池袋の中心部から少し離れた場所にある「豊島区立熊谷守一美術館」を知っていますか。
個人美術館になり熊谷守一さんの作品を展示している場所です。
知る人ぞ知る芸術家のかたなのですが、とても魅力的な作品を数多く残しています。
豊島区立熊谷守一美術館の熊谷さんとはどのような人なのか、楽しみ方の魅力についても紹介していきたいと思います。
新しいジャンルに興味を持つきっかけになるのではないでしょうか。
豊島区立熊谷守一美術館の歴史、成り立ち
豊島区立熊谷守一美術館は、熊谷さんの親族の方が館長を務めるなど家族で代々守っています。
もともと、明治維新の10年後に木曽の片田舎に生まれました。
もともと父親は、岐阜の初代市長を務めていたこと、家業として製糸工場を営むなどとても裕福な家庭で育ちました。
中学3年生のときに、東京美術学校の西洋の選科に父親の反対を押し切って入学します。
22歳になったときに父親が亡くなったこと、実家が破産するなどの大きな挫折を味わいます。
熊谷さんはもともと、いい絵を描いて褒められたり有名になりたいとも思っていなかったのだとか。
実際にたまに描いた絵が売れることもなく、千駄木や東中野などの借家を転々としながら友人に支えられて生活していました。
豊島区に引越しをしてから絵が売れだしたことで、なんとか家族を支えられるまでになったそうです。
戦時中はできるだけ目立たないように生き続け、お金儲けなどは一切考えていなかったそうです。
戦争画を描くこともなく、写生旅行に行っても、道端に咲いている草や花などを描き続けました。
身の回りにあるもののなかで、描きたいと思ったときだけ筆をとっていたそうです。
勲章の話もあったが断ったなどとても無欲な人でした。
絵を見ると、熊谷さんの人間性や素晴らしさを感じられるのではないでしょうか。
今の私達に訴えかけるものがありますね。
豊島区立熊谷守一美術館の特徴
豊島区立熊谷守一美術館の特徴について紹介します。
熊谷守一さんの作品を存分に楽しめる
熊谷さんの作品は、主に油絵で描いたものです。
色彩がはっきりとしているものになり、インパクトのあるものを多く見かけます。
いずれも大きなものはなく4号Fの小さなものがメインになります。
当初の作品は、アカデミックではなく暗い色調を好んで描きました。
30代に入り岐阜に帰省してからは、しばらく絵を描くことがなかったそうです。
その後、再度上京してからまた徐々に絵を描き始めます。
戦争を経験したことで一時は絵を描くどころではなくなってしまいますが、徐々に熊谷さんならではの作品の特徴が色濃くなりました。
次第に明るい色を描くようになり、晩年は自宅の庭先に咲く花や蝶などを描くなどをして過ごしていました。
抽象画のように見えますが、とても個体の動きなどを細部まで見て描いたものなのもあり、まさに油絵の天才ともいえる人物です。
ただ本人が目立たないようにしてきたことで、そこまで名前が知られていませんが、とても才能に溢れた人物だったのがわかると思います。
多彩な油絵を残しています。
記念展なども見逃さないようにしよう
熊谷さんの特別記念展などもタイミングがあえば、ぜひ参加してみてください。
ちょうど2021年が美術館の36周年記念だったこともあり、特別な企画展を行いました。
2ヶ月程度の短い期間にはなりますが、このタイミングしか楽しめない作品もあるため、熊谷さんファンならずとも足を運びたくなる企画展です。
この記念展がきっかけで熊谷さんを知っても遅くないのです。
もともと美術館の場所は、1977年に亡くなるまで45年間生活していたアトリエと庭があった場所に作られています。
もともとは私設美術館として誕生し、2007年には豊島区立になりました。
毎年開館記念日として5月28日は、特別記念展を開催しています。
他の美術館より作品を借りて展示するなど、とても貴重なものです。
普段、なかなか見られない作品が飾られることもあり、より奥深い魅力を実感できると思います。
事前にお借りする作品などの一覧も確認できるので、ある程度イメージできるのもいいですね。
熊谷さんの描いた裸婦画などもあるのですが、ちょうどいい描写であること、いやらしさのようなものも感じにくく描かれています。
でも仕草なども含めよく観察して描いたものであるのが伝わってくる作品です。
どの作品も熊谷さんらしさを感じます。
館長のQ&Aもぜひ読んで欲しい!
豊島区立熊谷守一美術館の館長を勤めている、次女の榧さんに質疑応答をしたQ&Aがあります。
熊谷さん自身が謎多き人物だったこともあり、知らないこともたくさんありますよね。
絵を通して興味を持っても、資料といえるものが少ないのですが、実際にプライベートなことも答えてくれているので、とても興味深く読めると思います。
例えば、熊谷さんの作品はどのぐらい残っていると思いますか。
2004年に求龍堂で作品集が出てからも、その後に掲載されていない油絵なども見つかっています。
おおよそ1200点にもなる油絵が残っていたそうです。
他にも墨なども描いていましたが、具体的な数はわかっていないそうです。
実際に美術館で保管しているのは30点ほどになるそうです。
館長だからこそ知っている熊谷さんの一面なども垣間見られますので、ぜひ読んでみてください。
いかにたくさんの人に才能を認められていたのか、周りから人が途絶えなかったのかがわかると思います。
併設レストラン、カフェ、グッズ
豊島区立熊谷守一美術館に「カフェ・カヤ」があります。
美術館のなかに併設されており、美術館の利用がなくてもカフェは使えます。
とても落ち着いた雰囲気のカフェになり、彫刻や焼き物などの作品のなかに囲まれた空間で美味しいお茶が楽しめます。
ケーキもありますが季節限定になること、数量も少ないので売り切れてしまうこともあります。
紅茶やコーヒーなどもあるので、ゆったりとした時間をすごしたい人にも最適です。
しかも値段も手頃なので、何度でも訪れたくなります。
席数も少ないので混雑するときだと、なかなか入れないこともあるかもしれません。
美術館の鑑賞後におすすめしたい人気の隠れ家的なカフェです。
なかにはちょっとしたお土産が購入できるスペースもあり、ポストカードなど自分用にも購入できるものもあります。
豊島区立熊谷守一美術館に来た記念として購入してみてはいかがでしょうか。
まとめ
豊島区立熊谷守一美術館は、熊谷さんの魅力を存分に感じられる美術館です。
外観も打ちっぱなしならではの雰囲気もありますし、なかに入ると色とりどりの作品が出迎えてくれます。
熊谷さんの作品はどれも素晴らしいものですし、企画展も含め足を運びたくなります。
画と線の捉え方がとにかく絶妙で、本当に絵が好きな方なのだなというのも伝わってきます。
書や墨なども素晴らしい作品ばかりなので、じっくりと楽しんでくださいね。
※休業日や営業時間、その他の掲載情報については変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、最新の情報については施設・店舗へお問い合わせください。
アクセス
美術館には専用の駐車場などがありません。
有楽町線や副都心線などの「要町駅」より徒歩9分の住宅街のなかにあります。
もしくは「千川駅」から徒歩9分ほどの場所になります。
他にも国債興行バスの「要小学校」を降りて5分ほどの場所にあります。
公共の交通機関を使うことになりますが、比較的アクセスの良さもあり、そこまで心配しなくても問題なくいけると思います。
美術館名 | 豊島区立熊谷守一美術館 |
住所 | 東京都豊島区千早2丁目26−6 |
電話番号 | 03-3957-3779 |
ホームページ | http://kumagai-morikazu.jp/ |