水玉模様の面白さや美しさについて伝える芸術家といえば「草間彌生(くさまやよい)」さんではないでしょうか。
インパクトのある外見もあり、知っている人も多いかもしれません。
実はとてもすごい方であり、日本のみならず世界で活躍していることでも知られています。
草間彌生さんとはどんな人物なのか、また水玉模様の有名作品についてもご紹介していきます。
意外と知らない、水玉の奥深さのようなものを実感してみるのも面白いかもしれません。
草間彌生さんとは?
日本を代表する芸術家でもありデザイナーとして活躍している草間彌生さん。
草間彌生さんは「前衛の女王」とまで呼ばれるようになり、かぼちゃの水玉模様を描いた作品で知られています。
絵画を描くのはもちろんのこと、コラージュや彫刻などの幅広い芸術分野に携わっているアーティストです。
1929年に、長野県松本市出身の草間さんは、種苗業を営む家に生まれ裕福な家庭で育ちました。
4人兄弟の末っ子でもあり、恵まれた生活ではありましたが統合失調症の病に悩まされる辛い幼少期を過ごしていました。
子供の頃から絵を描くことに強く興味を示し、家の近くなどでお花を描くなどスケッチして遊んでいたそうです。
草間さんが水玉を描くようになったのは、統合失調症による影響もあったようです。
実際に視界が水玉で覆われてしまうなど、ときには幻聴や幻覚などで悩むこともありました。
そんな症状に悩みながらも、家庭環境も不仲であったことから、十分な支えを得ることができない、幼少期を過ごします。
母親からの虐待にあい、放浪を繰り返す父親のなかで育ったこともあり、そのときの深い悲しみや苦しみなどの感情を強く覚えます。
この経験が水玉模様として、草間さんの作品を作り上げることになります。
水玉模様はあまりにも素敵なのでつい忘れてしまわれがちですが、幻覚や幻聴などの症状から身を守るために、ぎっしりと水玉を描いていたようです。
その後、京都にある美術工芸学校にて日本画を学ぶようになります。
ただ草間さんのなかでは日本画に対してのイメージが異なり、やりたい芸術とはあまりにもかけ離れていたことで失望を覚えることになります。
日本の伝統的な良さはありつつも、近代化している状態に気づいたのです。
23歳の若さで個展を開くも、日本の閉鎖感から逃げるように、27歳のときに渡米します。
草間彌生さんがニューヨークの生活で得たもの
思い切って草間彌生さんが渡米したことが、水玉模様の作品を作るきっかけにもなっています。
ニューヨークでの草間さんは「クサマ・ハプニング」と呼ばれる過激なパフォーマンスを行うなど、精力的に活躍しました。
例えば、全裸の女性や男性に水玉を描いた状態でヌードのまま屋外でデモ活動を行いました。
あまりに奇抜な行動の多さにアメリカでは強い人気を誇るまでになりましたが、日本では良い印象を持つ人のほうが少なくバッシングを受けるようになります。
過激なパフォーマンスに対して、見る人によって賛否両論がわかれるなか、自分の信念を貫き通し変えることはありませんでした。
そもそも草間さんがどうしてヌードのパフォーマンスを行ったのかというと、男女の差別をなくしたいという性差別に対して否定の気持ちがあったようです。
さらに、当時はベトナム戦争などもあったため、廃絶させたいという強い気持ちもありました。
こうした社会問題に対して、草間さんなりに取り組んだのが、パフォーマンスとして表現されていたのです。
最初は否定的な意見も多く見られましたが、次第に草間さんの考え方に賛同してくれる人も増え、受け入れられるようになっていきました。
常に訴え続けた彼女の強い意思が、人の心を動かしたといっても過言ではないのです。
ただし、ニューヨークの生活のなかでパートナーとして生活していたジョゼフ・コーネルが亡くなったことによって、精神的に体調を崩す日が続いてしまいます。
1980年代には草間さん自身の作品ともう一度向き合うようになり、今知られている水玉などの作品を次々に世に送り出すようになります。
1989年に、ニューヨークの国際現代美術センターにて「インフィニティ・ミラーズ」を開催し、世界中で高い評価を受けるまでになりました。
その後は「アート・イン・アメリカ」や「世界でもっとも影響力のある100人」などに選出されます。
デザイナーとしても、ルイ・ヴィトンとのコラボや、フェラガモなどのブランドにもデザインを提供するようになるなど、いかに注目されている人物なのかが伝わってくるのではないでしょうか。
日本でも、下着メーカーの「ウンナナクール」などとコラボするなどの目覚ましい活躍をしています。
個展も現在も開かれていますし、オリジナルのグッズの販売なども行っています。
草間彌生さんの世界観に興味を持った人は、ぜひ覗いてみても面白いかもしれません。
次々に革新的な作品を生み出しているのも特徴です。
作品にはどんなものがあるの?
草間彌生さんの作品の特徴として、「水玉」と「かぼちゃ」を使ったものがメインになります。
かぼちゃは90年代から使い始めたものになり、インフィニティ・ミラーズの展示に、発光するかぼちゃのオブジェが用いられたことにあります。
これが好評だったこともあり、かぼちゃを使ったアートを次々に考えるようになりました。
彼女は、かぼちゃがどれひとつとしても、同じ形をしているものが一つもないことを面白いと考えているようです。
愛嬌のある見た目であること、ボリューム感のあるどっしりとした形を気に入っているようです。
草間彌生さんならではの想いが詰まったのがかぼちゃというわけです。
草間彌生さんの世界を知りたい人向けの美術館もおすすめ
草間彌生美術館は東京都新宿区弁天町にあります。
2017年10月に開館したものになり、年に2回特別なコレクションを展覧会で行っています。
ただ作品を紹介するだけでなく、世界平和をテーマにしたものも多く、人間愛などの強いメッセージ性も感じます。
展示されているすべてが草間彌生さんの作品になりますし、絵画だけに限らず立体作品なども一緒に楽しめます。
世界的に活躍している草間彌生さんの作品をより身近に感じられるのも、この美術館ならではです。
もし興味を持って草間彌生さんについてもっと知りたいと思うのであれば、美術館に足を運んでみてもいいかもしれません。
また、青森県にある「十和田市現代美術館」では無料のオブジェを体験できます。
静岡県の「クレマチスの丘」では、明日咲く花として、多様多種な花と水玉のコラボレーションを楽しむこともできます。
日本各地に草間彌生さんの作品が展示されているため、探してみるのも面白いかもしれません。
どれも個性的でインパクトのあるものばかりです。
そのため、草間彌生さんの世界観を知ると、その水玉模様の作品の奥深さに興味を持つ人も多いのではないでしょうか。
まとめ
草間彌生さんの作品は、かぼちゃと水玉を使っている特徴的なデザインなこともあり、一度見たら忘れません。
カラフルなデザインではありますが、全体のバランスを考えつつ描くのも草間彌生さんならではです。
草間さんは現在も作品を生み出し続けていることもあり、かぼちゃの水玉グッズもたくさんあります。
人生に深みを与えてくれる草間彌生さんの作品はどれも味があり魅力的なものばかりです。