この記事では、美術や芸術を避けてしまう人の誤解を解いて、美術や芸術を気軽に楽しむ方法をお話しします。
美術や芸術は自分には関係がないと思い、避けてしまう人がいます。
しかし、そのほとんどは間違った思い込みによるものかもしれません。
美術や芸術は「見方を知らないといけない」と思っている
美術や芸術に触れるならば「見方を知らないといけない」と思っている人はとても多いのではないでしょうか。
見方を知らずに美術を語れば恥をかいてしまうと思っているのかもしれません。
実際に絵画の本には法則や構成について細かく書かれているものもあります。
本によっては絵画を細かく分割して部分ごとに解説していることもあります。
しかし、美術や芸術は見る人によって感想や感じ方が変わってもいいのです。
黄金比という言葉を知らなくても、パッと見て「落ち着く構図だな」と感じたのならば、十分に絵をみる目は持っています。
筆者は「最後の晩餐」を初めてみたとき「大きくて迫力のある作品」と感じました。
しかし、その後に解説本で「一点透視図法」や「消失点」という言葉を知ります。
するとそれまでに感じていた迫力は消え、絵をみると頭の中には中心から放射状に線が浮かんでくるようになってしまったのです。
見方にこだわることで素直な感想や見方が消えてしまったのでしょう。
美術や芸術の見方に正解はありません。
細かく分析することで見えなくなってしまうものもあります。
「見方を知らない」ということは引け目に感じることではなく、むしろ無垢な目で作品をみることができる状態なのです。
美術や芸術を「お金持ちの道楽」だと思っている
美術や芸術はお金持ちの道楽だと思っている人はじつはたくさんいます。
たしかに有り余るお金の使い道として美術品や芸術作品を買いあさる人もいるでしょう。
しかし美術や芸術は決してお金持ちの道楽ではありません。
例えば、生活費を切り詰めて作家物の漆器を買ったとします。
中に入れる食べ物や食べる場所は普段と変わりなくても、こだわって選んだ作品を使うだけで心が優雅になるのではないでしょうか。
たったひとつの作品でもみる人や使う人に感性があれば、それは道楽ではなく「どんな立場や環境にいてもその人の心を解き放つもの」になります。
美術や芸術は購入して手元に置く楽しみ方もありますが、美術館や百貨店の展示会でみる楽しみ方もあります。
美術館なら2,000円程度、百貨店なら1,000円以内でたくさんの作品に触れることができるのです。
美術や芸術を「お金持ちの道楽」だと思っている人は「購入する楽しみ」にだけ目が向いています。
「見て記憶に残す楽しみ」を知れば、きっと美術との距離は縮まるでしょう。
美術や芸術は「お金にならない」と思っている
「美術や芸術は稼げない。それどころかお金がかかるもの」と思っている人は意外とたくさんいます。
ゴッホは今でこそ有名になり天文学的な値段で作品が取引されていますが、生存中は全く売れない画家でした。
たしかに作品の価値が認められてお金になるようになるまでには長い時間がかかります。
長い時間をかけてでも有名になった人はいい方で、ほとんどの画家は日の目をみることなく終わるでしょう。
たしかに作品を売って儲けたいと思う人は「お金にならない」と思うかもしれません。
しかし本当に美術や芸術が好きな人は作品とお金を結びつけることはしません。
道楽で収集するのではなく、自分の目を信じて作品を買い集める「コレクター」は多少高い値段を提示されても簡単に作品を手放すことはしません。
お金以上の価値を作品に感じているからです。
作家も同じです。作品を作るときに「これは10万円くらいで売れるかな」と思いながら製作する人は少ないでしょう。
もしも、そう思いながら製作しているとすれば、それは作品ではなく商品です。
ただ、本当に作品を見る目がある人は知らず知らずのうちにお金を稼げることもあります。
最近は外出自粛の影響もあり、富裕層の一部はお金の使い道に頭を悩ませているようです。
そこで彼らは美術品や芸術作品の購入に興味を持ち始めています。
作品によっては1年で倍以上の値段に跳ね上がっているものもあります。
コレクターは資産運用目的で美術品を購入したつもりはないでしょう。
しかし美術品や芸術品の値段は需要と供給で変動します。
「気に入ったから」「好きだから」という素直な気持ちに耳を傾けて集めた作品が途方もないお金になることもあるのです。
まとめ
今回は、美術や芸術を避けてしまう人の3つの特徴をご紹介しました。
美術や芸術は贅沢な世界ではありません。
庶民の生活の中から生まれた作品もたくさんあります。
絵画をみて「昔より現代の方がいいね」や「なんでこんなに怖い絵を描いたのかな」という素直な感想で楽しめばいいのではないでしょうか。
そしていつか心に響く作品と出会うことができればとても幸せなことです。
思い込みや誤解で美術や芸術に触れる機会を逃してしまうことは、とてももったいないことではないでしょうか。