絵や彫刻を制作するときには、さまざまな画材や道具を使います。
画材の値段はピンからキリまであり、安いモノなら100円ショップでも手に入れることができます。
この記事は、作品を制作するとき、画材や道具の値段やブランドにこだわるべきなのかについてお話しします。
画材や道具の値段がピンキリの理由
画材や道具の値段はピンからキリまであります。
「絵を描く」という目的を達成するだけならば、100円ショップでほとんどの画材を揃えることができるでしょう。
例えば、絵の具は小学生が使う水彩絵の具ならば1本100円程度です。
しかし高いものになれば数千円するものもたくさんあります。
絵の具の値段の違いは、使われている顔料の違いが大きいといえます。
安い絵の具は顔料が少なく、高価な絵の具は貴重な顔料が多く使われているため値段に差が出るのです。
絵の具以上に値段がピンキリな道が筆です。
筆は、使われている毛の種類でおおまかに値段をわけることができます。
また、筆は毛並みや形のよさも使い心地に影響を与えます。
機械で大量生産された筆は毛先がバラバラで描きにくく感じることがあります。
高価な筆は職人が1本1本製作し、使っていくうちに手になじんでくるのです。
画材の値段がピンキリの理由は、使われている材料と作り手に違いがあるからです。
安い画材や道具を使うメリットとデメリット
安い画材や道具を使うメリットは、安く多くの画材や道具を手に入れられることです。
はじめはそろえなければならないものが多く、出費も大きくなります。
また、買ってはみたけれど使わないものも多く、最初から高価なものを揃えるともったいないことになってしまうかもしれません。
デメリットは、自分の本当の実力を発揮できない可能性があることです。
安い絵の具の中には、発色が悪かったり、乾きが悪かったりするものがあります。
発色の悪い絵の具を使っていると、実力はあっても思うような色が表現できません。
とくに筆は毛先で繊細な部分を描きます。
安いからといってボサボサの筆を使っていると繊細な表現ができません。
デザインや建築ではコンパスも必要です。
美術では、文具店で売っている数百円のコンパスではなく、数千円のコンパスを使います。
使ってみると違いは歴然としています。
数百円のコンパスは「ここに円を描きたい」と思っても、微妙にずれます。
しかし数千円のコンパスは正確に思い描いた円を描き、軸がずれることもありません。
安い道具や画材を使っていると、道具の能力の限界がわかってしまい制作の一番の敵である「妥協する」というデメリットもあります。
画材のブランドの違いとは
画材にはたくさんのブランドがあります。
ブランドによって値段も変わります。
結論からいうと、ブランドは揃えたほうがいいでしょう。
例えば、デザインで使うポスターカラーは鮮やかな発色が特徴の絵の具です。
原色で使うこともあれば、混色して独自の色を作ることもあります。
異なったブランドのポスターカラーを混色すると、思わぬ色に変化することがあるのです。
さらに、混色しているときにはいい色であっても、実際に塗って乾かしてみたら色が変わってしまうこともあります。
ブランドが変われば含まれている材料も変わります。
絵の具については、ブランドを統一したほうがいいでしょう。
デッサンで使う鉛筆にも多くのブランドがあります。
同じ黒色でもブランドによって印象は異なります。
これは、ブランドによって含まれる粘土や黒鉛の量が違うからです。
美術で使う鉛筆は、筆記具の鉛筆よりも高価です。
これは、芯に含まれる粒子が細かく芯がデッサンに耐えられるように作られているからです。
画材の値段やブランドにこだわり始めたら上達した印
美大受験予備校に来ている人たちは、使っている画材や道具がさまざまです。
また、持っている量も人それぞれです。
ただ、安い画材しか持っていない人よりも高い画材を持っている人のほうが絵はうまく、うまい人ほど持っている画材や道具の量は多い傾向があります。
絵がうまい人は、微妙な色の違いを感じ使い分けることができます。
そのため画材を購入するとき「安いから」という理由よりも「自分の表現ができるから」という理由で画材を選ぶようになるのです。
また、上達してくると好きなブランドをもつようになります。
「鉛筆はステッドラーに限る」という人もいれば「自分の絵にはユニのほうが合っている」という人もいます。
ブランドや値段にこだわるようになってきたということは、それだけ色の違いや使い勝手の違いがわかるようになってきたということです。
おわりに
いい画材や道具は、表現の幅を広げます。
1本の絵の具との出会いから新しい描き方を発見することもあります。
最近は高価な画材の代用品のレベルも高くなっています。
自分の予算と実力にあった画材や道具を探しに足を運んでみることも制作活動の一環です。
お気に入りの画材や道具は制作意欲をかきたててくれるでしょう。