青森県立美術館は、2006年の開館以来、来館者は350万人を超え、全国でも指折りの美術館となりました。
JR新青森駅から、10分ほどで到着する場所にある青森県立美術館。
有名な三内丸山遺跡にも隣接しています。
車を使えば、青森空港や青森市街からでもおよそ20分で着くので、青森県以外から来た方が訪れるにも便利な立地ですね。
青森県立美術館は、同じ県内にある十和田市現代美術館と並んで、青森の2大アートスポットと言われています。
今回は、青森県立美術館についてくわしく解説いたします。
遺跡発掘現場のような建物
有名な三内丸山遺跡に隣接して建てられている青森県立美術館は、青森県にゆかりのあるアーティストたちの作品を世界に向けて発信することに力を入れています。
2006年の開館後は、地方にある魅力的な美術館の1つとしてあらゆるメディアで紹介されているので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。
美術館は、地上2階、地下2階の4階建ての建物でとてもユニークな外見が特徴。
設計を手掛けた青木淳氏によると、美術館の建物は三内丸山遺跡から発想を得たといわれています。
まるで、遺跡の発掘現場のトレンチ(壕)のように、地面が幾何学的に切り込まれているお洒落で不思議な佇まいは、来館者の目を楽しませてくれます。
外壁には、白く塗装された43万個の煉瓦が手積みされており、有機的な味わいが感じられます。
建物全体に凹凸と隙間が多用され、それぞれが嚙み合っているような独特なつくりは、今までになかった展示空間を生み出し、美術館の素晴らしい魅力となっています。
真っ白な展示室や土の床や壁が露出している展示室は、どれも個性的で素晴らしい空間ながらも、作品の雰囲気を邪魔しないよう、計算されています。
なんと展覧会が催されるたびに、土の床や壁は部分的に壊され、補修されていくそう。
展覧会を重ねるごとに、さらに味わいが増していきそうな建物ですね。
館内にあるサインや案内等のロゴは菊地敦己氏がデザインされています。
サインに使われている書体は、オリジナルのフォントが使われ、ロッカーや消火器表示などすべてデザインのテイストが統一されています。
細かいところに配慮が行き届いていると、訪れる方もより美術館のもつ世界観に浸れそうですね。
青森の頭文字「A」と「木」をモチーフにした美術館のシンボルマークも、同じく菊池氏が手掛けています。
このシンボルマークは、館内入口6個所の外壁にも使用されており、青森県立美術館であることを伝えるサイン、つまり「看板」の役目を果たしています。
それら入口のシンボルマークたちは、閉館間近になると光が灯り、閉館後の30分間光り続け、美術館の1日の終わりを告げます。
222個の美術館のシンボルマークが輝く様子は一見の価値あり。
また、青森県立美術館には、八角形のお堂のような外見の「八角堂」と呼ばれるスペースがあります。
こちらにも作品が設置されているのですが、屋根が無いので天候や季節、時間によって雰囲気が異なります。
緑の気配感じる春、雪の降り積もる冬、作品の表情も刻々と変わりそうですね。
館内には図書室やコミュニティホール、映像演劇も楽しめるシアターなどアートを楽しむための施設も充実しています。
シャガールの「アレコ」、奈良美智氏の「あおもり犬」
青森県立美術館では、歴史に名を残すアーティストであるシャガールやクレー、マティス、レンブラント、ピカソなどの作品の他に、青森県にゆかりのある棟方志功や寺山修司、奈良美智、成田亨などの作品も収蔵しています。
過去から現在に至るまで貴重なコレクションを多数所有しているのも青森県立美術館の特徴です。
中でも4階分の吹き抜けをもつアレコホールに展示している「アレコ」はとくに有名。
この作品は世界的に有名な画家、マルク・シャガールが描いたバレエ「アレコ」の背景画です。
全4作品のうちの3つが青森県立美術館に常設展示されており、作品1つあたりのサイズは、縦9m、横15mという大きなもの。
アレコホールは「アレコ」を設置するために作られた部屋なのですが、世界的に見ても、かなり大きい展示スペースだといわれています。
2017年には、アメリカに収蔵されている残り1作品も展示され、期間限定ですべての作品が青森県立美術館に集まりました。
全ての作品が一度にみられる貴重な機会。作品の持つ圧倒的な雰囲気を感じることができるものとなりました。
青森県立美術館のシンボルといえるようなコレクションは他にもあります。
それは青森県出身の現代美術家である奈良美智氏の作品「あおもり犬」です。
この立体作品は一見可愛らしい外観ながらも、高さが8.5mあり、大迫力!三内丸山遺跡の地中から出てきた犬を表現しているそう。
こちらは屋外のスペースに展示しています。
さらに、2016年に開館10周年を迎えた際には、八角堂に奈良美智氏の新作「Miss Forest / 森の子」が設置されました。
こちらも常設展示で楽しめるので、美術館を訪れる度に会える、嬉しい存在です。
館内にも奈良美智氏の展示室があり、絵画など30点以上の作品を常時紹介しています。
若い年代の方々を中心に人気の高い奈良氏の作品。興味のある方は必見ですね!
同じく、青森県生まれの20世紀を代表する版画家、棟方志功氏の常設展示も有名。
彼の木版画だけでなく油絵などの肉筆画も展示されており、常時20点以上を鑑賞することができます。
アートに親しもう|「アートカード」とは?
青森県立美術館では展覧会以外にも、アートの魅力を味わうためのさまざまな取り組みを行っています。
その中の1つが「青森県立美術館アートカード」。
これは、青森県にゆかりのある奈良美智氏、棟方志功氏、斎藤義重氏の作品のほか、近隣にある三内丸山遺跡出土の文化財50点の情報をハガキ大のカードにしたもの。
カードには、作品の名前、作者、制作年、技法や材質が記されており、作品について学べると同時にゲームをして遊ぶことも可能となっています。
作品鑑賞のための補助アイテムとして、学校や教育機関等に貸し出ししているそう。
また、美術館オリジナルの「鑑賞手帳」もつくられており、展覧会の感想などを書き込む記入ページ、鑑賞の手助けとなる情報も掲載されています。
こちらは美術館が開催する催しに参加する等してもらえます。
青森県産の食材を使った料理を楽しむ
青森県立美術館にあるカフェ「4匹の猫」は開放的な雰囲気で、展覧会鑑賞後に一休みするのにぴったりの場所。
こちらは美術館の利用者以外の方も使うことができます。
カフェからは、先程ご紹介した八角堂が見えるのも嬉しい!
地元青森県産の食材を使ったメニューを頂けます。
カフェにあるメニューブックは、なんと画家・山内文夫氏が手掛けた絵本仕立てになっています。
お料理やデザートをあれこれ悩む時間まで楽しめそうですね。
また、美術館のオリジナルグッズや美術関連書籍などを揃えたミュージアムショップもあります。
コレクションの中でも有名な「あおもり犬」の貯金箱やポストカードも販売しているそう。
まとめ
青森県にある有名なアートスポット・青森県立美術館は、全国各地から訪れる人が多い美術館の1つ。
世界的に有名なアーティスト、奈良美智氏の作品も充実しています。
現代アートに興味をお持ちの方でしたら、ぜひ一度は足を運んでみても良いかもしれませんね。
※休業日や営業時間、その他の掲載情報については変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、最新の情報については施設・店舗へお問い合わせください。
アクセス
美術館名 | 青森県立美術館 |
住所 | 青森県青森市安田近野185 |
電話番号 | 017-783-3000 |
ホームページ | https://www.aomori-museum.jp/ |