藤城清治氏といえば影絵で有名なアーティストです。
97歳になった今も第一線で活躍しており、制作意欲は衰えを知りません。
光と影が生み出す幻想的な世界には、老若男女を問わず惹きつける力があります。
まさに神業のごとく緻密な手仕事から生み出された作品は、圧巻の一言でしょう。
意外なことに制作の原点はペン画でした。生まれ持った才能を磨き上げ昇華させた結果が影絵なのです。
この記事では、藤城清治氏の半生と美術館の魅力について解説していきます。
藤城清治美術館の歴史・成り立ち
藤城清治美術館は、2013年に設立されました。
全部で4つあり、今回とり上げるのは第1号となった那須高原にあるミュージアムです。
藤城清治氏の人物像や作品に触れつつ、美術館ができるまでの歩みを説明いたします。
美術が得意だった学生時代
藤城清治氏は1924年生まれ。東京出身です。
内気で口数が少ない少年には類まれな絵の才能がありました。
子どもとは思えないほど精緻なペン画で周囲の大人を驚かせたという逸話が残っています。
12歳のときに慶応普通部に入学し、図画教師の仙波均平と出会いました。
水彩画・油絵・エッチングの手ほどきを受け、生まれ持った才能を開花させていきます。
この頃から美術の成績は抜群によく、影絵制作の基礎はすでに確立されていたのでしょう。
影絵作家・藤城清治が誕生するまで
慶応義塾大学経済学部に進学した藤城清治氏は「慶応パレットクラブ」に所属します。
当時の日本は第二次世界大戦下にあり、藤城青年も海軍予備学生として招集されました。
1945年に終戦を迎えると大学に復学。
在学中にアジアの影絵芝居を知り、深い感銘を受けます。
1947年に大学を卒業。銀行から内定をもらっていましたが辞退し、東京興行(現東京テアトル)に入社しました。
会社勤めをしつつセミプロ劇団「人形と影絵の劇場ジュヌ・パントル」を結成。
退職し影絵作家として独立したのは1951年のことでした。
花森安治との出会い
独立から遡ること3年前、藤城清治氏は『暮しの手帖』の創刊者・花森安治と出会いました。
彼との邂逅が人生のバックボーンになった、と後に語っています。
花森安治に才能を認められた藤城清治氏は『暮しの手帖』で影絵作品の連載を開始。
1948年から1996年まで続きました。
1960年代には爆発的な人気を呼んだキャラクター・ケロヨンを生み出します。
恩人である花森安治の急逝を受け、1978年から『暮しの手帖』の表紙イラスト作成を引き継ぎました。
自身の名を冠した美術館を設立したのは2013年。長年の夢を叶えました。
その後もミュージアムは増え、山梨県の昇仙峡や長野県の池の平、そして北海道の生田原でも作品が展示されています。
藤城清治美術館の特徴
ミュージアムの特徴は3つあります。
見どころをピックアップして紹介いたします。
ステンドガラスが印象的なチャペル
敷地内に建っている小さな教会はお見逃しなく。
レンガは職人の手作り。ステンドガラスは藤城清治氏がデザインしました。
内部を見学することもできます。
庭の作品にもご注目
入り口の門をくぐると、美術館へと続く散歩道のあちこちで可愛いキャラクタ―達がお出迎えします。
藤城清治氏の作品に登場する猫やこびと、そしてケロヨンなど。
庭園内は自由に撮影できます。
多くのSNS映えする写真が撮れるかもしれません。
鑑賞者が主役の劇場型美術館
「生きて演じ動いていること、舞台と観客がひとつになり感動すること」を体感してもらえるよう、随所に工夫があります。
館内全体の照明を控えめにし、あえて仄暗い空間にすることで影絵が浮かび上がる演出となっています。
館内には、巨大水槽を利用して作られた大作やミニ影絵劇の回転舞台などもあります。
トイレの天井にも影絵に登場するキャラクターがいますので、探してみるとおもしろいですよ。
美術館の2階には、アトリエを再現したスペースがあります。
作家の作業風景がみられる機会は早々ないでしょう。
ミュージアムショップ・カフェ
影絵を鑑賞した後は、お楽しみのお土産タイムです。
通信販売も受け付けていますので、遠方にお住いの人でも購入できます。
ショップ
影絵作品をモチーフにした商品がずらりと並んでいます。
ここでしか手に入らないオリジナルグッズが目白押し。
定番のポストカードや書籍、クリアファイルなど美術館ならではのラインナップです。
公式オンラインショップからも購入できます。
カフェ
東京・大田区に「ラ・ビーカフェ」があります。
気になる方はそちらで雰囲気を味わってみてはいかがでしょうか。
おすすめメニューをいくつか紹介いたします。
ホットドッグ
美術館限定の一品。
藤城清治氏が愛するメニューです。
那須高原の専門店で作られたパンとソーセージを使用。
柔らかい食感なので年代を問わず召し上がれます。
コーヒーもしくは紅茶付き。
ミートローフサンド
天然酵母入りのパンにミートローフを挟みました。
こちらも藤城清治氏いちおしです。
コーヒーもしくは紅茶付き。
コーヒーアフォガート
クリームチーズアイスとコーヒーシロップの相性が抜群です。
甘さとほろ苦さのハーモニーをお楽しみください。
藤城清治美術館まとめ
藤城清治氏の作品には動物が多く登場します。
動物への愛が作品の核になっていると自ら語っていました。
生けとし生けるものに対する愛情を通じて生命の尊さを描いているのだそうです。
オンラインの美術館でも作品を鑑賞できますので、興味があれば登録してみてはいかがでしょうか。
※休業日や営業時間、その他の掲載情報については変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、最新の情報については施設・店舗へお問い合わせください。
アクセス
美術館名 | 藤城清治美術館 |
住所 | 栃木県那須郡那須町湯本203 |
電話番号 | 0287-74-2581 |
ホームページ | http://fujishiro-seiji-museum.jp/ |