自宅のリビングや職場の共用スペースなどに観葉植物を飾っていると、いつの間にか伸びすぎていることがあります。
枝や葉が茂って通行の邪魔になる場合は、不要な部分を剪定しましょう。
この記事では、以下のような疑問にお応えします。
- 観葉植物の伸びすぎの原因とは?
- 観葉植物はどこをどう剪定すればいい?
- 室内でも育てやすい観葉植物はある?
観葉植物の剪定で悩んでいる人に向けて、役立つ内容をまとめました。
生長が遅く育てやすい植物も紹介しますので、これから購入する予定があれば参考にしてください。
観葉植物の伸びすぎの原因とは?
観葉植物の伸びすぎの原因は日照不足と風通しの悪さです。
光合成には日光が必要となるため、日当たりの悪い環境では茎や枝が明るい場所に届くよう生長します。しかし栄養分が足りていないためヒョロヒョロと長くなり、全体のバランスが崩れてしまうのです。
風通しが良くない場所でも同様に観葉植物が伸びやすいため、置き場所には気を配りましょう。
観葉植物の伸びすぎ基準は人それぞれですが、植物を置いているスペースが狭く感じられるほど生長したら剪定すべきです。葉や茎が伸びて周囲の空間にはみ出したり、見た目が崩れたりしているなら確実に伸びすぎているといえます。
観葉植物が伸びすぎた場合の剪定方法
観葉植物を剪定する際の手順は以下の通りです。
- 剪定に使う道具をそろえる
- 剪定後の完成イメージを決める
- 生長点のやや上にある不要な枝葉をカットする
- 剪定後に植物を手入れする
それぞれについて説明しますので、事前に把握しておくと役立つでしょう。
1. 剪定に使う道具をそろえる
まずは植物の剪定に使用する道具を用意します。
【植物の剪定に使う道具】
- ハサミ(剪定用・園芸用・花切用など)
- 手袋
- ゴミ袋
- 新聞紙やシート
市販の紙切りバサミでは厚みのある枝や茎をうまく切れず、ケガをする危険があるため避けてください。ハサミを使用する前に刃先を熱湯やアルコールで消毒し、植物に雑菌が付着しないようにします。
室内で剪定する場合は、植木鉢の周囲に敷く新聞紙やシートなどを用意しておくとゴミが散らばりません。
2. 剪定後の完成イメージを決める
適当に茎や枝葉をカットすると、切り過ぎてスカスカになることも想定されます。
ハサミを入れる前に剪定後の完成イメージを決めると、思い通りの形に仕上がるでしょう。
- 観葉植物の樹高をどのくらいにするか
- 葉の密度をどのくらいにするか
- どのようなフォルムにしたいか
剪定したら元に戻せないため、ハサミを入れる前にイメージを固めておくことを推奨します。
3. 生長点のやや上にある不要な枝葉をカットする
生長点とは、幹や枝にあるわずかな膨らみのことです。
見分けがつかない場合は触って確かめるとわかりやすいかもしれません。
生長点では細胞分裂が活発に行われており、そこから新芽が生えてきます。剪定する際は生長点の下ではなく少し上の部分をカットしましょう。下側を切ると植物の生長が遅くなる可能性があります。
「不要な枝葉」とは、以下のような部分です。
平行枝 | 同じ方向に向かって平行に伸びる枝 |
交差枝 | 十字型に交差している枝 |
立ち枝 | 横に伸びる太い枝に対して、上に向かって伸びる枝 |
逆さ枝 | 下(地面)に向かって伸びる枝 |
絡み枝 | 太い枝に絡みつく形で伸びる枝 |
腹切り枝 | 中心の太い幹に向かって伸びる枝 |
空中に向かって斜めに伸びる枝を残すと、自然な樹形に仕上がりやすくなります。枯れた枝葉があれば同時に取り除いてください。
4. 剪定後に植物を手入れする
剪定後の植物は病害虫の被害を受けやすいため、きちんとケアする必要があります。
ここではお手入れ方法について解説しましょう。
太い切り口に癒合剤(ゆごうざい)を塗る
細い枝ならそのままでも大丈夫ですが、太い枝を剪定した後には癒合剤を塗って切り口をカバーします。湿度の高い梅雨の時期には必須のアイテムです。
癒合剤を塗ることで殺菌とコーティングができ、植物が回復するまでの時間を短縮する効果も期待できます。
水と肥料を与える
剪定した直後の観葉植物は新芽を出すためにエネルギーを消耗するので、水と肥料を与えます。多すぎると根腐れを起こすため、ほどほどの量を意識しましょう。
液体肥料であれば水分の代わりにもなるのでおすすめです。
伸びすぎた観葉植物を剪定する目的
観葉植物を剪定する目的は3つあります。
ここではそれぞれについて説明しますので、目を通してみてください。
1. 全体の形を整えて見栄えを良くする
観葉植物は同じ種類であっても生育環境によって生長が異なります。枝葉を伸ばしっ放しにすると全体のバランスが崩れてしまい、部屋の景観を損ねる原因になるかもしれません。
人間にたとえると、髪の毛を切らずに放置しているのと同じ状態です。
インテリアの一部として観葉植物を置いている場合は、見た目も大事な要素になります。枝葉を美しく整えることで無駄なスペースを取らなくなり、一石二鳥です。
2. 植物が生長しやすい環境を整える
植物の株には新旧の枝葉が混在して生えており、古い枝葉は切り落とす必要があります。
枝葉が増えすぎると花や実に送られる栄養が乏しくなり、見た目にも影響します。そのため不要な部分をなくして新芽に多くの栄養が行き渡るように調整しなければなりません。
植物の健康状態を良好に保つためにも、剪定は必須の作業なのです。
3. 病気や害虫を防ぐ
病気のウイルスや害虫はジメジメした環境を好む傾向にあるので、枝葉を剪定して風通しを良く保つ必要があります。
観葉植物が生長して葉が茂ると、株の内側に湿気がこもって空気の循環が悪くなります。
適度に枝葉を間引いておくことで植物が大きくなりやすく、また病害虫の被害が発生した際にも周囲に広がりにくくなるでしょう。
観葉植物を剪定する際のポイント
剪定をすることで植物が元気に育つとはいえ、剪定時期や置き場所に気を付けないと失敗する可能性があります。
そこで3つのポイントを紹介しますので、観葉植物を剪定する前にチェックしてください。
1. 剪定する時期は春から夏がベスト
観葉植物の種類にもよりますが、植物の生長が活発になる春から夏にかけて剪定するのがおすすめです。
時期としては5月~7月が最適でしょう。なるべく晴れの日を選び、切り口が傷みやすい梅雨の時期は避けてください。
2. 剪定後の置き場所に気を付ける
剪定後の観葉植物は直射日光に当てず、半日陰の場所に移動させてください。
植物に日差しは必要とはいえ、外に出すと強い光でダメージを受ける可能性があります。
20℃~25℃くらいの場所に植木鉢を置くとちょうどよいでしょう。
3. 剪定後に害虫がつかないようにする
剪定直後に出てくる新芽は柔らかく、アブラムシ・ナメクジなどに狙われやすいため注意が必要です。害虫除けのスプレーを散布しておくと食害を防ぎやすくなります。
なるべく植木鉢を表に出さず、日当たりの良い窓際に置いておくといいかもしれません。
室内でも育てやすいおすすめの観葉植物
観葉植物を室内で育てる際は、生長が遅いものを選ぶと剪定の手間が少なくなります。
以下では3つの観葉植物を紹介しますので、これから購入する予定があれば参考にしてください。
ガジュマル
太く独特な形の幹が特徴の観葉植物です。春から秋にかけてしっかりと日光に当てると丈夫な株になります。寒さに弱く、5℃以下の環境で育てると葉が落ちてしまうため注意しましょう。
ザミオクルカス
多肉性ゆえに乾燥に強く、ひんぱんに水やりしなくても枯れる心配はありません。
直射日光で葉が焼けやすいため、半日陰になる場所で育ててください。レースのカーテン越しに日が当たる空間に鉢を置くのがおすすめです。
ポニーテール
その名の通り、馬の尻尾に似た見た目をしています。たっぷりの日差しを好む植物なので、季節問わず日光に当ててください。
生育期にあたる4月~10月は水を多めにやりますが、11月~4月にかけては土が乾燥した数日後に水やりすれば十分です。
観葉植物が伸びすぎた場合の処分方法
自分で手に負えないほど観葉植物が生長した場合は、手放すのも選択肢の1つです。
ここでは観葉植物を処分する方法を解説します。
植木屋・ホームセンターに引き取ってもらう
観葉植物が伸びすぎた場合、植木屋やホームセンターなどで引き取ってもらえる可能性があります。生育状態が良好であれば値段がつくかもしれません。
「植物をゴミとして処分するのはかわいそう」という人は、ぜひ問い合わせてみてください。
植木買い取り業者に引き取ってもらう
有料でもいいから観葉植物を引き取ってほしい場合は、植木買い取り業者に依頼してみてはいかがでしょうか。ただし必ずしも引き取ってもらえるとは限らない点に注意が必要です。
依頼する前に口コミを調べるのも良いかもしれません。
まとめ:観葉植物が伸びすぎた場合は剪定しよう
観葉植物はいつの間にか生長するため、日頃から様子を観察して不要な枝葉を剪定するときれいに伸びます。
剪定の方法やポイントなどはこの記事で解説しているので、参考にしてください。とくに剪定時期は重要なため、春から夏の間に済ませることを推奨します。
最初から伸びすぎない観葉植物を購入すれば、剪定の手間はそれほどかかりません。生長しすぎて手に負えなくなってしまったら、植木屋やホームセンターなどに引き取ってもらうのが有効な手段です。
今回紹介した植物は一部ですので、興味がある人は調べてみるといいでしょう。