ルネサンス時代とは？特徴・代表的な絵画と有名画家をわかりやすく解説

2025年12月24日

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『ヴィーナスの誕生』｜サンドロ・ボッティチェッリ出典：Wikimedia Commons

絵画のなかでも特に人気が高いのがルネサンス時代です。
ルネサンス時代とは、14〜16世紀のイタリアを中心に起こった文化復興運動で、写実性や遠近法など、絵画表現に大きな革新をもたらしました。

本記事では、ルネサンス時代とは何かという基本から、絵画の特徴・中世との違い、さらにレオナルド・ダ・ヴィンチやボッティチェッリ、ラファエロといった有名画家まで、初心者にもわかりやすく解説します。
ルネサンス絵画の魅力を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

ルネサンス時代とは？歴史と時代背景

『キリストの変容』｜ラファエロ・サンティ
出典：Wikimedia Commons

ルネサンス時代とは、14〜16世紀のイタリアを中心に広がった文化復興運動で、絵画をはじめとする芸術が大きく発展した時代です。

芸術文化におけるルネサンス時代（ルネサンス期）とは、主に14世紀のイタリアで発生した“文化復興運動”のことを言います。1400年〜1500年半ばにかけての約100年間に、特に発展したことでも知られています。ルネッサンスと表現することもありますが、同じ意味を持ちます。ルネサンス＝再生・復活を意味するフランス語になります。古代文化の復興を目的としたものになり、次第に西欧各国に広がりを見せるようになります。ルネサンス時代について、非倫理的・非科学的な思考が多く残されていることもあり、中世と、ルネサンスの明確な違いについてはわかりにくく、考え方による違いもあります。芸術のルネサンス時代は、絵画における新しい発見と技術革新のあった時代です。具体的にルネサンス時代にはどんな変化があったのか、見ていきましょう。

ルネサンス時代の特徴｜中世との違い

『モナ・リザ』｜レオナルド・ダ・ヴィンチ
出典：Wikimedia Commons

ルネサンス時代の特徴は、人間中心の思想や写実的な表現、遠近法の導入など、中世美術とは大きく異なる点にあります。

ルネサンス時代には、その時代ならではの形式のようなものが存在します。美術に詳しい人であれば、「これはルネサンス時代の絵画だ」とひと目でわかるようなものも。ルネサンス時代ならではの特徴について、わかりやすく解説したいと思います。

写実性の向上｜人間らしさを描くルネサンス絵画

中世の絵画は、どれも同じようなポーズや同じような表情で描かれます。それが印象的でもあり、描き方によってそれぞれの個性を出していたといっても過言ではありません。その反面、ルネサンス時代は、人間を中心とした“ヒューマニズム”を大切にしました。人間それぞれに違った表情があると考え、仕草などの違いから感情を伝えるようになります。絵画を通してどんな気持ちだったのかが伝わってくるのも、ルネサンス時代ならではです。絵画を通して物語性を感じられるので、とても味わい深い作品になります。生き生きとした表情で描かれているのも、ルネサンス時代ならではです。

自然主義とは？見たままを描く絵画表現

ルネサンス時代において、自然主義で描かれるようになったのも特徴だといえます。もともと中世の時代では、表象的な描き方をしていたため、どうしても似たような描写になってしまうこともありました。これが、ルネサンス時代に入り、見たままを表現することが求められるようになります。例えば光と影による陰影や、背景との奥行きなどを表現するようになり、立体的に描くものがメインになります。中世の絵画と、ルネサンス時代の絵画を見るとそれぞれが全く違った特徴があるのでわかりやすいと思います。

人体の黄金比と解剖学｜ルネサンスの科学的視点

ルネサンス時代の特徴として、人間の体の理想的な黄金比を描くようになります。なかでもこの傾向が強かったのは、レオナルド・ダ・ヴィンチだと言われています。実際に、ウィトルウィウス的人体図を描いたことでも知られ、理想的な人体を図案化した人物です。世界ではじめて人体解剖が行われたのは、1315年のイタリアのボローニャ大学の講師だったと言います。ガレノスの影響を強く受けていたこともあり、正確な解剖とはいえませんでした。その後、1489年にレオナルド・ダ・ヴィンチが30体にもなる遺体を解剖しました。驚くほどのスケッチを描いたことで、近代解剖の祖として称号を得られるようになりました。人間の写実的な部分を描く上でも、偉大な功績を残した人物です。

遠近法の誕生｜ルネサンス絵画が立体的な理由

意外かもしれませんが、遠近法が生まれたのはルネサンス時代だと言われています。遠近法といえば、立体的に見せるものでもあり、イタリアの天才建築家でもあるフィリッポ・ブルネレスキが開発したものだと言われています。絵画にとって遠近法は欠かせないものになりますが、当時は透視図法の理論を紹介し、一気に広めるようになりました。遠近法を見るといつ頃の時代に描かれたものかもわかります。

ルネサンス時代の有名画家一覧

『若い女性の肖像』｜サンドロ・ボッティチェッリ
出典：Wikimedia Commons

ルネサンス時代には、現在でも世界的に評価される多くの有名画家が登場しました。ここでは代表的な画家を紹介します。

ルネサンス時代ならではの特徴を知ると、有名な画家にはどんな人がいるのかも気になるところだと思います。ルネサンス時代に活躍した人物は、現在でも有名な画家として名前が受け継がれている人がほとんどです。なかでも押さえておきたい、おすすめの画家について紹介したいと思います。

レオナルド・ダ・ヴィンチ｜ルネサンス最大の天才

先程も紹介しましたが、ルネサンス時代に活躍した人物の一人です。1452年4月15日に生まれ、数々の作品を残しています。絵画などの芸術分野だけに限らず、建築や数学、天文学、物理学など幅広い分野での功績を残しています。レオナルド・ダ・ヴィンチは「真の天才」とも呼ばれていたように、幅広い分野で活躍しました。「最後の晩餐」も「モナリザ」など誰もが知っている作品も多く、数々の謎を残している人物です。知的好奇心に優れ、なんでも挑戦してみる人物ではありますが、少々飽き性な一面もあり作品を完成させずにそのままにしてしまうような人物でもあったようです。

ちなみにレオナルド・ダ・ヴィンチが残した最後の晩餐ですが、9m×4mの大きな作品でもあり修道院の食堂の壁画として制作されたものです。12人の弟子とともに、イエス・キリストが食事をしていますが、そのうちの1人が裏切るとてもシュールな場面を描いたものです。キリストの後ろに光をとりいれなかったこと、それぞれの表情が豊かなのも当時では考えられない描き方でした。

サンドロ・ボッティチェッリ｜神話画で知られる画家

1400年の終盤頃に登場した画家でもあり、フィレンツェでギリシャ神話などをテーマにした作品も多く手掛けるようになります。レオナルド・ダ・ヴィンチの活躍により、生前は高く評価されることがなくひっそりと生活していました。亡くなったあとも作品が世に出ることはなく、ラファエル前派が登場したことで、再度注目を浴びるようになりました。サンドロ・ボッティチェッリは、宗教的な要素の強い作品が多く「ヴィーナスの誕生」なども有名です。パトロンであるメディチ家のちからもあり、豪華な作品も多く今でも高く評価されている画家の一人です。

ラファエロ・サンティ｜聖母画で名高い巨匠

ルネサンスのフィレンツェ派として知られる人物です。ルネサンス三大巨匠の一人でもあり、芸術家ならではの技術や作風をインプットしながら、自分なりの作品にアウトプットさせて完成させていた人物です。肖像画や宗教画を多く描き、37歳で亡くなるまでたくさんの作品を残しました。聖母の画家ともいわれ、柔らかい画風で女性や子どもを積極的に描きました。他の芸術家の素晴らしい点をいいとこ取りで描くのも特徴です。「大公の聖母」は、トスカーナ大公にちなんだものです。もともとは背景があったこともわかっていますが、現在は黒く塗りつぶされており、どんなものが描かれていたのかはわかっていません。