ホキ美術館は、昭和の森公園から見える不思議な建物です。角度によって全く違うフォルムを呈しており、それが訪問者の好奇心をくすぐります。
創設者の保木将夫氏が「写実の殿堂」を作りたいという願望を形にしました。
世にもまれな美術館が生まれたきっかけは、ある画家との出会い。そこから小さな展示スペースができ、最終的には多くの人を呼び込む空間へと成長したのです。
この記事では、写実絵画の魅力と保木氏が美術館にかける想いをひも解いていきます。
ホキ美術館の歴史、成り立ち
ホキ美術館は、2010年11月に千葉県にオープンしました。日本で初めての写実絵画専門のミュージアムです。
保木将夫氏が初代館長に就任し、自身のコレクションを展示するために創設しました。現在は令嬢の保木博子氏がその立場を引き継いでいます。保木氏は株式会社ホギメディカルの創業者でもあります。
医療用の不織布製品やキットなどを作る会社の経営者と、写実絵画の美術館。なんの関係もなさそうですが、実はあるのです。保木氏はもともと絵画鑑賞を趣味としており、海外の作品をコレクションしていました。
転機は突然やってきます。写実絵画界の巨匠・森本草介の作品をみて、その魅力に引き込まれました。それからの彼は、写真のような絵画だけを買い集めるようになります。
ここで少し補足しましょう。写実絵画は、精緻な描写を特徴とするジャンルです。いうなれば「絵筆で限りなく写真に近いものを表現する技法」でしょうか。実物をご覧いただくとよくわかりますが、人間の手で描かれたとは信じられない細かさなのです。画家の手間と愛情がこもった絵が、保木氏をとりこにしたのでしょう。
話題が逸れましたが、本題に戻ります。2001年頃、保木氏は小さなギャラリーを作りました。千葉にあった自宅の隣家が空き家になっており、そこを借りてコレクションの公開を始めたのです。年に2回、入場料は取らず宣伝もしませんでした。
しかし予想以上に反響が大きく、「これはいけるかもしれない」と思った保木氏は、美術館の設立を決意。そしてホキ美術館が誕生しました。
2019年、台風の被害により同館は長期休業を余儀なくされてしまいます。施設の修繕や作品の修復を行い、2020年8月に満を持してリニューアルオープン。休館期間中は、他の美術館に作品を貸し出して展示を行いました。
ホキ美術館の特徴
ホキ美術館の特徴として、建物・コレクションの他に「わくわくプラン」が挙げられます。
以下、順番に説明しましょう。
みる者を引き付ける独特なフォルムの建物
同館の建物は、2011年に日本建築大賞を受賞しています。また、千葉市の都市文化賞にも選ばれました。
ポイントは、角度によって全く違う印象になるところ。駐車場側からみると、四角い箱を組み合わせた形をしています。住宅街側から眺めれば、ごく普通の建物。特に変わったところはありません。
しかし公園側に回ると、何だかよくわからない不思議な建築物に変身。ギャラリーがよく見える作りになっています。
保木氏の言葉です。「そこを通ったら入りたいと思わせる美術館を建ててほしいとお願いした」その意図は確かに実現しました。
ホキ美術館のコレクション
写実画家として有名な野田弘志や森本草介の作品を筆頭に、ベテランから若手にいたるまで500点のコレクションを所蔵しています。他の美術館にない特色としては、画家の大半が健在ということが挙げられるでしょう。
常設展と企画展のいずれも開催しています。つねにおよそ120点の作品を公開。常設展の目玉は、ギャラリー8の「私の代表作」。選ばれし人気画家が、3年かけて描き上げた大型の作品を展示しています。
企画展示は年に2回開かれ、5月と11月に展示の入れ替えをして公開。おもに人物画が中心ですね。
作品が展示されている主な画家
- 青木敏郎
- 石黒賢一郎
- 五味文彦
- 塩谷亮
- 島村信之
上記で取り上げたのはほんの一部。あなたのお気に入りの作家を見つけてみてはいかがでしょうか。
わくわくプラン
ホキ美術館のチケットとランチ・カフェをセットにしたプランです。税込み4,500円。
当日に限り、出入りが自由。作品を鑑賞したり、昭和の森公園を散策したりとのんびり過ごせます。
併設のレストランではイタリアンのランチコースを味わえますよ。疲れたらミュージアムカフェのドリンクサービスで一息つきましょう。
1人から利用可能。最大20名までです。前日までに電話かメールにて申し込んでください。10名以上は10日前までの予約が必要なので、ご注意を。
併設ミュージアムショップ・カフェ
ショップ
代引きでも注文できます。配達地域ごとに送料がかかります。メールもしくはFAXにて注文してください。
ポストカードセット
人気作家7名の作品を集めました。10枚1セットです。対象の画家は、森本草介・野田弘志・五味文彦・大畑稔浩・原雅幸・石黒賢一郎・島村信之。
カレンダー
壁掛けタイプのカレンダーです。自宅でも気軽に写実絵画を鑑賞できますよ。
図録各種
美術館のお土産の定番。心ゆくまでお気に入りの作品を眺めてください。
お皿とマグカップ
実際にカフェで使われています。おしゃれなティータイムを演出してくれるグッズ。絵柄がプリントされており、実用的なアートです。
カフェ・レストラン
レストラン「はなう」はチケット不要で利用可能。平日はカフェの営業も兼ねています。
混雑が予想されるので、事前予約を推奨します。(地下1階のカフェスペースは土日のみオープン、10時半から16時半まで)
レストランメニュー
ランチ(11時半から14時半)1日3組まで受け付けています。月曜日は休止。6,000円と9,000円のコースから選べます。(9,000円コースはメインが2つ)
~パスタランチコース~
- 前菜盛り合わせ
- 本日のパスタ
- デザート盛り合わせ
- パン
- コーヒーor紅茶
- ディナー(17時から20時)
~おすすめコース~
- 冷前菜
- 温野菜2皿
- 手打ちパスタ
- メインデッシュ(魚or肉)
- デザート
- 自家製パン
- コーヒーor紅茶
カフェメニュー
ドリンクと軽食があります。
~ドリンク~
- コーヒー(ホット・アイス)
- 紅茶(ホット・アイス)
- エスプレッソ
- カプチーノ
- アイスカフェラテ
- ハーブティー
~軽食~
- ケーキセット
- 和牛ハヤシライス
- ホットサンド
まとめ
今回は、ホキ美術館を紹介しました。
じっくり絵と向き合い、癒しの時間を体感してみてはいかがでしょうか。
美術館の展示スペース、実はたくさんのこだわりが詰まっているのです。
- ピクチャーレールを使わず、スッキリと作品を魅せる工夫
- 足が疲れにくいゴム素材の床
- 作品を美しく演出する照明
シンプルな内装ゆえに見落としてしまいがちですが、注目してみてください。
※休業日や営業時間、その他の掲載情報については変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、最新の情報については施設・店舗へお問い合わせください。
アクセス
美術館名 | ホキ美術館 |
住所 | 千葉県千葉市緑区あすみが丘東3丁目15 |
電話番号 | 043-205-1500 |
ホームページ | https://www.hoki-museum.jp/ |