この記事では、書道に取り組むときに知っておきたい用具の基礎知識から、作品の出品まで詳しく解説します。
子どものころにお習字を習っていた人は多いのではないでしょうか。
子どものころは書の魅力がわからなかったけれど、大人になったら再び筆を手にしたくなる瞬間があります。
ぜひ本記事を参考に、再び挑戦してみてはいかがでしょうか。
書道用具のそろえ方

書道を始めるときには用具が必要です。
書道用具は一度用意したら長く使えるものがほとんどなので、最初から長く使えるものを選んだ方がいいでしょう。
「文房四宝」の言葉通り、書道用具は筆と墨と硯と紙の4つが必要です。
他にもフェルトでできた下敷きや水滴(水差し)なども必要ですが文房四宝さえきちんとしたものを用意すれば、あとは徐々に買い集めればいいでしょう。
もしくは、セットで購入し、筆や墨だけは別途用意しても効率的かもしれません。
書道用具のうち、一番力を入れて選ぶべきものは筆です。
筆には羊毛筆(やわらかい筆)と剛毛筆(かたい筆)がありますが、最初は兼毛筆というやわらかい毛とかたい毛をあわせた筆を選びましょう。
いい筆の見分け方は毛の長さがそろっていて横から短い毛がピンピンと出ていないものを選ぶことです。
値段で選ぶという方法もありますが、筆の値段は毛の種類や太さによって変わるため、一概に値段だけで見分けることは難しいかもしれません。
よくある質問Q&A|書道用具について

市販の墨汁でもいいですか?
書道用具のひとつ、墨には、液体の墨汁と固形の墨があります。
小学校の授業では授業時間の関係でボトルに入った市販の液体の墨を使うことが多いでしょう。
市販の墨汁は便利ですが固形の墨を磨って作ったものと比べると黒さが違います。
「墨をする」を感じにすると「磨る」と書きます。まさに磨かれた黒さに変わるのです。
時間が許すならば固形の墨を硯の上でゆっくりと磨り、磨き上げた墨で書きたいものです。
墨を磨った硯は使用後に洗います。墨がついたままにしておくと墨がこびりついて落ちなくなります。
練習した半紙で残った墨を吸い取り、スポンジや歯ブラシを使って洗います。
新しい筆はどこまでおろせばいいですか?
新しい筆を買ったとき、どこまでおろしていいものか悩みます。
「筆の半分までおろす」と指導されることもあれば、「根元までおろす」と指導されることもあるようです。
大きな筆は根元までおろしてもかまいませんが、小筆は三分の二までおろします。
筆を根元までおろさない場合は手入れに注意が必要です。
おろした部分とおろさない部分の境目に水分がたまり、保管状況によっては虫がつくことがあります。
虫がついてしまうと毛が切れてしまいます。
使用後の筆はできるだけ丁寧に洗い乾燥させておきましょう。
筆の扱いに慣れてきたら根元までおろしたほうが多くの表現ができるようになります。
出品の方法と注意点

作品ができあがったら部屋に飾ったり、出品したりして人の目に触れさせましょう。
半切(縦に長い紙)ならば掛け軸にしてもいいし、半紙ならば額装してもオシャレです。
もっと人の目に触れさせて評価がほしいときには思い切って出品します。
出品するときには、紙のサイズやジャンルに注意します。
公募情報は、専門誌や団体のサイトから得ることができます。
公募の主催が団体であるときには、入選する作品に共通の傾向がある可能性が高いです。
事前に団体展や展示会があれば見に行ってみるといいでしょう。
書道は見て学ぶ「目習い」という言葉があります。優秀な作品はみるだけもいい勉強になります。
詩や小説の一部を書いて出品するときには著作権に注意が必要です。
著作権の許可は、自分で練習に使用するだけならば必要ありません。
しかし公募展に出品するときには許可が必要になることがあります。
著作権の許可には費用がかかることもあるため、申請する前に問い合わせてみましょう。
問い合わせ先は「文芸年鑑」(新潮社)などで調べられます。
作品数が増えたら個展を開いてみましょう。個展は、会場探しから始めます。
ギャラリーを借りると5日間で安くても10万円が相場です。
公民館ならば費用を抑えることができるでしょう。
会場側が作風や作者のプロフィールを確認し、審査をします。
審査が通れば展示作品の決定と搬入搬出方法を考えます。
展示期間は3日間から1週間程度です。
招待したい人に招待状を送り、当日は会場で接客をします。
おわりに
今回は、知っておきたい書道用具の基礎知識から作品の出品までを詳しくご紹介しました。
書道は年齢や場所に関係なく、いつでも始められる芸術です。
書道は半紙に書くだけではなく、うちわやふすまに書いて作品を使うこともできます。
人気書家の武田双雲氏は、プロフィールに「書道家・現代アーティスト」と書いています。
子どものころに習った書道は決まりごとがたくさんありました。
しかし、書道は基本を踏まえれば現代アートのように自由に表現できる新しいアートのジャンルになり得るのではないでしょうか。
