ゴッホは後期印象派の画家として知られる人物です。
日本では「ひまわりの画家」というイメージが強いかもしれません。
今でこそ作品が評価されていますが、皮肉にも生前はほぼ無名の画家だったのです。
兄を献身的に支えた弟のテオ、そして彼の家族がいたからこそゴッホは有名になれたといっても過言ではありません。
この記事では、ゴッホ美術館について解説します。
これからオランダへ旅行に行く予定があれば、ぜひ参考にしてください。
ゴッホ美術館の歴史・成り立ち
ゴッホ美術館が設立されたのは1973年のことです。
まずはミュージアムが誕生するまでの歩みを解説します。
画家・ゴッホが誕生するまで
フィンセント・ファン・ゴッホは1853年にオランダで生まれました。
幼少期のゴッホに関する記録によると、絵よりも語学が得意だったようです。
16歳で中等学校を退学したのち、叔父の伝手をたどってグーピル商会に就職しました。
これでひと安心と思いきや、仕事は長続きしなかったのです。次第に勤務態度が不良になり、1876年にはグーピル商会から解雇を言い渡されました。
その後は教職の補助・書店員・キリスト教の伝道師など、職を転々とする日々を送ります。
転機が訪れたのは27歳のときでした。
ゴッホはたびたび弟のテオに宛てて手紙を書き、ときおりスケッチを同封していたそうです。その絵を見たテオは「画家になったらどうか」と助言しました。
こうして画家・ゴッホが誕生したのです。
ゴッホ美術館が設立されるまで
ゴッホの作品が評価されたのは死後で、生前はほぼ無名のままでした。
両親は息子が画家になることを快く思わず、安定した職業に就いてほしいと考えていたようです。彼らの不安は的中しており、ゴッホはテオの援助なくして生活できませんでした。
ゴッホは南フランスのアルルに画家の理想郷を作ろうとしましたが、上手くいきませんでした。唯一の共同生活者だったゴーギャンとの関係も破綻し、片方の耳を切り落とすという衝撃的な事件を起こしています。
徐々に心を病んだゴッホは、精神病院での療養生活を余儀なくされました。病状は一進一退を繰り返し、不安定な状態で絵を描き続けます。
おそらく絵画と向き合っている間は安らぎに満ちていたのでしょう。
ゴッホが亡くなったのは1890年、死因は自殺といわれています。兄が亡くなった半年後、テオも後を追うように息を引き取りました。
ゴッホの作品はテオの妻と息子が管理していましたが、1930年にアムステルダム市立美術館に展示されます。それからおよそ30年後にはフィンセント・ファン・ゴッホ財団が設立され、作品は国家へ譲渡されました。
1973年にはゲリット・リートフェルトによって設計された美術館が開館し、誰もがゴッホの作品を鑑賞できるようになったのです。
ゴッホ美術館の3つの特徴
続いてはゴッホ美術館の特徴について解説します。
事前に知っておくと、現地を訪れた際に鑑賞しやすくなるかもしれません。
1. ゴッホの生涯を通じて作品を理解できる
ゴッホ美術館では年代順に作品が展示されているため、ゴッホに詳しくない人でも理解できるよう工夫されています。
本館のフロアは0階~3階まであり、こちらに主要な作品があります。
絵画だけでなく書簡や制作道具なども見学できますよ。ゴッホの筆跡やパレットなど、ここでしか見られない展示をお見逃しなく。
日本語版のフロアマップがありますので、ダウンロードしておくと役に立つのではないでしょうか。
2. ゴッホの主要な作品がそろっている
繰り返しになりますが、ゴッホの作品は生前にほとんど売れませんでした。
画家にとっては不幸でしたが、後世の人々にとっては幸いだったといえるでしょう。人気画家でなかったために、作品があちこちに散らばらずに済んだのです。
以下ではゴッホ美術館にある作品の一部を紹介します。
ひまわり
ゴッホの代名詞となっている1枚です。ちなみに日本のSOMPO美術館にも同じモチーフの作品がありますので、ご興味があれば訪れてみてください。
独特の厚塗りと鮮やかな色彩が印象的ですね。教科書で目にした人も多いでしょう。
ジャガイモを食べる人々
ゴッホが初期に制作した絵画で、暗い色彩が用いられています。当時の農民の食事風景を再現しており、登場人物たちが食べているのはジャガイモです。
当時のジャガイモは貧しい農民たちの主食でした。
黄色い家
南仏のプロヴァンスを舞台にした作品で、ゴッホがゴーギャンと共同で借りていたアトリエが描かれています。彼らの生活は2か月で終焉を迎えました。
花咲くアーモンドの木の枝
ゴッホが精神病院に入院していた頃の作品です。水色の背景に白いアーモンドの花が散りばめられており、グッズの図柄にも使われています。
3. その他の作品も充実している
浮世絵コレクターだったゴッホは、日本の版画からインスピレーションを得ていました。
たとえば《雨の大橋》や《名所江戸百景 亀戸梅屋敷》を模写し、構図を作品に取り入れています。
ゴッホが収集した版画は美術館のコレクションとして公開されており、彼のこだわりぶりが伺えるでしょう。
またゴッホとテオの良き理解者だったアンドリース・ボンガーのコレクションも見どころです。おもにオディロン・ルドンやエミール・ベルナールの作品で構成されています。
時間があれば鑑賞してみてください。
ミュージアムショップ・カフェ
ゴッホ美術館には、ここでしか手に入らないグッズがそろっています。
館内を見て回ったら、お土産を買ってカフェでくつろぎの時間をお過ごしください。
ミュージアムショップ
美術館のショップはチケットがないと利用できませんが、スクエアショップは誰でも入場できます。
《ひまわり》や《花咲くアーモンドの木の枝》など、とくに人気の作品は関連グッズが多数販売されています。
➡オンラインショップはこちら
おすすめのお土産
- マグカップ
- ポストカード
- メモ帳
- おもちゃ
- 公式図録(日本語版あり)
オランダ旅行の記念に、お気に入りのお土産を探してみてください。
ミュージアムカフェ
館内の0階に「ル・タンブラン」というカフェテリアがあります。
好きな物を好きなだけ取れるスタイルになっており、軽食やスイーツなどがメインですね。
実際に利用した人によると、座席数は多めでお客の回転率は早いそうです。
ゴッホ美術館はそれほど広くないとはいえ、ゆっくり回ると疲れます。
適度に休憩を挟みつつ鑑賞しましょう。
ゴッホの人生を間近に感じられる美術館
ゴッホ美術館はアムステルダム国立美術館の近くにあります。いずれもオランダで人気の観光スポットですので、あわせて訪れてみてはいかがでしょうか。
ゴッホ美術館の所要時間は1時間半~2時間半ほどで、日時指定制です。当日券もありますが、できれば予約しておくと確実に見学できます。
ゴッホの作品は日本人にとってなじみ深く、美術に詳しくなくても楽しめるでしょう。有料のオーディオガイドを借りると、作品の解説を聴きながら見て回れます。
※休業日や営業時間、その他の掲載情報については変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、最新の情報については施設・店舗へお問い合わせください。