世田谷美術館は、アートを楽しむ場として市民のみならず、たくさんの方々に親しまれています。
世田谷美術館は、緑あふれる砧公園の中に設置されています。
世田谷区という場所は、関東大震災後に私鉄各線の開通などによって、さまざまな文化人が移り住んでくるようになりました。
この記事では、世田谷区でアート・芸術文化を育む美術館、世田谷美術館について紹介いたします。
世田谷美術館のアートの歴史
世田谷美術館は1986年に、日常生活と芸術をつなぐ場としてつくられた施設。
建築デザインは内井昭蔵氏が手掛けており、緑豊かな環境を生かすつくりになっています。
先史美術~現代美術まで、さまざまなアートを国内外問わず積極的に紹介しており、世田谷にゆかりのあるアーティストについての研究や作品紹介にも力を入れている美術館です。
1階には、展示室、ミュージアムショップやレストラン、住民の方が作品発表の場として使うことのできる区民ギャラリーがあります。
2階は、展示室とアートライブラリー、地下にはワークショップ等を行う創作室もあります。
美術館のエントランスでは、アーティストの実験的な表現を行う場としてパフォーマンス活動が行われることがあるそうです。
世田谷美術館のアート・コレクション
世田谷美術館では、日本国内外の近現代の作品を中心に、約16,000点の作品をコレクションしています。
中でも、その中心となっているのは、素朴派と呼ばれる作品や、世田谷区ゆかりの作家の作品。素朴派とは、専門的な美術の教育を受けずに他の仕事等をしながら独自の表現を生み出したアーティストのことをいいます。
素朴派の中でよく知られている画家の1人であるアンリ・ルソーや靴職人として働いていたオルネオーレ・メテッリなどの作品がコレクションされています。
さらに、アウトサイダー(正規の美術教育を受けていない)・アーティストの作品や、アフリカ現代美術なども収集されています。
これらは人間のもともと持つ根源的な創造性を知るきっかけとなりそうな作品たちといえるでしょう。
また、書・器などのさまざまな分野で功績を残した北大路魯山人の作品も多く所蔵されています。
北大路魯山人に関するコレクションのうち157点は、塩田コレクションとも呼ばれ、北大路魯山人本人と交流があった塩田岩治氏から寄贈されたものだそう。
近年では、資生堂名誉会長・福原義春氏が長年コレクションしてきた駒井哲郎の版画およそ500点も加わりました。
これらは福原コレクションと呼ばれています。
世田谷に縁のあるアーティストと3つの分館
世田谷は、さまざまなアート、芸術・文化の分野で活躍する人々が多く住む街。
かつてアーティストたちがアトリエとして使っていた場所に、美術館の分館が開設されているということも世田谷美術館の大きな特徴と言えるでしょう。
分館の1つ、1993年にスタートした向井潤吉アトリエ館は、洋画家・向井潤吉氏が、長年アトリエ兼住居として愛用した建物を改装してつくられました。
この建物は、向井潤吉氏の油彩画やデッサン等約660点とともに世田谷区に寄贈されています。
2つ目は、清川泰次記念ギャラリー。彼は、独自の抽象画や立体作品、様々なデザインも手がけていたアーティストです。
建物は、アトリエ兼住居を一部改築し、2003年に開館しました。
清川泰次記念ギャラリーは、市民のための区民ギャラリーも併設されているそう。
2004年に開館した宮本三郎記念美術館は、洋画家である宮本三郎氏が使っていたアトリエに、世田谷区が建設した美術館です。
宮本三郎氏の作品を紹介するだけでなく、館内の講座室にて、講演会・ワークショップ、コンサート等も開催されています。
世田谷美術館でいつでもアートを楽しもう!
世田谷美術館では、HPでもさまざまな取り組みを行っています。
忙しくて美術館になかなか足を運べない方にとっては、いつでもどこでも楽しめるコンテンツは嬉しいですよね。
その1つは「世田美チャンネル」。
展覧会についての動画や、アーティストのパフォーマンス記録など美術館で行われている活動を動画などで紹介しています。
また、子ども向けに分かりやすくアートの楽しさを伝える「セタビチャンネルJr.」というコンテンツもあります。
さらに「美術大学通信講座」と呼ばれるオンライン上で受講可能な美術講座では、自宅でもできるクロッキーの方法などを紹介しています。
鑑賞するだけでなく自分でも何かアート活動をしたいという方には嬉しいですね。
他にも、「見る」以外に「聴く」ことでアートを楽しめるプログラム「セタビ PODCASTING」も用意されており、美術館で開催されたコンサートの一部やアーティストのインタビューなどを音声によって楽しむことができます。
世田谷美術館の中に「美術大学」?
世田谷美術館は開館の翌年から、アートの魅力をより深く感じるために「美術大学」というプログラムを開講しています。
これは、鑑賞・講義・実技の3つに取り組む半年間に及ぶ講座です。
大学教授や評論家、アーティストなど美術に関わる人々からそれ以外のジャンルで活躍している人まで、さまざまな方を講師に迎えて行われています。
子供向けのものとしては「美術鑑賞教室」や「ミュージアム・ツアー」が企画されています。
世田谷美術館と教育委員会が協力し、子どもたちにアートや美術館をより身近な場所に感じて欲しいという願いのもと、取り組まれているそう。
中でもユニークなのは、2003年から毎年夏に行われる「ナイトツアー」。
謎解きをしながら、閉館後の美術館を探検するという、子供にとってはわくわくするような企画となっています。
緑豊かな景色に癒されながら、ほっとひといき
美術館にあるアート・ライブラリーでは、世田谷にゆかりのある作家のカタログ、コレクションに関する資料、国内外の作家についての資料を公開しています。
世田谷美術館のコレクション作品に興味のある方には、足を運んでみても良いかもしれませんね。
展覧会を鑑賞した後は、レストラン「ル・ジャルダン」で緑豊かな景色を眺めながらのんびりと過ごすのがおすすめ。
こちらでは、気軽に頂けるランチから特別感のあるフレンチのコース料理まで、さまざまなメニューを楽しむことができるそうです。
展覧会の余韻に浸りながら、企画展に合わせた特別メニューに舌鼓を打つのも良いですね。
もう1つ、世田谷美術館で一休みできるカフェといえばSeTaBi Café です。
美術館の地下中庭にあり、そば粉のクレープ「ガレット」や季節ごとのデザートなどを楽しめます。
天気の良い日には、テラス席でくつろぐのも気持ちよさそう。
館内には、ミュージアムショップもあり、美術館のオリジナルグッズや、展覧会図録を取り扱っています。
まとめ
世田谷美術館にあるアート・ライブラリーでは、世田谷にゆかりのある作家のカタログ、コレクションに関する資料、国内外の作家についての資料を公開しています。
美術館のコレクション作品に興味のある方には、足を運んでみても良いかもしれませんね。
世田谷区は裕福な方々も住むというイメージも少なからずある地域ですよね。
美術館だけでなく、世田谷全体が何となくゆったりとした雰囲気で、アートに浸るにはおすすめの場所といえます。
機会がありましたら、美術館の分館にもぜひ訪れてみてください。
※休業日や営業時間、その他の掲載情報については変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、最新の情報については施設・店舗へお問い合わせください。
アクセス
美術館名 | 世田谷美術館 |
住所 | 東京都世田谷区砧公園1-2 |
電話番号 | 03-5777-8600(ハローダイヤル) |
ホームページ | http://www.setagayaartmuseum.or.jp/ |