絵画のなかでも「風景画」が好きな人は多いのではないでしょうか。
時代によっても描く画家によっても全く違う印象にもなります。
行ったことのない場所でも「こんなに素敵なところがあるのかな」と興味を持つきっかけにもなりますね。
風景画のなかでも、特に有名な作品に絞って10点紹介していきたいと思います。
同じような場所でも、描く画家によってタッチが異なるのも面白いところです。
風景画が好きな人にとっても興味深い作品ばかりですので、参考にしてみてくだいね。
クロード・モネの「印象・日の出」
風景画のなかでも、最も重要な意味を持つ作品として知られています。
クロード・モネといえば風景画をたくさん描いたことでも知られる画家です。
この印象・日の出が印象派の名前の由来になるなど、のちの芸術の世界に影響を与えたことでも有名です。
この作品は、ル・アーヴルの部屋の中から見た景色を描いたものです。
薄暗い絵のなかに、赤い太陽が描かれたとてもシンプルな作品です。
よく見るとそそり立つマストが見えます。
モネはもともと戸外作品に注力したことでも知られ、日光や光の反射を受ける印象派ならではの技法を使って描いています。
クロード・モネには他にも「睡蓮」なども有名です。
フィンセント・ファン・ゴッホの「星月夜」
風景画のなかでも、まさにゴッホらしい作品として知られています。
サン・ポール・ド・もゾルの修道院にある、精神病院に入院したときに描いたものになり、窓の外がこのように見えたのだとか。
モーニングスター以外は何もない山里を見たとも話しており、中心に描いているのでオランダの教会だと言われています。
ゴッホはたくさん作品を残しましたが、中でも最も有名なのが、星月夜かもしれません。
他にも「夜のカフェテラス」などもあります。
ヨハネス・フェルメールの「デルフトの眺望」
フェルメールは光と影の魔術師と呼ばれるほどに、美しい絵を描くことで知られた画家です。
基本的には女性を描いたものが多く、風景画が少ないのですが、自身が過ごしたデルフトを描いた情景の風景画の完成度が高く、難の変哲もない絵が彼の技法によって、特別な一枚に変わっています。
遠近法を利用したものになり、郷土愛を感じさせる、本格的な作品です。
見たこともないデルフトの街並みを一緒に眺めているような気持ちになりますね。
ジャン・フランソワ・ミレーの「落ち穂拾い」
落ち穂拾いとは、当時最もつらい労働として知られたもので、農民にとっては必要な作業でした。
刈り取りが終わったあとの畑にはたくさんの糧が落ちているため、これを一粒ずつ拾っていきます。
ジャン・フランソワ・ミレー自身は、当時とても貧しく人生のどん底にあったといいます。
目の前の光景を見たままに描いた作品としても知られており、当時の生活が垣間見える作品です。
美しいコントラストもあり、まさに名画として今に伝えられています。
光と影を巧みに使い、まるで浮き出てくるような光景に描いたのは、ミレーの技法の素晴らしさです。
アルフレッド・シスレーの「ヴィルヌーヴ・ラ・ガレンヌの橋」
1872年に描かれた「風景画」になり、セーヌ川のほとりにあった小さな村を描いたものです。
シスレー自身は、ここで何度にも渡り絵を描いており印象派の作品としても有名ですえよく見ると、川辺でくつろいでいる恋人たちの姿が描かれ、人間模様が描かれているのもこの風景画の面白いところです。
構図としてはとてもダイナミックなものになり、当時の街並みを迫力ある一枚の絵にしてまとめています。
水面の美しさとのバランスが素晴らしい作品ですね。
レンブラント・ファン・レイン「石橋のある風景」
1638年に描かれた、とても古い作品です。
実際どこの国で制作されたのかなど、わかっていないことも多く、運河もしくは川に石橋がかかっている日常の風景を描いた作品です。
よく見ると、川には人が乗っている船が見えますし、人間が歩いているのも確認できます。
荷車も置いてあること、中央部分には、干し草の納屋などもあり実際の風景を描いたものなのがわかります。
淡い色合いを使った、どこか懐かしい風景を描いたものになり、見ていてほっとするような優しいタッチが特徴です。
あえて人に焦点を当てていないのも、この絵の面白いところです。
クロード・モネの「かささぎ」
クロード・モネの「風景画」のなかでも、美しい雪景色を描いた作品です。
1868年の冬に、ノルマンディー地域で制作したものと見られ、特に有名な風景画作品です。
この家は、恋人のカミーユと生まれたばかりの息子と一緒に生活していた場所になります。
当時のモネはたくさんの雪景色を描いた作品を残しており、フランスの厳しい冬を描いた作品としても伝えられています。
印象派のモネらしい、速筆による柔らかく力強いタッチや、色彩の美しさなど、どれをとっても素晴らしい作品です。
人も歩いていない、雪が積もった光景からも、モネが幸せな時間を過ごしていたのがわかりますね。
ウィリアム・ターナーの「雨、蒸気、速度――グレート・ウェスタン鉄道」
ロマン主義として知られたイギリスのウィリアム・ターナーは、「風景画」の画家としても代表的な人物です。
自然そのままの景色を描くのではなく、空気の動きや大気の淀みなどを見て、光や影などを考え作っていきます。
霧がかかったような独特な世界観が印象的な作風になり、まさに先駆けとなった人物です。
この絵は速度を表現することに成功した世界初の作品でもあり、まるで飛び出してきたような迫力のある絵でもあります。
遠近法の使い方が素晴らしく、列車を描くうえで疾走感を大切にしています。
カミーユ・コローの「モルトフォンテーヌの思い出」
風景画の名手としても知られ、大きな影響を与えたのがカミーユ・コローです。
自然が持っている溢れんばかりの光や色彩を大切に描いていきました。
そのため、とても豊かで贅沢な表現が特徴でもあり、他の画家には描けない作品だと思います。
コローの作品は、銀灰色とも呼ばれる独特の色調を使うことが多く、当時は流行色になるまでに注目されていました。
独特の柔らかいタッチは残しつつ、どこか幻想的な作品です。
各地を旅して回っていたこともあり、スケッチした風景を描いたものとして考えられています。
そのままというよりも、本人の心情的なものも影響しているようです。
カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの「氷の海」
風景画のなかでもはっきりとした色使いが特徴かもしれません。
彼が描いた作品は自然に対しての恐怖をそのまま実直に現したものが多く、悲劇的な風景画などを好む傾向にありました。
温かみのある風景画と比較すると、どこか寂しく孤独感が伝わってきます。
廃墟や墓地などを描くこともありました。
氷河のなかにある座礁した船が描かれたものになり、船の名前でもあるように、希望を込めて描いたものではないかと言われています。
他の画家の風景画とは違った景色がありますね。
まとめ
風景画といっても画家によってもタッチが全く違うのも面白いところです。
もちろん好みもあると思いますし、イメージに近い風景画を探している人もいると思います。
その絵を描いた背景や時代なども一緒に考えてみると、より深い意味が見えてくるのではないでしょうか。
風景画は、あなたなりの解釈で見られるのも魅力であり、当時の世界を絵を通して見られるのも、素晴らしい点なのではないでしょうか。