皆さんは、セントポーリアをご存じですか?
室内で蛍光灯の光でも育てられることから、かつて日本でも一大ブームがありました。
いつのまにかブームは過ぎ去ってしまいましたが、セントポーリアの魅力は変わりません。苗は今も手軽に購入することができます。
お部屋の中で、いつも花を見ながら育てられるセントポーリア。あなたも育ててみませんか?
セントポーリアって、どんな花?
セントポーリアは、アフリカスミレという和名を持つイワタバコ科の花です。ベルベットのような質感の葉と、真夏を除いて一年中咲き続ける可憐な花が魅力です。
和名アフリカスミレの名が示す通り、アフリカが原産地で、山岳地帯に24種類ほどが分布しています。アフリカでも標高が高いところに咲く花のため、温暖な環境を好みます。
セントポーリアは、ちょうど人間が好むのと同じ温度や湿度のもとで、よく育ちます。最適温度は、18〜23℃で、13℃以上が望ましいとされ、最適な湿度は、50〜60%です。暑くもなく寒くもなく、湿度もちょうどよい環境が、セントポーリアにとっても育ちやすいのです。
また、太陽光ではなく蛍光灯やLEDの光でも育てられることも特徴です。実は、セントポーリア以外の植物も人工の光で光合成をすることができるのですが、人工の光は太陽光と波長が異なり、太陽光と同じだけの光合成を行うことができません。たいていの植物は、人工の光だけでは、育つのに必要な光合成をまかなえないことが多いのです。
セントポーリアは、人工の光だけでも、生育に必要な光合成ができるという性質があります。日陰でも育つ性質(耐陰性)を持つ植物は他にもありますが、セントポーリアもその一種で、日光をふんだんに使わずに生長できる花といえるでしょう。
耐陰性に優れた植物には、他にもギボウシやシャガ、アジュガなどがありますが、どれも花の時期が一ヶ月ぐらいと短いものばかりです。また、高い湿度が必要だったり、室内での栽培には向いていません。
耐陰性だけでなく、室内の環境にも向いている性質を持つ花はめずらしく、セントポーリアだけといってもいいかもしれません。
ガーデニングでは、せっかく育てている花を部屋で見られないのは当たり前のことですが、セントポーリアは部屋にいながらにして楽しむことができるのです。
セントポーリアの基本データ
- 形態:多年草
- 開花時期:6〜9月
- 適正温度:18〜25℃
- 耐暑性:弱い
- 耐寒性:弱い
セントポーリアブームとは?
セントポーリアは、かつて日本で一大ブームになったことがあります。きっかけは、1968年にドイツから輸入されたセントポーリアが人気を博したことです。
なぜブームになったかといえば、マンション建設ラッシュと関係があると言われています。マンションは一戸建ての住宅よりも冬も室温が温かく、セントポーリアを育てるのに好都合だったのです。
庭がないマンションは園芸には向かないはずですが、マンション暮らしがセントポーリア栽培ではメリットになってしまうのです。花の姿も可愛らしく、セントポーリアを多くの人が育ててみたくなったのは、頷ける気がします。
マンション住まいの人だけにとどまらず流行したセントポーリア。ブーム当時は、専用のガラスケースの中に入れて専用ライトで育てていることがめずらしいことではなかったようです。セントポーリアの思い出を綴っているブログも散見されます。
誰もが育てているわけではないけれど、ものすごくめずらしいわけでもないという感じは、もしかしたら、熱帯魚の飼育のようなイメージだったのかもしれません。
セントポーリアに必要な保温と光
人間と同じ環境を好むというと、いかにも育てやすそうですが、実はセントポーリア栽培は簡単というわけではありません。
寒さに弱いため、冬場は暖房のきいた部屋に移動させなくてはいけません。夏には、直射日光を避けるために、日当たりの弱い所に移動させなくてはいけません。セントポーリアは、レースのカーテン越しの日光を最も好むのだそうです。
こうなってくると、人と同じ環境以上の“特別に心地よい環境”を用意しなくてはいけない、ちょっとワガママなお花と言えそうです。
特に、陽射しに関しては調節が難しいため、思いきってライトに頼ってもいいかもしれません。人工の光の種類は、蛍光灯でもLEDでも大丈夫です。
よりよい光を与えたい場合には、植物育成用のライトも販売されています。波長を太陽光に近づけたライトで、植物の光合成を促し、より生長しやすい光になっています。
レタスの場合に、植物育成ライトを使うと普通のLEDライトの場合よりも3〜4倍生長したというデータもありました。お値段は普通のライトの5倍ぐらいするそうですが、しっかり効果も見込めるようです。
根腐れにも気をつけましょう
室内に置いて育てるセントポーリアは、思い立ったらすぐに水やりができることから、ついつい水やりをすることが多くなってしまうようです。
セントポーリアは乾燥に強いわけでなく、適度な湿度が必要な植物ですが、水のやりすきると根腐れを起こしてしまいます。
目安としては、3〜4日に1回、鉢植えの土が乾いたら水やりをしましょう。
セントポーリアの豊富なバリエーション
ブームが過ぎ去ったとはいえ、今も愛好家が多くいるセントポーリア。花の色や株の大きさも豊富に揃っています。
ただ最近では、フラワーショップではセントポーリアを置いていないこともあるようです。オンラインショップでは、今もセントポーリアが簡単に手に入ります。花や葉の色が異なると、印象がまったくちがうセントポーリア。
長く咲く花なので、お気に入りの品種をじっくり探してみてはいかがでしょうか?
おわりに
ガーデニングの残念なところは、せっかく育てても咲いた花を部屋の中では見られない、ということです。花瓶に飾ることはできても、地に根を張り咲き誇ってる姿は、外に出ないと見ることはできません。
しかし、セントポーリアはちがいました。部屋の中で育てられる花があるなんて、最高です!
光や保温など少し気を遣わなければいけない点もありましたが、いつでも花を見せてもらえるなら、やってみる価値は充分にありそうです。
セントポーリアは真夏以外は開花時期にあたり、花の時期がとても長いので、思い立ったときに始めやすいのもいいですね。