわしい新たな日本画を作り出すことに奔走します。
わかりやすく説明すると、それまでの日本画と西洋絵画の画法を融合し、これまでにない日本画を生み出したかったのです。
ちなみに岡倉天心は、東京美術学校の2代目校長に就任しました。
今の姿になったのは、1998年(平成10年)。
それまで芸術資料館として機能していた施設を、東京藝術大学大学美術館(藝大美術館)と改めました。
翌年には、ミュージアムショップやカフェテリアを併設した美術館へと生まれ変わったのです。
東京藝術大学大学美術館(藝大美術館)|特徴
そうそうたる卒業生の顔ぶれ
著名な卒業生をピックアップしてご紹介いたします。
- 岡本太郎
- 柳原義達
- 猪熊弦一郎
- 高村光太郎
- 横山大観
- 菱田春草
- 下山観山
(順不同)
日本画が好きな人、もしくは芸術に関心がある人なら、1度は耳にしたことがある名前ばかりでは?
国宝・重要文化財を数多く所有
何といっても藝大美術館のコレクションの厚みは素晴らしいです。
たとえば、上村松園の《序の舞》、高橋由一の《鮭》、狩野芳崖の《悲母観音》など。
まだまだあるのですが、紹介しきれないのが残念な限り!
なお、寄贈された作品も多くあります。
年に1・2回「藝大コレクション」が開催され、普段はお目にかかれない作品の数々を鑑賞できます。
歴代の卒業生の作品を買い上げている
藝大美術館では、卒業生の卒業制作品を買い上げています。
美術系の大学ならではですね。
卒業後に巨匠となった芸術家たちの若き日の自画像が数多くあるのは、特筆すべき点でしょう。
教員の「退任記念展」が開催される
教員たちの教授人生の集大成ともいえる、退任制作品を展示するイベントがあります。
彼らは教員であると同時に芸術家であり、研究者でもあるのです。
退任記念展は無料ですので、機会があれば行ってみたいですね。
台東区の建築景観賞を受賞
藝大美術館を設計したのは、著名な建築家である六角鬼丈氏です。
収蔵品はもちろん、美術館の建物自体にも芸術的な価値があります。
エントランスにある、螺鈿細工をあしらった漆黒の大柱やガラスの塊で作られたイスは印象的です。
また、展示室とエントランスをつなぐ螺旋階段にも注目してみてくださいね。
都会でも自然豊か
藝大の敷地内は、東京にあるとは思えないほど自然が豊かです。
大学の徽章である「アカンサス(葉アザミ)」や、樹齢300年以上といわれる「シイノキ」などがあります。
併設ミュージアムカフェ・ショップ
美術館好きにとって、この2つは欠かせません。
作品を鑑賞した後はショップでお土産を買い、カフェでお茶を飲みながら余韻に浸る人も多いのではないでしょうか。
ミュージアムカフェ
藝大美術館の敷地内にあるホテルオークラ直営のカフェでは、おいしいスイーツやランチメニュー(季節ごとに変わる)を味わえます。
ライスの上に野菜が乗ったカレーは、目にも鮮やかでオススメですよ。
お味はやや辛口でコクがあります。
展覧会の開催期間を除き、休業しています。ご注意ください。
なお、クレジットカードは使えません。
ミュージアムショップ
筆者がオススメしたいのは、柴田是真(ぜしん)の作品をモチーフにしたタオル・ハンカチ・メガネ拭きです。
繊細な植物の絵が印刷されていて、思わず買って帰りたくなります。
これぞ美術館のお土産ですね。
また、定番の図録・ポストカードの他、一筆箋やオリジナルのボールペン・シャーペンもあります。
オンラインでも購入できます。
まとめ
今回は、東京藝術大学大学美術館(藝大美術館)について紹介いたしました。
少しでも魅力が伝わったでしょうか?
ぜひ一度、訪れてみてください!
※休業日や営業時間、その他の掲載情報については変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、最新の情報については施設・店舗へお問い合わせください。
展覧会・催し物
大吉原展
会期 | 2024年3月26日(火) – 2024年5月19日(日) |
---|---|
開館時間 | 午前10時 – 午後5時(入館は午後4時30分まで) |
休館日 | 月曜日、5月7日(火)(ただし、4月29日(月・祝)、5月6日(月・振休)は開館) |
会場 | 東京藝術大学大学美術館 本館 展示室1、2、3、4 |
観覧料金 | 一般 2,000円(1,800円)、高・大学生 1,200円(1,000円) ※中学生以下、障がい者手帳をお持ちの方とその介助者1名は無料 ※( )は前売り料金、2月1日より発売中 |
アクセス
美術館名 | 東京芸術大学大学美術館 |
住所 | 東京都台東区上野公園12-8 |
電話番号 | 03-5777-8600 |
ホームページ | https://museum.geidai.ac.jp/ |