三井記念美術館の作品の数々は、いつも訪れる人を楽しませます。
江戸時代から脈々と受け継がれたコレクションを目にすれば、そのケタ外れの量に驚くはず。
この記事では、いかにして東洋美術の宝庫が日本橋の地に誕生したのかをひも解いていきます。
三井記念美術館の歴史、成り立ち
三井記念美術館のいしずえは三井財閥です。
その影響力は令和の世でも健在で、三越グループや三井住友グループにその名が残るほど。
まずは、三井財閥の前身である三井家の歴史から説明しましょう。
三井家とは?
1673年、三井高利とその息子たちが江戸に創業した「越後屋」が始まりです。
呉服屋としてスタートしました。
ちなみに三越は「三井の越後屋」という意味です。
三井高利は、1622年に伊勢の松阪で生まれました。
豪商の一族出身であり、商売に長けていた母・殊法の薫陶を受け、高利は商才を発揮します。
越後屋は、当時の呉服業界のタブーを打ち破る経営戦略で評判を呼びました。
その戦略とは、現銀安値掛値なし・店(たな)前(まえ)売り。
つまり、掛け売りはせず、店頭で販売していたのです。
今では違和感がないですが、当時は一般的ではありませんでした。
ではどんなやり方だったかというと、商人が商品の見本を持って客先に出向きます。
支払いは後払いでした。
その他、反物の切り売り(お客が必要な分だけ売る)や、仕立て売り(その場で着物を作って渡す)も実施しました。
これらの方法が人気になり、越後屋は1日に千両を売り上げる日もあるほどに繁盛したのです。
ちなみに、1両はおよそ10万円。いかに儲かっていたのか、よくわかりますね。
美術館ができるまでの道のり
三井家は、北家を筆頭に6つの本家と5つの連家で構成されていました。
三井高利の趣味は茶道。
彼の風流人ぶりと商才が美術コレクションの土台になったことは間違いないでしょう。
その証拠に、北家は京都画壇や紀州徳川家と交流がありました。
円山応挙の支援を行い、徳川家の金融御用(資金調達先の銀行)も務めたのです。
応挙の名作や貴重な茶器を収集できたのも、ひとえに人脈があったから。
北家のみならず、一族の人々もコレクションの形成に一役買っています。
そのおかげで、絵画や茶道具だけでなく、刀剣や切手なども加わりました。
戦後、GHQの命令により財閥は解体されます。
三井財閥の名は消えども、日本経済を支える巨大な柱であり続けました。
北家の11代当主が三井文庫に美術品を寄贈したことをきっかけに、他の家からもそうそうたるコレクションが集まったのです。
三井家以外からの寄贈も受け付けました。
1984年、三井文庫別館が竣工します。翌年から作品の一般公開を始めました。
日本橋に三井記念美術館が誕生したのは、2005年。
三井本館にオープンしました。
東京でも有数の美術館として存在感を放っています。
三井記念美術館の特徴
ここからは、ぐっと美術館の魅力に迫ります。
見逃し厳禁です。
重要文化財に指定されている三井本館
三井記念美術館に到着したら、建物に入る前に外観を眺めてください。
三井本館は重要文化財に指定されているだけあり、それだけで見応えがあります。
昭和初期の日本を代表する重厚な洋風建築は、あの人気ドラマ『半沢直樹』のロケ地として使われました。
機会があれば、夜に周辺を散策するのをオススメします。
ライトアップされた光景はSNS映え間違いなしです!
用の美と造形の美が織りなすハーモニー
三井記念美術館のコンセプトは、“用の美”と“造形の美”です。
実用的な道具の中に美しさがあるというのが用の美。
それを体現するのが国宝の茶室『如庵』の再現展示です。
併せて展示されている茶道具にもご注目。
必ず展示されるわけではないので、公開時期にご注意ください。
洋風建築の中に東洋美術を展示して造形の美を魅せる試みは、ここならではです。
作品の形や色彩をお楽しみください。
貴重な東洋美術の宝庫
国宝が6点、重要文化財が75点、重要美術品が4点と、見どころが目白押しです。
これだけは絶対に見逃せない名品をピックアップしました。
円山応挙 雪松図屛風
応挙の作品で国宝に指定されている作品はこれだけ。
まさに東洋の美!と言っても過言ではないでしょう。
本阿弥光悦 志野茶碗 銘卯花墻/長次郎 黒楽茶碗 銘俊寛
それぞれ国宝と重要文化財に指定されています。
茶道好きな方はぜひご覧ください。
短刀 無銘政宗 (名物日向政宗)
豊臣秀吉から石田三成へ、そして紀州徳川家の手に渡った品。
水野日向守勝からその名がつきました。もちろん国宝に指定されています。
日本刀のコレクションはこれ以外にもたくさんあるので、刀剣ファンは必見です。
併設ミュージアムショップ・カフェ
美術館に行ったときのお楽しみといえばこれですね。
営業時間は変更がある場合もありますので詳細はお問い合わせください。
休館日は月曜日です。
ミュージアムショップ
チケットなしで買い物できます。
東洋美術専門の美術館だけあって、和のテイストのお土産を販売しています。
日本人のみならず、外国の方にも人気がありそう。
【オススメのグッズ】
- 一筆箋
- うちわ
- ランチトート
- クリアファイル
- オリジナル手ぬぐい
- 雪松図屛風のミニ屏風
ランチトートはホワイトとブラックの2種類。エコバッグとしても使えます。
ミュージアムカフェ
ラストオーダーは15時半までに変更されています。
メニューはやはり和の趣。特別展のメニューもお見逃しなく!
各メニューの提供時間帯は下記の通りです。
11時~14時:ドリンク、食事
14時~15時半:ドリンク・スイーツ
【オススメのメニュー】
- わらび餅
- ぜんざい
- おしるこ
- 季節の御前
- 日本橋ビール
- 豆腐ハンバーグ御膳
- 鴨そば
- 冷やし胡麻ダレうどん
ボリューム控えめなので、男性だと少し物足りないかもしれません。
お酒好きな方なら、日本橋ビールを飲んでみては?
まとめ
今回は、三井記念美術館をご紹介しました。
毎年、ひな祭りの時期に三井家秘蔵のひな人形を一般公開しています。
人気のある企画ですので、ぜひ行ってみてください。
三井記念美術館のレトロなエレベーターも隠れた魅力です。
最後にお得なお知らせを。
インターネットからチケットの割引クーポンを利用できます。
パソコンからスマートフォンにメールを送ると入場料が安くなるので、ご利用ください。
※休業日や営業時間、その他の掲載情報については変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、最新の情報については施設・店舗へお問い合わせください。
アクセス
美術館名 | 三井記念美術館 |
住所 | 東京都中央区日本橋室町2丁目1−1 三井本館7階 |
電話番号 | 050-5541-8600 |
ホームページ | https://www.mitsui-museum.jp |