この記事では、奇跡の数を誇る日本の国宝についてご紹介いたします。
日本の国指定文化財に指定されているものだけでも、なんと1,132件(令和5年文化庁発表)あります。
それも年数が経過すると増えていっているのが実際です。
さらに日本の重要文化財は、国宝を含めると、実に13,377件もあります。
文化庁ホームページ:文化財指定等の件数
日本の奇跡、国宝の宝庫|法隆寺
国宝の宝庫といって真っ先に思い浮かべるのが奈良の法隆寺。
法隆寺は世界最古の木造建築が伝わるお寺です。
用明天皇の遺志を継いで寺院を建立したのは、飛鳥時代に活躍した聖徳太子と推古天皇です。
それから1400年の時を経て、境内には奇跡的ともいうべき歴史的な建物や仏像が、見事に破壊されぬままで残っています。
聖徳太子は冠位十二階や十七条憲法などの制度を整えただけでなく、仏教の真理を深く追究、日本の文化的基盤を築き上げました。
法隆寺内には、まるで仏の国の宮殿かと思える「玉虫厨子」があり、内部の壁に4,468体の小仏が打ち出されているなど、仏教美術の華麗さを今に伝えています。
また、法隆寺は、百済観音や、釈迦三尊像、救世観音、聖徳太子座像、四天王立像、五重塔、九面観音など他にも芸術品が多くあり、正に国宝級の宝庫となっています。
夢殿は、聖徳太子が籠ってしばしば夢告を受け、それを政治に反映させていたと伝わる場所です。
日本の国宝の中で、最も大きなお堂をもつ建造物は?
奈良時代の743年、聖武天皇によって「大仏造立の詔」が発せられ、9年後の752年、念願の東大寺大仏殿(金堂)ができました。
幅、約58m、奥行き約50m、高さ約49mもあり、国宝のお寺の中で、最も大きな建造物になっています。
この大仏殿は、像高約15mの巨大な大仏を安置するためのスケールの最も大きなお堂です。
ちなみに奈良時代の東大寺には、大仏殿の他にも東西に二基の七重の塔があって(現代はその基壇のみが残る)、推定70mの塔が、天高くそびえたっていたそうです。
この大仏殿は、過去に2度ほど焼失の憂き目にあっています。
一度目は、平安末の平重衡による南部焼き討ち、二度目は戦国時代の戦火で焼け落ちました。
ところが、二度の再建は、もっぱら民間の寄進によって実現したというのですから、東大寺大仏への信仰の深さが伺えますね!
日本の国宝の中で、最も大きい彫刻の仏像はどれ?
仏像には大きなものから小さなものまでサイズも様々ですが、最も大きい仏像は1位は「奈良の大仏」 像高14.98m 重さ約250トン、2位は「鎌倉の大仏」 像高11.38m 重さ約122トンです。
一方、最も小さな大仏は、京と仁和寺の「薬師如来坐像」で、像高10.7cmであり、台座や光背を入れても24cmという小ささです。
ちなみに、ブッダの身長は、一尺六寸、つまり約480cmとされていますから、実に偉大です。
日本の国宝の中で、かっこいい仏像を勝手にピックアップ!
奈良・興福寺の「阿修羅像」
この仏像はとても人気があります。
奈良時代734年建立した興福寺の西金堂に、八部衆の一体として安置されていたもの。
三面の顔があり、それぞれの表情がクールだったり、唇をかみしめていたりなど、親近感がわきますよね。
京都・東寺の「帝釈天騎象像」
右手に伐折羅という武器を持ち、左手は腰に当て白象の上に座って左足は踏み下ろすような姿です。
若々しく凛々しい表情は、仏像界一のイケメンで有名です。
この作品は、名作の誉れが高く、多くの人々を魅了し続けています。
京都・広隆寺の「弥勒菩薩半跏思惟像」
この仏像は、国宝指定番号「0001」であることから、国宝1号の仏像として広く知られています。
広隆寺にある二体の国宝・弥勒菩薩像のうちの一体ですが、京都最古の仏像として、今も人気が高いです。
和歌山・金剛峯寺の「制多伽童子像」
鎌倉時代に行勝という僧と複数の仏師により建立されたとされる八大童子像の一体。
左手に伐折羅、右手に金剛棒を持ち、肌は赤色、髪を五つに分け束ねていて不動明王の役割をしているらしいけれど、むしろ知的な印象があり、カッコいい髪型と言う人も。
奈良・中宮寺の「菩薩半跏像」
この像を祭る中宮寺は、聖徳太子ゆかりの古寺として知られています。
左足を踏み上げ右足を膝の上に置き半跏の姿勢です。
右手を曲げてその指先が頬に触れんばかりの優美さで、東洋美術における「考える像」とも言われています。
大阪・観心寺の「如意輪観音座像」
観心寺の歴史は古く、701年、修験道の祖、役小角によって創建。
本像は腕が六本ある六腎の姿であり、手には如意輪観音の功徳を示す如意宝珠を持っています。
独特の輪王座で表現されていて、その表情がなんとも色っぽいです。
福島・勝常寺の「薬師如来像」
東北を代表する平安初期の彫像として知られます。
両腕を袈裟の下に通す「通肩」というスタイルが特徴。
圧倒的な迫力と充実感があり、とにかく、どっしり!
日本の国宝である美術工芸品も見てみよう
美術工芸品は、時代を超えて見る人の心を響かせています。
彫刻もそうですが、幅広く仏画や絵巻物などもの絵画や経典、技術ある工芸品など深い味わいの日本の国宝美術もあります。
高山寺の「鳥獣人物戯画」
この画は、4巻からなり、甲巻、乙巻、丙巻、丁巻と呼ばれていて、いずれも墨だけで描かれている絵巻物です。
まるで現代のアニメーションのようなコミカルさと、ストーリー性が見事!遊び心に溢れています。
普段自分たちが見かける動物以外も登場しますし、擬人化した蛙や兎も描かれています。
動物たちの遊戯を躍動感と共にいきいきと表現していて、やや滑稽さも。
神護寺の「伝源頼朝像」
伝源頼朝像は、後白河法皇が亡くなられた後、神護寺内、仙洞院の室内に掛けられていた絵画の一つとされています。
これは、鎌倉幕府を開いた源頼朝の肖像画であるとのこと。
諸説あるのですが、鎌倉時代前期の大和絵肖像画の傑作品なのだそう。
建仁寺の「風神雷神図」
建仁寺の「風神雷神図屏風」は、江戸時代初期の画家である俵屋宗達が描いたものです。
雷神はそのままの姿なのですが、風神は大きな風邪袋を持っていて二神とも屏風一双の両端の上部,隅の方に描かれ、地には金箔が貼られ余白があることから、黄金に輝く天空に風神と雷神が軽やかに浮かぶようなイメージです。
善通寺の「一字一仏法華経序品」
弘法大師空海が開いた三大霊場の一つとされる真言宗善通寺派の総本山善通寺。
「一字一仏法華経序品」は、その宝物館に保存されています。
当時の経典は現在のように簡単に複製することができなかったことから、一つづつ書き写していたのですが、平安時代には書き写すにあたり、装飾を施していました。
なかでもこの「一字一仏法華経序品」は、とても珍しいのです!
法華経の一文字に対して仏像が一体づつ描かれているのが特徴で、見るからに美しい~。
まとめ
今回は、奇跡の数を誇る日本の国宝についてご紹介しました。
一部しか紹介できなかったものの、どんなに危機的な状況下においても多くの僧侶や民衆の手で文化財は守られてきたのですから、まさに奇跡そのものですね。