水戸芸術館は、高さ100mの塔・劇場・コンサートホール、そして現代美術ギャラリーの3つの空間から構成された複合施設です。
水戸駅からバスに乗車して約10分、最寄のバス停より降りて徒歩数分の立地にあります。
巨大な石を吊ったカスケードが印象的な広場は常に解放されており、野外コンサートやフリーマーケットが開かれることもあります。
文化施設としてだけでなく、憩いの場所としても水戸市民から親しまれているようですね。
水戸芸術館の歴史・成り立ち
水戸市制100周年を記念して開館
水戸芸術館は、水戸を日本一の文化都市にしたいという構想から誕生した施設。
水戸市制100周年を記念して1990年に開館しました。
建物は、建築家・磯崎新氏が設計を手がけており、現在の水戸芸術館館長は世界的に有名な指揮者・小澤征爾氏が務めています。
そして、インフォメーションカウンターのあるエントランスホールには、11mの高さの吹き抜けがあります。
この空間は、教会の建築にも似ていて残響時間が長いという特徴があるそう。
その特徴を生かし、コンサート等が行われることもあります。
また、こちらのスペースで見逃せないのは、日本人によって作られた国内最大級のパイプオルガン。
その存在感はまさに圧巻です。
水戸芸術館にある現代美術ギャラリーの建物は、ピラミッドの形をした屋根をもち、展示面積約1,200㎡の空間があります。
9つある展示室は、広さや明るさ等がそれぞれ異なっており、作品や展覧会のコンセプトに合わせた空間をつくることが可能となっています。
現代美術ギャラリーだけでなく、劇場やコンサートホールなど他の施設にも興味のある方は、水戸芸術館の職員・ATMフェイスが館内をガイドする「館内見学ツアー」への参加がおすすめです。
社会問題や世界のアートに向けた視野
現代美術ギャラリーでは、美術だけでなくデザイン・建築・ファッションなどさまざまな分野の展覧会が年に3回程度開催されています。
国内外の第一線で活躍するアーティストも紹介しており、過去には展覧会開催当時、YBA(Young British Artist)の作家であった期待の若手、ダレン・アーモンド「ダレン・アーモンド 追考」を企画するなど世界に視野を向けた展覧会が注目されています。
さらに、社会問題に深い問いを投げかけるテーマも取り扱っており、東日本大震災から10年目を迎えた2021年には、「3.11とアーティスト:10年目の想像」という展覧会が行われました。
震災時には、茨城県にある水戸芸術館も罹災し避難所となったそう。
その施設が自ら展示会場となり、震災をテーマにした展覧会を行うというのは、何か心に迫るものがあります。
アートのもつ意味や役割を、改めて考えるきっかけとなる内容となりました。
また、現代ギャラリー第9室では、若手のアーティストと学芸員が共同で企画する「クリテリオム」というシリーズの展覧会も行われています。
水戸芸術館の特徴
アートの魅力をシェア、ワークショップとは?
水戸芸術館では、アートに親しむための企画や、地域との連携を目指したプロジェクトにも取り組んでいます。
例えば、現代アートの面白さや楽しさを味わうためのワークショップや講演会もその1つ。
「キュレータートーク」では、展覧会を企画した学芸員から作品や展示テーマなどについて話を聞くことができます。
週末には、市民ボランティアのギャラリートーカーと一緒に作品を鑑賞する「ウィークエンド・ギャラリートーク」が開かれていることもあるそうです。
また、全盲の白鳥建二さんをナビゲーターにして、視覚に障害がある人と一緒に作品を楽しむツアー「セッション!」にも取り組んでいます。
さらに、子どもを対象とした夏休みのイベントや、造形ワークショップも行われていたり、赤ちゃんと一緒に作品を鑑賞することのできるツアーもあるそう。
小さな子どものいる方々も気兼ねなく美術館を訪れることができそうですね。
他にも、送迎バスを使って、ガイドスタッフと展覧会を鑑賞するという市内の小・中学校向けのプログラムや、高校生やその同年代の子どもたち向けて年に1度「高校生ウィーク」が開かれています。
子ども時代は数年違えば、考え方や興味もがらりと変わってしまうもの。
それぞれの立場や年齢を考慮したプログラム作りは大切なのかもしれませんね。
アートの力で生まれる繋がり
アーティスト・日比野克彦氏が考案したプロジェクトは、アート好きやスポーツ好きなど、さまざまな趣味を持った人々が参加できる工作とスポーツを合わせた参加型の企画でした。
これは、ユニフォーム・ゴール・ボール等を参加者がグループごとに制作し、独自のルールのもとに、サッカーの試合を行うというもの。実際に参加しなくても、どんなものなのか見学してみたくなりますね!
さらに、日比野克彦氏は館内や町の中で「明後日朝顔プロジェクト」も広めています。
これは、朝顔の育成を通して地域や人々の繋がりを生み出そうという取り組みです。
水戸芸術館は、アートに直に触れて学び、さらに人々の交流を生み出すスペースでもあるのですね。
併設ミュージアムショップ、レストラン
施設の中にあるミュージアム・ショップ「コントルポアン」
こちらでは、水戸芸術館で開催された展覧会の図録や、オリジナルデザインのハンカチ、Tシャツ、CDなどのグッズを取り揃えています。
特に注目のグッズは、過去に水戸芸術館で行われたワークショップのアーティストたちと作った特製の「アーティストキット」です。
ヤスリを使って木を削り、色を塗って、自分だけのアートつみきがつくれる「ボクのわたしのアートつみきをイチからつくっちゃおう!」というキットや、カラフルなハギレを組み合わせて、自分だけのブローチやカードがつくれる「toboの布遊び」というキットなどがあり、大人から子どもまでワクワクしてしまうものばかり。
お土産にもぴったりですね。
ミュージアム・ショップで取り扱っている一部のグッズは、公式HP上でも販売しています。
水戸芸術館の敷地内にあるレストラン「チャイナテラス」は、東京都渋谷にある「美虎」のオーナーシェフ・五十嵐美幸氏がプロデュースした中国料理が楽しめる場所。
アート関連の施設内で中国料理が頂けるのは、国内では少し珍しいかもしれません。
また、展覧会鑑賞の後に気軽に訪れることができるカフェ「サザコーヒー」では展覧会の余韻に浸りながら、本日のケーキをはじめとするデザートやドリンクなどを頂くことができます。
まとめ
水戸芸術館の解説いかがでしたでしょうか。
水戸芸術館の現代美術ギャラリーでは、展覧会を開催するだけでなく、アートを通じて人々の繋がりを生み出すための企画や、アートをもっと身近に感じさせてくれるような取り組みに力を入れています。
「日常の中に、気軽にアートを取り入れたい!」と思っている方におすすめの施設と言えそうです。
※休業日や営業時間、その他の掲載情報については変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、最新の情報については施設・店舗へお問い合わせください。
アクセス
美術館名 | 水戸芸術館 |
住所 | 茨城県水戸市五軒町1-6-8 |
電話番号 | 029-227-8111(代) |
ホームページ | https://www.arttowermito.or.jp |