「チューリップは好きだけど、いつでも買えるし育てたことはないな」と思われる方が多いのではないでしょうか?
たしかにいつでも買えますが、春の訪れとともにチューリップが自宅に咲いてくれると嬉しいものです。
チューリップは、球根を買ってきて秋に植えれば、誰でも簡単に咲かせることができます。
お庭やベランダの片隅にスペースが余っていたら、あなたもチューリップを植えてみませんか?
この記事では、チューリップの球根の基本の植え方や翌年以降の手入れ、おすすめの品種を紹介していきます。
チューリップは球根植物
多くの方がご存じの通り、チューリップには球根があり、球根植物と呼ばれます。
あらためて「球根とは何か」おさらいしてみましょう。
球根とは、茎や根が肥大した器官です。球根植物は、この球根に栄養分を蓄えているので、特別な世話をしなくても美しい花を咲かせてくれるのです。
「球根」の姿が種や苗とはまったく異なることから、ガーデニングの対象として苦手意識を感じてしまっていたら、もったいないことです。
チューリップの栽培は、良い球根を選び、適切に植え、水やりをしておけば、まず失敗することがないと言われています。
品種も豊富で、好みに合わせて選べるチューリップの栽培、ぜひ始めてみませんか?
チューリップのよい球根の見分け方
チューリップの球根を購入するときには値段に惑わされず、よい球根を選ぶことが大切です。
極端に小さなものやいびつに変形したものは避けましょう。
持ってみて軽いものは干からびてしまっている恐れがあります。
傷やカビ、病気による斑点があるものも避けます。
よい球根は、タマネギのように形がよく、偏りなく丸みを帯びています。
持ってみて、ずっしりと重いものを選びましょう。
種類や品種名が明記されていることも確認しましょう。
チューリップの球根を植える時期
球根植物は、種類によって植えつける時期が異なります。
大きく分けて「春植え」「夏植え」「秋植え」の球根植物があります。
チューリップは「秋植え」です。
「秋植え」の球根植物が一番多くあります。
チューリップの植えつけ時期は、10月上旬から11月上旬で、気温が15℃になった頃にが適しています。
地域によって気温が異なるため「紅葉が見頃を迎える頃」という覚え方がよく知られています。
大切なのは「早めには植えない」ということです。
チューリップの球根は高温多湿に弱いため、夏の暑さが残るうちに植えつけると痛んでしまうことがあります。
反対に、遅く植える分には大きな問題はありません。
積雪や凍土で、物理的に植えつけができなくなるまでは、遅く植えつけても発芽するようです。
しかし、長く保存状態にしておくと養分を消耗して球根が弱り、チューリップの発芽後の花茎が充分に伸びないこともあります。
球根は生きていて、土からの養分も得るので、夏の暑さを避けた後には、土の中に植えつけた方が消耗せず、よく花を咲かせてくれます。
遅くとも年内には植えつけるようにしましょう。
チューリップの球根の植えつけ方(プランターの場合)
- 鉢底網をセットして鉢底石を薄く敷く。
- ウォータースペース※+球根2個分の高さを残して、培養土を入れる。
- 球根一個分の間隔をあけ、向きを揃えて球根を置いていく。
- ウォータースペースを確保して、培養土を球根の上にかける。
- 鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと水をやる。
- スペースに合わせて選べるプランター
※ウォータースペース : 水やりの際、土に浸みこむ前の水が流れ出ないように、高さ3cmほどの土を入れないでおくスペースのこと。
球根の水やりと冬場のチューリップの管理方法
チューリップは植えつけ後の2週間が、球根から根が伸びる大切な時期です。
土が乾いたらたっぷりと水やりをしましょう。
勢いよく水をやると、土に染み込まずに流れ出てしまうので、ゆっくりと水をかけます。
続いて、冬場の管理についてです。チューリップは、約5℃の低温に当てることで開花します。
地植えなら問題ありませんが、コンテナの場合もサンルームなどには置かずに屋外に出しましょう。
球根が乾ききると発芽しなくなる恐れがあるため、冬場も土が白く乾いたら水やりをしましょう。
乾燥を避けるために日陰に置くのもよい方法です。
どこに植えたかわからないと水やりもしにくいので、ラベルをしっかり差しておくのもポイントです。
お気に入りのチューリップを選んでみよう!
チューリップには、豊富な種類があります。
植えつけと冬の管理を読んで、「できそう」と感じたら、ぜひお好みのチューリップを選んでみましょう。
プリティーウーマン
開花時期 | 4月中旬~5月上旬 |
草丈 | 約45〜55cm |
鮮やかな赤色とユリ咲きと呼ばれる咲き方が特長です。
ユリ咲きとは、先端が反り返るような咲き方のことです。
赤いチューリップだけでもたくさんの品種があるので、花の形や赤色のバリエーションで、好みの花を探してみましょう。
「プリティーウーマン」は多くの場合は赤色に分類されますが、ローズピンクと表現されることもあるピンク寄りの赤色です。
花の形に存在感があるので、一輪だけを切り花として飾っても、見映えがします。
赤色のチューリップには「愛の告白」という花言葉があります。
ブルーヘロン
開花時期 | 4月中旬〜5月上旬 |
草丈 | 40〜50cm |
フリンジ咲きと呼ばれる華やかな咲き方が特長です。
薄い紫色の花びらに白いフリルのコントラストで、光り輝いているように見えます。
品種名の“ヘロン(heron)”とは、鳥のサギのことです。
シロサギの羽毛は先端がフリルのように見えるため、この名がついたのでしょう。
紫色のチューリップの花言葉は「不滅の愛」です。
バレリーナ
開花時期 | 4月中旬〜5月上旬 |
草丈 | 30〜50cm |
「バレリーナ」はユリ咲きで、チューリップの中ではめずらしく甘い香りがするのが特徴です。
バレエの衣装のような印象的なオレンジ色と躍動感のある花は、バレリーナの名前がぴったりです。
つぼみの時もほっそりとしていた美しい姿で、花びらのオレンジ色にはグラデーションがあり、ほれぼれしてしまうような魅力にあふれたチューリップです。
オレンジ色のチューリップには「照れ屋」というかわいい花言葉があります。
アントワネット
開花時期 | 4月中旬〜5月上旬 |
草丈 | 約45〜55cm |
「アントワネット」は、咲き始めは黄色で次第に縁が赤く染まってくる品種です。
ひとつの茎が枝分かれして複数の花を咲かせる枝咲きの品種で、華やかな印象があります。
1つの球根から、4〜6輪の花が咲くので、プランターや狭いスペースでの栽培でも、見ごたえは充分です。
植えた球根の数の何倍もの花が咲くので、お得感もあります。
黄色のチューリップの花言葉は「望みのない恋」「名声」です。
チューリップだけでなく、黄色の花にはネガティブな花言葉が多いようです。
その理由は、キリストを裏切ったユダの服が黄色だったからという説があります。
黄色には黄色にしかない魅力がありますので、花言葉はあまり気にせず選びましょう。
チューリップ各種のミックスタイプの球根
開花時期 | 4月上旬〜4月下旬 |
草丈 | 40〜50cm |
品種にこだわりがなければ、ショップでミックスされたパック売りの球根を選ぶこともできます。
ホワイト〜ピンクのショップがセレクトした球根で早咲きのものを集めたパックで販売されています。
色は決まっているので、好みから大きく外れることはなく、どんな形のチューリップか咲くまでわからないワクワク感も味わえます。
チューリップの花が咲いたら、その次は?
チューリップの花が開ききって花が終わりを迎えたら、花の下でカットしましょう。
チューリップは、花がない状態で光合成をすることで、球根に養分が蓄えられます。
切り花にして、お部屋の中で楽しみたい場合には、咲いたら早めに根元からカットするのがコツです。
花を早めにカットすることにより、球根は養分を蓄えやすくなります。
切り花にするのは、球根のためにもなるおすすめの方法です。
翌年以降はどうなるの?
花をカットした後は、見た目にはかわいそうな状態ですが、しばらくそのままにしておきます。
チューリップは、葉が黄色くなるまでの間に、光合成をして球根に養分を蓄えます。
葉が黄色く枯れたら、球根を掘り上げるタイミングです。
球根は夏の高温多湿で傷むので、掘って土の外に出し保存しておく必要があります。
このことを「球根の掘り上げ」といいます。
球根を掘り出したら、球根の上で茎をカットして、分かれ目にそって一つ一つの球根に分けます(分球)。
小さな球根は翌年花を咲かせる力がないため、大きめの球根だけを残し、ネットなどに入れて、植えつけ時期まで日の当たらない風通しの良い場所に保管します。
植えつけ時期がきたら同じように植えると、毎年チューリップが楽しめます。
保管している間に病気がついていることがあるので、植える前には球根用の消毒材に浸して消毒をすると、病気の心配がなくなります。
おわりに
今回は、チューリップの球根の基本の植え方や翌年以降の手入れ、おすすめの品種を紹介しました。
文章にすると長くなりますが、一度覚えてしまえば、球根を植えるのはとても簡単です。
チューリップは、球根に養分が蓄えられているので、肥料や土の配合などはあまり考えなくても大丈夫です。
可憐な姿とはうらはらに、ガーデニングではとても頼りになる存在です。
何より、チューリップを植えると春が来るのが待ち遠しくなります。
ぜひお気に入りのチューリップを植えてみてくださいね。